2021年10月7日、レクサス「新型NX」が発売となった。そして、そのちょうど一週間後となる14日、今度はフラグシップSUVである「新型LX」を発表と、2021年10月は、レクサスSUVの動向が活発な月だった。
レクサスにはほかに、エントリーラグジュアリーSUVである「UX」、そしてレクサスの最量販SUVである「RX」という、ふたつのSUVがあるが、このうちRXの現行モデルは2015年の登場であり、そろそろフルモデルチェンジのタイミングだ。
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次期型RXはどのような姿になるのか、新型NXや新型LXから、次期型RXの姿を想像してみよう。
文:吉川賢一
写真:LEXUS
[gallink]
現行RXの弱点は次期型でも改善されない!?
冒頭で触れたように、現行RXが登場したのは、2015年10月。ちょうど6年目を越えたタイミングだ。現行RXのボディサイズは、4890×1895×1710(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2790mm。2017年12月のマイチェンでは、リアオーバーハングを110mm延長して3列目シートを追加したRX450hLも登場している。
このボディサイズをうまく生かした、シャープでダイナミックなエクステリアデザインは、現行RXの強みだ。次期型RXも同等のサイズでやってくるのは間違いないが、広いとはいえない日本の道路事情を考えると、RXの最小回転半径5.9m(FF、AWD共通)、というのはかなり厳しい。
この5.9mというのは、なんと2021年6月に登場した、現行300系ランクルと同じ。狭い駐車場などでは、取り回しに苦労することになる。現行RXを所有するならば、この点は覚悟しなければならない。
長めのホイールベースや、径の大きなタイヤがタイヤハウス内部で干渉するため、タイヤ切れ角を止めていることが原因と思われるが、レクサスがこの辺りをきちんと対策してくるのか、ワイドボディなら当たり前だとして済ますのかは、ちょっと注目している。
ただ、NXも、先代は5.6m(18インチ)だったのに対し、新型では5.8メートルと、現行RXに近い数値まで悪化していることを考えると、レクサスは小回り性能に関しては重視して可能性もあるため、次期型RXでも、小回り性能は期待できないかもしれない。
LX、RX、NX、UXといったラインアップで、見事にボディサイズのヒエラルキーが構築されている。おそらく、次期型RXは、現行のサイズからほとんど変えずに登場すると予測
「LF-1 Limitless」を目指してほしい!!
エクステリアに関しては、細部の修正で磨き込んだ新型NX、モダンでスタイリッシュに進化した新型LX、どちらも堅実な意匠変更であったことを考えると、次期型RXも、現行型のキープコンセプト路線をなぞると思われる。
L字ラインの入ったLEDヘッドライト、スピンドルグリル、バンパーサイドのエアインテーク、フェンダー周辺の処理など、レクサス共通の意匠は、もちろん継承してくるはずだ。
ただ、レクサス最量販SUVであるRXには、2018年に登場したコンセプトカー「LF-1 Limitless」くらい、クロスオーバーSUVを突き詰めたボディスタイルで「アッ」と言わせてほしい、と思う。
2018年に登場した、レクサスのコンセプトカー「LF-1 Limitless」。ポルシェカイエンやランボルギーニウルスといった、名だたるラグジュアリーSUVと戦うことを目指している、という
タッチディスプレイとアナログスイッチの共存は必須
もっとも進化が期待できるのは、インテリアだ。新型NXでは、14インチワイドタッチディスプレイを採用、コマンドコントローラーで操作するのではなく、タッチで操作ができることで、直感的な操作が可能だ。
また、新型LXには、12.3インチ大型タッチディスプレイのほか、7インチディスプレイも装備。7インチの方は、車両の制御状態を示すことができ、オフロード走行で必要な車内外の情報を映し出すという。両車ともに、ヘッドアップディスプレイを採用し、ドライバーのスムースな視点移動を助けてくれる。
次期型RXも、この方向性で来るのは間違いない。現行RXで古くなったインテリアが一気にブラッシュアップされることだろう。
高級車の中には、温度調節ダイヤルまでタッチパネル化してしまうクルマがあるが、運転中に操作せねばならないとき、手探りで調温できないのはかなり不便で危険。アナログスイッチを減らして、すっきりさせたいのはわかるが、視線を外すことのできない運転中に、手探りで操作できないタッチパネルを操作する、というのを、自動車メーカーとしてどう考えているのか、疑問に思う。
「AUTOにしておけば、温度調節なんてそうそうしない」と思っているのかも知れないが、少なくとも筆者はそうではない。次期型RXではそんなことがないことを期待している。
PHEV、HEV、直4 NAエンジンの3つと予測!!
パワートレインは、新型NXの6つのエンジンバリエーションから共有することが予測される。2.5L直4プラグインハイブリッド、2.5L直4ハイブリッド(FFとE-Four)、2.5L直4 NAガソリンエンジン(FFとE-Four)、そして、2.4L直4ガソリンターボ(電子制御フルタイム4WD)だ。
新型NXでトップグレードとなるプラグインハイブリッド仕様は、18.1kWhのリチウムイオンバッテリーの容量を誇り、クラストップレベルのEV走行距離となる。RAV4PHVと同じバッテリー容量のため、新型NXでも、おそらく95kmはEV走行可能なはずだ。
しかも、ナビゲーションで目的地をセットすると、先読みEV/HVモード切り替え制御が働き、電池残量や経路、交通情報を元に、エネルギー効率の良い走りになるという、非常に賢いシステムだ。
2.5Lハイブリッドは、RAV4やハリアーでもお馴染みのパワートレインだ。使用されるハイブリッド技術「THS-II」は、現時点「世界最高峰」といっていい。4WDもお馴染み、E-Fourを採用。前後駆動配分は100:0から20:80で可変となる。2.5L NAガソリンも、すでに実績のあるパワートレインだ。
2.4L直4ガソリンターボは、新型NXで初採用となったエンジンだ。高トルク対応型ダイレクトシフト8ATと、フルタイムAWDの組み合わせのみとなる。TNGAの高速燃焼システムに加え、センター噴射直噴システム、ターボと触媒の近接配置などによって、環境対応も考慮したという。
このうち、次期型RXに搭載されるのは、プラグインハイブリッド、ハイブリッド、そして直4 NAエンジンだと考えられる。これまで通り、廉価グレードにはノンハイブリッド仕様が用意されるはずだが、RXの華麗なキャラクタに相応しいのは、新開発のターボではなく、直4 NAエンジンのほうだ。
ひょっとすると、つい先日の10月29日に発表されたクロスオーバーSUVのバッテリーEV「Bz4X」のようなグレードが登場するかもしれない。
新型NXのパワートレインのラインアップ。この中から、次期型RXのエンジンが決まるはず
正常進化か革新か
ほかにも、トヨタ/レクサスには、レクサスESから導入されたデジタルアウターミラーや、ハリアーに搭載した調光パノラマルーフ、そして新型LXの指紋認証システムなど、次期型RXで採用されそうな最新技術がたくさんある。そこへレクサス流の上質な内外装デザインが施されれば、次期型RXの姿は、なんとなく想像がつくだろう。
「正常進化か革新か」。次期型「RX」の姿が確認できるのは、2022年から2023年ごろの見込みだ。
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