現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > マツダ社員が紡いだロータリーの軌跡!! 執念の試作車が生んだ「RX-8」誕生秘話

ここから本文です

マツダ社員が紡いだロータリーの軌跡!! 執念の試作車が生んだ「RX-8」誕生秘話

掲載 15
マツダ社員が紡いだロータリーの軌跡!! 執念の試作車が生んだ「RX-8」誕生秘話

 最近、MX-30 ロータリーEVが登場したことにより、久々にロータリーエンジンが復活した。しかし、駆動にロータリーエンジンを使用しているのは現状RX-8が最後だ。登場当初は色々とマイナスなポイントも言われていたRX-8であったが、そこには当時のマツダの黒があったのだ。

文/西川昇吾、写真/MAZDA

マツダ社員が紡いだロータリーの軌跡!! 執念の試作車が生んだ「RX-8」誕生秘話

■フォードの指示で4ドアに

マツダがフォードの傘下でRX-7の意思を継がせるために、開発した
ロータリーエンジン車の復活だ

 2003年に登場したRX-8。それまでロータリーエンジンを搭載していた先代モデルと言えるスポーツカーはRX-7だった。

 軽量な2ドアクーペで、ターボで武装したハイパワーなRX-7はピュアスポーツとも評価されていて、ファンも多かったモデルだ。

 そんなモデルの後継ということもあり、NAで最高出力がRX-7より劣るエンジン、観音開きの4枚ドアで大きくなったボディと車重などを理由に残念な印象を持ってしまう声もあったそうだ。

 しかし、これにはマツダの背に腹は代えられない事情もあった。RX-8の開発時、マツダは経営危機にあり、フォードの傘下にあった。そのため一時期はロータリーエンジンを搭載したスポーツモデルの開発すら凍結されていたほどであった。

 それを何とかしてRX-8の開発にまでこぎ着けたのだが、「スポーツカー向けの保険料の対応などにより、4ドアとすること」がフォードからの指示であったのだ。もしこの指示が無ければRX-8は違う形で登場していたかもしれない。

■極秘で勧めたロータリースポーツカーの開発

フォード傘下に入った1996年当時、新型車の開発にはコスト的な制限が多くあった。優先されていたのは収益性の高いフォードとの共同開発車種が中心。

 ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーの開発は正直フォード経営陣にとっては二の次であったことだろう。

先に述べたようにロータリーエンジンを搭載したスポーツカーの開発は凍結されていた。しかし、ロータリーエンジンという技術はマツダのみが実用化することが出来た唯一無二のメカニズム。

 この技術を絶やす訳にはいかないという思いを持ったマツダのエンジニアたちがいた。

 彼らは業務時間外で秘密裏にロードスターをベースにした試作スポーツカーを開発した。ロータリーの特徴を生かし、可能な限り車体中央にレスポンスの良いNAエンジンを搭載した優れたコーナリング性能を持つクルマで、自信作であった。

 この自信作を役員たちが行う試乗評価イベントにサプライズで持っていき、その場で是非ドライブしてほしいと申し出たのだ。

 このテスト走行が後にRX-8へと続くロータリーエンジンの延命を決定づけたと言えるだろう。テストで好感触を持った役員により、ロータリーエンジン搭載車の開発の継続と量産化へと繋がったのだ。

 登場当初は国産トップレベルの速さを誇ったRX-7の後継ということもあり、なかなか高い評価を得るのが難しかったRX-8。しかし、その裏にはフォードから課せられた厳しい指示と、何よりロータリーエンジンの存続の危機があったのだ。

 しかし、そんな状況でもRX-8として実を結ぶことができた。そこまでたどり着くことが出来たのはマツダのロータリーエンジンに対する誇りと熱い想いがあったからだ。

 実際にRX-8に乗ってみると、自然吸気のロータリーエンジンは高回転までストレスなく吹け上がってとても気持ちいいフィーリングだし、ハンドリングも重量物が可能な限り真ん中に寄せられているため、安定感がありながらも軽快で楽しいものに仕上がっている。

 運転していて間違いなく愉しさのあるスポーツカーだ。

 様々な厳しい状況の中、ロータリーエンジンを継続させRX-8を何とかして世に送り出したマツダには拍手だ。

関連タグ

こんな記事も読まれています

ルノー ソニア・ビシェさんに「カングー」提供 フランス最優秀職人章のシェフ 国内移動に利用
ルノー ソニア・ビシェさんに「カングー」提供 フランス最優秀職人章のシェフ 国内移動に利用
グーネット
アストンマーティン 限定モデル「ヴァリアント」英グッドウッドで世界初公開
アストンマーティン 限定モデル「ヴァリアント」英グッドウッドで世界初公開
グーネット
認証不正問題を理解するキーワード「WP29」【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
認証不正問題を理解するキーワード「WP29」【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
グーネット
新型[デリカ]が衝撃デザインでデビューへ!! [クルマが透ける]機能まで!? 2026年登場で600万円か
新型[デリカ]が衝撃デザインでデビューへ!! [クルマが透ける]機能まで!? 2026年登場で600万円か
ベストカーWeb
ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
Auto Messe Web
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
グーネット
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
グーネット
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
AUTOCAR JAPAN
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
グーネット
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
グーネット
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
グーネット
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
AUTOSPORT web
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
くるまのニュース
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
AUTOCAR JAPAN
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
Auto Messe Web
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
AUTOSPORT web
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
AUTOCAR JAPAN
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
レスポンス

みんなのコメント

15件
  • guc********
    ロータリーが再販されたならまだしも秘話ってほどの話じゃない。この記事に興味がある人なら殆どが知っている。
    そのロータリーも...
  • dai********
    マツダの黒…白は無かったのかな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

263.0325.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0369.8万円

中古車を検索
RX-8の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

263.0325.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0369.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村