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狙うは欧州市場? BMW意識の高級版ヒュンダイ ジェネシスG70試乗記

掲載 更新
狙うは欧州市場? BMW意識の高級版ヒュンダイ ジェネシスG70試乗記

もくじ

どんなクルマ?
ー プレミアムDセグメントへの挑戦状
ー ベンチマークはBMW 3シリーズ
ー パフォーマンスは満足 燃費は絶望的

韓国のSUV、レクストンで北朝鮮との国境DMZへ わかったふたつのこと

どんな感じ?
ー インテリア 前席は◯、リアは☓
ー 乗り心地も☓ 走りは仕様による

「買い」か?
ー まず「知名度の壁」にぶつかるだろう

スペック
ー ジェネシスG70 AWDのスペック

どんなクルマ?

プレミアムDセグメントへの挑戦状

ドイツのプレミアム勢やジャガー、レクサスやインフィニティをターゲットに、ヒュンダイが展開する上位ブランドのジェネシス。その第3弾となるG70は、3シリーズやCクラス、XEに挑むモデルだ。先頃、韓国で発表され、北米でも2018年初頭の発売を予定している。

ジェネシス名義のラインナップでは、G90/G80に次ぐボトムエンドに当たり、同グループの起亜では同じプラットフォームでスティンガーという兄弟車を生産する。エンジンは縦置きで、駆動方式はFRと4WDが用意される。

欧州市場へは、2020年頃までにこのG70を投入する計画があるというヒュンダイ。同時に、3車種のSUVを含む6車種の導入を目論んでいるという。

ベンチマークはBMW 3シリーズ

ランボルギーニ在籍時にヘッドハンティングされ、ジェネシスの責任者となったマンフレッド・フィッツジェラルドによれば、開発時のターゲットは3シリーズ。比較すると、4685×1850×1400mmのジェネシスの3サイズは、61mm長く、39mm広く、31mm低い。

ルックスをどう見るかは、読者諸兄のお好みにお任せしたい。ただし、プロポーションはライバルに負けていない。

長いボンネットと後方へ流れるようなキャビンは、後輪駆動であることを強調し、一方で幅広いトレッドと長いホイールベース、短いオーバーハングは安定感を感じさせる。実車を見た感想は、斜め後ろからがベストアングル。力強いリアフェンダーが、このクルマの意図するものを明確に表現している。

パフォーマンスは満足 燃費は絶望的

エンジンは3機種のターボユニットを設定し、最上位機種は370ps/53.0kg-mを発生する3.3ℓV6。これは、BMW340iの3.0ℓ直6ターボを45ps/7.1kg-m上回る。

このほかに、255ps/36.6kg-mの2.0ℓ直4を設定するが、オプションのスポーツパッケージでは259psへとわずかにパワーアップする。また、欧州市場を見据えてか、2.2ℓ直4コモンレールディーゼルも用意され、こちらは205ps/45.9kg-mを発生する。

今回のG70 AWDに積まれたV6は、エンスージァストも納得しそうなスポーティさを見せる。

低回転域を重視した豊かなトルクと回りたがる性質を兼ね備え、ひどく不快な思いをせずに飛ばすことができる。対して、標準搭載の8段ATは、変速そのものはスムーズだが、自動変速でも手動変速でもやや反応が遅い。

これは、徹底したパフォーマンス志向のサルーンではない。しかしながら、最上位機種であるG70 AWDの0-100km/h加速は4.7秒と、340i xDrivwより速いタイムを謳う。最高速度も270km/hで、250km/hリミッターを備えるドイツ勢を上回る。

その代わり、燃費には失望した。BMWの競合車種が14.5km/ℓなのに対し、9.0km/ℓというのだから話にならない

どんな感じ?

インテリア 前席は◯、リアは☓

インテリアは、エクステリアより凝縮された印象で、素材の組み合わせもなかなかのもの。メタリックなディテールやアルミのトリム、ソフトタッチのプラスティックやキルティングレザーが適切に配置されている。A4やCクラスには及ばないが、3シリーズやQ50、ISの上を行くかもしれない。

遮音性にも優れ、高速道路での巡航速度でも風切り音は小さい。これによりプレミアムな雰囲気を得たG70の室内は、一般的なヒュンダイ車のレベルをはるかに凌ぐ。フロントシートはサポート性も快適性も十分で、頭上にも膝周りにも不満のないスペースがある。

ところが、リアにはまったく違う状況が待ち構えている。

前席を成人が快適に過ごせる位置にすると、後席のレッグスペースは不足し、スロープしたルーフは頭上を圧迫する。荷室は深さこそあるが、開口部が小さく、幅は制限される。

ジェネシスがライバルに勝ると主張するのが、標準装備の充実度で、機械式LSDや、4WD車では後輪のトルクベクタリング機構を採用。また、前後重量配分は50:50だとしている。

R&D部門を率いるのは、BMWから引き抜かれたアルベルト・ビアマン。ヒュンダイへ移籍する前に現行M3/M4を手掛け、シャシーチューニングにはそれなりに通じた人物だ。

彼によれば、目指したのはスポーティさを重視したドイツ車と正面から戦うこと、ではないのだとか。では何をドライバーに提供したいのだろう?

乗り心地も☓ 走りは仕様による

G70が提供したいのは、従順さや快適さだという。それでも、5段階のうちでもっともダイナミックな走行モードを選べば、スポーティさや運転に熱中できる一面も引き出せるように意図されている。それがエコ/スマート/スポーツ/コンフォート/カスタムのうちのどれかは、説明するまでもないだろう。

われわれが試乗した韓国仕様車は、小さなバンプは効果的に吸収するが、大きなアンジュレーションに出くわすと落ち着きを失い、減衰コントロールの欠如を露呈する。

一方で印象的だったのは、ロードノイズの抑えっぷり。その点ではドイツ車の先を行き、日本車並みの完成度に達している。だが、電動アシストのステアリングには重さの一貫性がない。

中立周辺は軽く、回していくと不自然な重さが発生する。とくに、スポーツモードではその傾向が顕著だ。重さが増してフィールも高まるのなら歓迎できるが、残念ながらそれはない。

北米仕様のプロトタイプにも試乗したが、こちらは後輪駆動で、G70ダイナミックと銘打って販売される見込み。サスペンションを締め上げ、ステアリングのマッピングを変更し、大型化したブレーキとミシュラン・パイロットスポーツ4を装備した仕様で、韓国仕様より優れた身のこなしとドライビングに熱中できるキャラクターを示した。

ターンインのレスポンスが改善され、コーナリング中の適切なグリップとボディコントロールの向上、シャープな制動が感じられたが、乗り心地のよさは損なわれているとも感じた。

「買い」か?

まず「知名度の壁」にぶつかるだろう

ジェネシスは、英国でのプレミアム市場参入を真剣に考えているようだが、もしもそうなら、北米仕様をベースに英国の道路環境に合わせたテストを行い改善を図るのが最善策だろう。

G70は有望な部分も多いが、真価を発揮するにはまだまだ改善の余地がある。既存のモデルに対抗しうると証明するために必要な要素は備えており、現状でも、ドイツや英国、日本のライバルが気に掛けるに十分な素質はある。

ともかく、本格的な評価は欧州仕様が登場するまでおあずけだが、知名度の低いモデルを売り込むのが難しいことだけは事実だ。ただし、適切な値付けがされれば、現状を打破する可能性も十分に考えられる。

ジェネシスG70 AWDのスペック

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