■昭和から平成に誕生したコンパクトスポーツカーを振り返る
2000年代に排出ガス規制の強化によって、日本市場からスポーツカーが次々と消えました。現在は復活の兆しもありますが、高価なモデルが主流となっています。
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一方で、1980年代には安価かつコンパクトなスポーツカーやスポーティなモデルが、数多く誕生しました。
そこで、往年の小型軽量なスポーツカーを、FF、FR、MRと駆動方式別に3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「MR2」
トヨタ「MR2」は、1984年に国内自動車メーカー初の量産ミッドシップカーとして発売されました。
トップグレードは「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」と同型の最高出力130馬力(グロス)を誇る1.6リッター直列4気筒DOHC「4A-GELU型」エンジン(横置き専用)を搭載し、軽快な加速と高いコーナーリング性能で人気となります。
ボディは専用設計の2シーターで、直線基調ながらも小ぶりなキャビンとウェッジシェイプなデザインによって、スポーツカーらしいルックスで、車重も940kg(1600G 5速MT)と軽量です。
操縦性についてはミッドシップらしい速さを追求しすぎると、一般のドライバーには挙動がシビアになりすぎるという配慮から、比較的マイルドなサスペンションセッティングを採用していました。
1986年のマイナーチェンジでは出力向上と鋭いアクセルレスポンスを両立したスーパーチャージャー付きエンジン搭載車を追加。
同時にサスペンションセッティングなどが最適化されたことにより、より速いコーナーリングも可能となり、スポーツカーのルックスに見合うスピードを手に入れました。
当時の価格は164万2000円(1600G 5速MT)でした。
●ユーノス「ロードスター」
1989年2月に、初代マツダ(ユーノス)「ロードスター」が、アメリカのシカゴショーで発表されました。
ロードスターは当時、絶滅危惧種となっていた英国製のライトウェイトスポーツカーをインスパイアした、「人馬一体」をコンセプトに開発された2シーターオープンスポーツです。
搭載されたエンジンは、最高出力120馬力(ネット)の1.6リッター直列4気筒DOHCで、決してパワフルではありませんでしたが、940kg(5速MT)と軽量な車体には十分な出力でした。
サスペンションは4輪ダブルウイッシュボーン式独立懸架に前後にスタビライザーを備え、ブレーキは4輪ディスクブレーキ(前ベンチレーテッド式)とされ、目新しさはありませんでしたが、オーソドックスなFRスポーツとしての基本はしっかりと押さえ、人馬一体の走りを実現。
初代ロードスターは日本のみならずアメリカでも大人気となり、その後、国内外のメーカーがオープン2シーターを次々と発売し、オープン2シーターの市場が再燃するきっかけとなりました。
当時の価格は170万円(消費税含まず)からです。
■ホンダが誇るライトウェイトスポーツカーとは!?
●ホンダ「バラードスポーツCR-X」
ホンダ「バラード」は1980年に2代目「シビック」の姉妹車として発売された4ドアセダンです。
1983年にシビック、バラードのフルモデルチェンジと同時に派生車の「バラードスポーツCR-X」が登場。セミリトラクタブルライトとリアを断ち切ったデザインの3ドアハッチバックで、ひと目でスポーツカーとわかるデザインとなっていました。
搭載されたエンジンは110馬力(グロス)の高出力を誇る1.5リッター直列4気筒SOHCで、ほかに1.3リッターも設定され、どちらも気持ちよく吹け上がる特徴があります。
シビックに比べ極端に短いホイールベースにより、コーナーリング時はよりクイックな挙動で、シビックとは異なる操縦性が与えられていました。
また、フロントマスクやフロントフェンダー、ドアに樹脂製パーツを採用したことにより、車重が800kg(5速MT)に抑えられていたことで、優れた運動性能とともに、低燃費を両立。
後にDOHCエンジンを搭載した「Si」グレードが追加されますが、当初の軽量な車体は維持され、さらに走りの性能が向上しました。
当時の価格は127万円(ルーフベンチレーション 5速MT、東京価格)です。
※ ※ ※
現在、軽量コンパクトでスポーティなモデルというと、スズキ「スイフトスポーツ」があります。
970kgの車体に140馬力のターボエンジンを搭載していますから遅いはずはなく、むしろターボの存在を感じさせないほど、リニアな加速感が特徴です。
近年は先進安全技術の充実などによって、軽量な車体とするのは難しいですが、まだまだライトウェイトスポーツの火は消えていません。
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