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「格上の2.7LV6を明らかに超越する動力性能」2LV6ターボ搭載の隠れスポーティサルーン! レジェンドV6Ti 【ManiaxCars】

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「格上の2.7LV6を明らかに超越する動力性能」2LV6ターボ搭載の隠れスポーティサルーン! レジェンドV6Ti 【ManiaxCars】

全身にみなぎるホンダのチャレンジング・スピリット!

NA的なフィーリングでトルク感満点の走り

「格上の2.7LV6を明らかに超越する動力性能」2LV6ターボ搭載の隠れスポーティサルーン! レジェンドV6Ti 【ManiaxCars】

ウイングターボ搭載のKA5レジェンドV6Ti/同エクスクルーシブが登場した1988年と言えば、まさにニッサンの猛攻が始まった年。Y31シーマにS13シルビア、A31セフィーロが世に放たれ、翌年にはZ32フェアレディZにR32スカイラインGT-R、G50インフィニティQ45と、名車が続々と登場した。

そんな状況だったから、世のクルマ好き連中はニッサンの動向を注視していたに違いないし、まだ高校生だったオレも、もちろんそうだった。なもんで当時、オッサンが乗るセダンくらいにしか思ってなかったレジェンドなど眼中にあるはずもなかったわけで。

その存在を認識したのは20年くらい前のこと。クルマ雑誌の仕事を始めて何年か経った頃、よく一緒に取材に行っていた某カメラマンが足グルマとしてレジェンドV6Tiを買ったのだ。ホンダにしては珍しいターボ車、しかもちょっと変わったウイングターボを採用…ということを知って初めて興味を持った。

発売は88年10月。リヤサスがストラット式からダブルウィッシュボーン式に改められ、上級モデルに搭載されるV6エンジンは排気量を2.5Lから2.7Lに拡大し、専用設計のボディを持つ2ドアハードトップが追加され…と、内容盛りだくさんなマイナーチェンジを実施。その一環で新たにラインアップされたグレードがV6Tiと、装備の充実化が図られた同エクスクルーシブだ。

エンジンは既存の2LV6SOHC、C20A型のターボ仕様。エキゾーストハウジング内に排気ガスの流れをコントロールする4枚の可変フラップを内蔵した、俗に“ウイングターボ”と呼ばれる独自のメカニズムを持つタービンが採用されていた。

ちなみにC20A型のボアストローク比は0.768(φ82.0×63.0mm)。この数値、実はスバルEJ20の0.815(φ92.0×75.0mm)を大きく下回っていることから、超ショートストローク型ということがわかる。SOHCながら吸気2、排気2の4バルブヘッドを持ち、ターボ化に際してピストンやクランクシャフトを強化。圧縮比も低められている。

ドアトリムとデザインの連続性が持たされ、包まれ感を演出するダッシュボード。Tiに対して同エクスクルーシブは装備が充実し、メーターナセル左側にはオーディオリモートコントロールスイッチが備わる。メーターは、スピードメーターを中心として左側にタコメーター、右側に水温計と燃料計、ATポジションインジケーターが並ぶ。

上級グレード、エクスクルーシブのセンターコンソールに用いられるのは、樟(くすのき)の美しい木目部分だけを使った天童木工による本木目パネル。エアコンはフルオートが標準で、その下に2DINオーディオ、小物入れ、フタ付き灰皿が配置される。

シート表皮にはウールコンビを採用。Ti/同エクスクルーシブの前席はサイドサポートの大型化でホールド性を高めた専用バケットタイプが装着される。

後席は大人2人がくつろげるスペースを確保。エクスクルーシブではヘッドレストが上下前後調整式に、左右シートベルトが3点式になるのがTiとの違いだ。

バンパー直上からトランクパネルが開き、大きな開口面積を誇るラゲッジルーム。リヤサスペンションの張り出しがやや大きめだけど、幅、奥行き、深さともに十分で実用的。5ナンバーボディのセダンとして優秀なパッケージングを持つ。

続いて外装。室内側のオープナーを操作するとボンネットがポップアップし、フロントグリルのすき間からノブが出てくる。これを手前に引くことでロック解除。国産車でこの方式を採用してるケースは珍しく、ヨーロッパ車的なつくりだ。

フロントと同様、ブリスター化が図られるリヤフェンダー。フロントは1枚モノのパネルに対してだけど、リヤはフェンダー&ドアパネルで連続するため手が込んでいる。光の加減によってボディサイドの表情に変化を与えるデザイン処理だ。

標準装備のアルミホイールはリム幅5.5J。タイヤは標準195/65R15サイズのグッドイヤーGTエコステージが組み合わされる。また、サイドモールやフェンダーアーチ、ヘッドライト周りにはメッキモールが使われ、ラグジュアリー感を演出している。

…と、内外装をひと通りチェックしたけど、気になるのはなんといってもそのエンジンフィールであり、走りだ。というのも、「その構造からしてウイングターボはキワモノなんじゃないか?」という疑念を拭えずにいたから。技術としては優れてるけど、機能性や実用性の面でまるで話にならないなんてことはいくらでもあるわけだし。

ところが、いざ走り出してみると、最初のアクセルひと踏みで疑念が一気に吹っ飛んだ。ウイングターボの完成度、こいつはホンモノだ!

なにがスゴイって、まず2000rpm手前でフルブーストに達すること。そんな低回転域からブースト圧が立ち上がれば走行中にターボラグを感じることは皆無だし、その時点でほぼ最大値に近いトルクも出てるから、エンジン特性としては非常に扱いやすく、しかも実質的に速い。「これ、ホントに2Lの6発か!?」と思うほどだ。

それでいながら3000rpm付近からパワーを高めつつ、6発らしいスムーズなフィールを保ったままタコメーターの針が上昇。6000rpm手前までしっかりパワーもついてきてくれる。それも、ある回転域を境にパワーを盛り上げるのでなく、あくまでもエンジン回転数に比例している。

加速中、エンジンルームからかすかに聞こえる過給音がそれを伝えてくるくらいで、フィーリング的にはよくも悪くもターボらしくないターボだけど、ゼロ発進からの加速勝負をしたら間違いなく2.7LV6を置き去りにできる…そう確信できるほど動力性能は圧倒的だ。

もちろん、クルージング中は静粛性に優れたラグジュアリーセダンそのもの。低中速トルクを稼ぎ、レスポンスに優れ、過給機の存在を感じさせないエンジンフィールを持つという意味で、もしかしたらC20A型ターボ仕様は、いまハヤリのダウンサイジングターボに通じるモノがあるのかもしれない。

もうひとつ言えば、エキゾーストハウジングに内蔵された4枚のフラップが、アクセルペダルの操作に応じてキメ細かく開閉するさまを頭に思い浮かべながら走るのが、ウイングターボならではの楽しみ方だ。

試乗前は勝手に繊細なイメージを抱いてたけど、実際はその正反対でスムーズかつジェントル、フィーリングも頼もしかった。ホンダの技術の粋を集めたメカニズム。30年前に実現していたウイングターボには、その高い完成度も含めてただ驚くしかない。

■SPECIFICATIONS

車両型式:KA5

全長×全幅×全高:4690×1695×1390mm

ホイールベース:2760mm

トレッド(F/R):1475/1455mm

車両重量:1420kg

エンジン型式:C20A

エンジン形式:V6SOHC+ターボ

ボア×ストローク:φ82.0×63.0mm

排気量:1996cc 圧縮比:9.0:1

最高出力:190ps/6000rpm

最大トルク:24.6kgm/3500rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRダブルウィッシュボーン

ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤサイズ:FR195/65R15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

取材協力:東京GT倶楽部 東京都羽村市富士見平2-1-1 TEL:042-570-2160

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