モデル3へ並ぶ航続距離 0-100km/h加速4.5秒
2024年の夏に、新しい中国製バッテリーEVが欧州で発売される。従来までファンキーキャットを名乗っていた、ハッチバックの03の後を追うように、中型サルーンの07がグレートブリテン島への上陸を果たす予定だ。
【画像】ちょっとクセが強すぎ? オラ07 サイズが近い電動サルーンと比較 ハッチバックの03も 全139枚
オラというブランドの親会社は、GWM(グレート・ウォール・モーター)。個性的なスタイリングをまとい、想定されている英国価格は約3万5000ポンド(約672万円)から。駆動用バッテリーは、正極材がLFPの64kWhか、NMCの83kWhが選べる。
この07は、中国本土ではオラ・ライトニングキャットという名で2021年に発売済み。現地では一定の評価を集め、ブランドの販売回復へ大きく貢献したという。それでも、2023年の販売数は9000台ほど。欧州市場への展開で、さらなる飛躍を目論んでいる。
航続距離は、最もエネルギー効率に優れる仕様のWLTP値で569kmが主張される。これは、テスラ・モデル3のロングレンジに劣らない数字だ。
トップグレードのGTの場合、ツインモーターでの最高出力は407ps、最大トルクは69.1kg-mと、動力性能も充分。0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は180km/hがうたわれる。
今回、筆者が中国・北京で試乗した07は、ほぼほぼの英国仕様だという。左ハンドルではあったけれど。
不自然なプロポーション インテリアの質感は高い
実車を目の当たりにすると、プロポーションは写真以上に不自然でクセが強い。丸いヘッドライトも、ちょっと不釣り合いに見える。03をひと回り大きくしたものとも異なる印象を、筆者は受けた。
チーフデザイナーを努めたアンドリュー・ダイソン氏も、スタイリングを強みとするサルーンではないことを認めている。そのかわり、3年間金利0%のローン設定や優れた標準装備などで、欧州のユーザーを獲得したいとしている。
07には、バックカメラやヒーター内臓の合成皮革パワーシート、アダプティブ・クルーズコントロールなどが、ベースグレードから備わる。短くない航続距離も、強みになるだろう。
車内は、車格なりに広い。各所に小物入れが用意され、大人4名が快適に長時間過ごせる空間を得ている。開放的な雰囲気で、内装の質感も高いと感じた。
インテリアにも独特の美学があるものの、質感はかなり高い。合成皮革の風合いは悪くなく、センターコンソールの膨らみが特徴的。シートの座り心地は良いようだ。
ドライビングポジションは、やや高め。筆者の身長は180cmほどあるが、座面を1番低い位置へ調整しても、頭が天井に迫るようだった。
観察はこのくらいにして、07を発進させてみよう。オラは、03から走りを改善させたと主張している。
従来より磨き込まれた印象 売れるかは疑問
AUTOCARでは、以前にファンキーキャットを試乗している。その時は、回生ブレーキの効きが強すぎ、ステアリングの洗練度が足りず、インフォテインメント・システムの完成度が低いと指摘している。実際の航続距離や、急速充電速度も充分ではなかった。
遅れて開発された07では、確かにそれらが改良されている。走らせてみると、従来より磨き込まれた印象を伴う。
ステアリングの反応は良くなり、パワーデリバリーは滑らか。ミシュラン・パイロットスポーツEVというタイヤも、良好なグリップ力を発揮していた。
とはいえ、回生ブレーキの強さは変わらず。運転支援システムは、過剰に反応するようだし、インフォテインメント・システムもアップデートが必要だろう。サスペンションは柔らかく、55km/h程度でもカーブでは大きなボディロールを伴う。
今回は、GWMのテストコースでの運転に限られたため、英国の一般道でどんな体験を生むのか判断は難しい。実環境での航続距離も、確認できていない。
07の完成度が、ファンキーキャット改め、03より高いことは間違いない。改善すべき部分はあっても、価格設定とインテリアや標準装備を踏まえると、他ブランドから乗り換えようと考える英国人は一定数いると思う。
ただし、個性の強いスタイリングが、それを踏みとどまらせる可能性は低くない。ショールームへ脚を向かわせ、実際に試乗してもらうための、大きなハードルとなりそうだ。
オラ07(プロトタイプ/欧州仕様)のスペック
英国価格:約3万5000ポンド(約672万円/予想)
全長:4871mm
全幅:1862mm
全高:1500mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:569km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2183kg
パワートレイン:ツインモーター
駆動用バッテリー:83kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:407ps(システム総合)
最大トルク:69.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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