先日、アメリカのオークションでR34GT-Rが数千万円で落札されたネットニュースを見掛けた。R34の超高額価格には今更驚きはないが、その落札個体のグレードがN1だったことにはちょっと驚いた。そういえばN1というグレードもあったなぁと、懐かしく思い出した。今現在、R34の話題と言えば、暴騰を続ける価格についての話ばかり。たまにはそれ以外もということで、再びR34GT-Rを振り返ってみたい。
文/奥津匡倫(Team Gori) 写真/日産自動車
今や2000万円台!! でもR34が第二世代GT-Rで最も売れなかったってマジか!? 現役時代の不遇から復活劇がスゴい
■R34GT-Rは1999年にギリ500万円を下回る価格で登場
18インチのタイヤが標準装着されていることも、カーボン製のリアディフューザーもデビュー当時は驚きの装備だった。純正ホイールはBBS製
R34GT-Rは1999年(平成11年)1月、ベースモデルのR34から約半年遅れでデビューを果たした。イメージカラーは鮮やかなベイサイドブルーメタリック。
18インチのホイール、前後のディフューザー、より大型化されたリアウイングなど、先代モデルのR33からも大きくイメージを変更。
大きすぎると言われ続けたR33時代の反省からか、全長で75mmサイズダウンされ、好評をもって受け入れられていたような記憶がある。
発売当初は標準車とVスペック、モータースポーツベースのN1の3グレード。
R34はしばしば価格の高さが指摘されていたが、初期型の標準車は499万8000円とギリギリ500万円を下回っており、Vスペックでも559万8000円と、近年の流通価格を考えると安く見えてしまう値段だったのだ。
ちなみに、標準車とVスペックは前後ディフューザーの有無、リアデフが機械式かアクティブLSDか、などの違いがあった。
■R34は第二世代GT-Rで最も売れなかったモデル……そのワケはというと
第二世代GT-Rの象徴ともいうべきRB26DETT。高性能と引き換えにした燃費の悪さがタマにキズ。環境性能はモデルライフにも影響を及ぼした
第二世代のGT-Rとしては、もっとも高額で取引されているR34GT-Rだが、その生産台数は1万1344台とR32GT-Rの約1/4ほど。
現役当時不人気とされていたR33でさえ16422台なので、それだけ見ると歴代No.1の不人気モデルということになるが、実情はちょっと違う。
R32の販売期間は1989~1994年。つまり、バブル期である。一方、R34は1999年から2002年と、就職氷河期と言われていたような時代である。
そんな時代に、高いと言われ、燃費も悪い実用性の低いクルマを買える人は残念ながら多くなかった。
また、スカイライン自体の人気が凋落していた影響や、ミニバンなどが人気の中心となっていた時代背景もあったのだろう。
大ヒットしたR32とは打って変わりR33は人気を落とした。その後に続いたR34も人気復権とはならず、さらに人気を落とすことに。
GT-Rとはいえ、不人気モデルの最上級モデルでは憧れの存在になりにくかったのかもしれない。
しかし、その台数の少なさが、今になって価格を押し上げる大きな要因となっているのは間違いない。何が起こるか分からないものである。
■意外と多かったR34GT-Rの限定車は今や不動産級のプライス
R34の最終限定モデル、ニュル。VスペックとMスペック、1000台の限定。最終ということもあってか、瞬間的に完売。今では5000万円級の超高額車になっている
販売された台数こそ少なかったものの、R34GT-Rには限定モデルも多く存在した。
前期モデル時代に販売されたミッドナイトパープルは色味の異なるIIとIIIがあったが、いずれも台数限定。
また、不人気だったことから途中でカタログ落ちしたが、初期モデルには黄色や赤のボディカラーの設定も。
限定ではなかったものの、いずれもきわめてレアな存在。その希少性が価格を押し上げる要素になっているかもしれない。
後期型のVスペックIIやMスペックは限定モデルではなかったが、VスペックIIはカーボンボンネットを採用。
乗り心地のよさにこだわったMスペックは専用色のシリカブレスを始め、本革シートなど専用装備も多い特別仕様。現在は限定車級の評価を受ける2モデルである。
そして最終限定車のニュルだ。N1エンジンが搭載された1000台限定モデル。
MスペックとVスペックIIが選べ、専用色のミレニアムジェイドも設定された。
販売終了直後からプレミア価格となり、現在、数千万円級の超高額で取引されているのはこのニュルであることが多い。なお、ニュルスペックと呼ぶ人もいるが、公式には「ニュル」であり、スペックは付かない。
現役時代は一番人気のR32と何かと比べられることが多かったR34。不遇の現役時代から絶版後は第二世代GT-Rを締めくくる栄光のモデルへ。重ね重ね数奇な運命である。
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