伝統の走破性を備えつつも乗り心地は快適に
ジープのピックアップトラック「グラディエーター」がついに日本へやって来た。英語で「剣闘士」の意をもつそのトラックは、2019年に北米で発売されたものだ。しかし、日本ではトラック需要が見込めず、世界的な電動化の流れもあって、国内販売されることはないのだろうと思っていた。ところが、日本でも要望が多く寄せられたようで、それに応えるかたちで昨年末に導入。ローンチ記念として販売された400台は即完売。ジープ ラングラーなどと同様に、中古車市場ではプレミアム価格で取引される人気ぶりだ。
そもそもジープベースのトラックは、ワゴニアベースの初代が1963年に登場したことに端を発する。近年では当時のチェロキーをベースとした「コマンチ」が1992年に生産終了となり、ジープブランドのトラックはいったん途絶えていた。しかし、2018年のロサンゼルスオートショーで「グラディエーター」として復活を遂げた。 ボディサイズは全長5600×全幅1930×全高1850mm、ホイールベースは3490mmと、ラングラー アンリミテッドに対して全長は+730mm、ホイールベースは+480mmという、まったくの別物というべき大きさだ。そのおかげもあって、5名乗車が可能なダブルキャブ(4ドア)仕様で、広大なベッド(荷室)を備えており、積載能力は申し分ない。ベッドの最大積載重量は250kgだ。
ここで知っておくべきは、グラディエーターは3ナンバーの乗用車ではなく、普通貨物自動車なので1ナンバー登録になること。税金などは安くなるメリットがある一方で、毎年車検を受ける必要がある(初回は初度登録から2年)。また、高速料金も乗用車に比べて2割ほど高くなる。このあたりはユーザーのライフスタイル次第だが、全長5.6mというボディサイズをみても、維持費の面でもシティユースではなく、トラックらしく本格的なアウトドアユース向きのモデルということになる。
車体の骨格は、伝統のボディ・オン・フレーム構造を採用しており、ボディ剛性や耐久性は高く、悪路走破性やけん引能力に優れる。渡河性能は水深762mmまでと、さすがの性能を誇っており、アウトドアはもちろん、豪雨で冠水した道などでも役立つだろう。
インテリアデザインは基本的にジープ ラングラーのものを踏襲する。キャビンを覆うハードトップは3枚のパネルで構成されており、取り外しが可能。前席上部だけを外せばタルガトップのようになり、後部もすべて外せばオープンカー気分が味わえる。
北米ではグレードがいくつか用意されているようだが、国内仕様は「ルビコン」の一択だ。これにはラングラーのルビコンと同様に、ロックトラックフルタイム4×4システムを搭載するジープの中でも最もハードな走行に適したもの。
センターコンソールには、シフトセレクターとトランスファーレバーが備わっており、インパネには赤いロッカースイッチが備わる。電子制御式のディファレンシャルは、リアのみとフロント&リアのロックが選択可能で、最大限のトルクをホイールに伝達することができる。「4L」モードには、オフロード走行時に、車速を1~8km/hに維持してくれるセレクスピードコントロールなども備わっており、ドライバーはアクセルやブレーキペダルの操作から解放されステアリングの操作に集中することができる。
さらに、電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステムを搭載。これは低速走行時にスウェイバーのロックを解除することでサスペンションストロークを最大25%拡大できるというもの。凹凸の激しい路面や岩場などで絶大な効果を発揮する。また、フロントグリル内には前方の障害物などをクローズアップするオフロードカメラが備わるなど、デジタル化されている。 パワートレインは、今どき貴重な自然吸気の3.6L V型6気筒 DOHCエンジンで、8速オートマチックトランスミッションを組み合わせる。最高出力284ps、最大トルク347N・mを発揮し、大きくて重いボディを忘れさせるほど軽快に走る。
乗り心地に関しても、ジープ ラングラーが現行型でより乗用車的なものへと大きく改善しているが、グラディエーターはロングホイールベースの恩恵もあってそれ以上に快適に感じられる。後方のベッドを見なければ、トラックとは気づかないかもしれない。
トラックといえどもADAS(先進運転支援システム)は最新のもので、自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどはしっかり備わっている。また全長が長く、後ろが見えにくいトラックだけに、ギアを「R」に入れると、後方の様子を広角映像でモニターし、後退時にはステアリング角度に応じてグリッドラインまで表示してくれるのは、とてもありがたい。
インフォテイメントはApple CarPlayに対応。iPhoneユーザーなら使いなれたSiriを利用した音声コントロールも可能だ。頭上にはオーバーヘッドサウンドバーが備わっており、その他に耐候型サブウーハーなど計9基のスピーカーが、迫力のあるサウンドを奏でる。
日本においてはメルセデス・ベンツ Gクラスやジープ ラングラーは、軍用車をルーツとする本物感、四角いスタイルが、都市生活者のファッションアイテムとして高い人気を得ている。しかし、このグラディエーターが醸し出すオーラは、それらとは一線を画している。まるで車が人を選ぶように、仕事であれ遊びであれ、そのポテンシャルを使いこなせるライフスタイルを送る人にこそふさわしい。 文/藤野太一 写真/柳田由人
ジープ グラディエーターの中古車市場は?
アメリカでは2019年に登場しているが、日本では2021年11月から正規輸入されているピックアップトラック。中古車は20台以上が流通しているが、平均価格は人気の高さを反映し約840万円となっている。販売店が自社で輸入した並行輸入車も多い。正規モデルと異なる仕様だったりするので、物件の現車チェックは必須だろう。正規輸入車ではないものの気に入った仕様を探せる、というおもしろさもある。 ジープ グラディエーターの中古車を探す▼検索条件ジープ グラディエーター× 全国文/編集部、写真/Stellantisジャパン【試乗車 諸元・スペック表】●3.6 ルビコン 4WD型式7BF-JT36最小回転半径-m駆動方式4WD全長×全幅×全高5.6m×1.93m×1.85mドア数4ホイールベース3.49mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.64m/1.63mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量2280kgシート列数2最大積載量250kg乗車定員5名車両総重量2805kgミッション位置フロア最低地上高-mマニュアルモード◯ 標準色ブラッククリアコート、ファイヤークラッカーレッドクリアコート、ブライトホワイトクリアコート、グラナイトクリスタルメタリックC/C、スティンググレークリアコート、サージグリーンクリアコート、シルバージニス クリアコートオプション色ハイドロブルーパールコート掲載コメント-型式7BF-JT36駆動方式4WDドア数4ミッション8ATAI-SHIFT-4WS-標準色ブラッククリアコート、ファイヤークラッカーレッドクリアコート、ブライトホワイトクリアコート、グラナイトクリスタルメタリックC/C、スティンググレークリアコート、サージグリーンクリアコート、シルバージニス クリアコートオプション色ハイドロブルーパールコートシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径-m全長×全幅×全高5.6m×1.93m×1.85mホイールベース3.49m前トレッド/後トレッド1.64m/1.63m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量2280kg最大積載量250kg車両総重量2805kg最低地上高-m掲載用コメント-エンジン型式G環境対策エンジン-種類V型6気筒DOHC使用燃料レギュラー過給器-燃料タンク容量83リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量3604cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成-最高出力284ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm347(35.4)/4100エンジン型式G種類V型6気筒DOHC過給器-可変気筒装置-総排気量3604cc最高出力284ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm347(35.4)/4100環境対策エンジン-使用燃料レギュラー燃料タンク容量83リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成-
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