トヨタが2027~28年頃を目途に量産する予定の全固体電池。愛知県内のトヨタ貞宝工場で、試作に向けた開発ラインを視察。想像していたことは少し違った印象を受けた。トヨタの真骨頂であるTPS(トヨタ生産方式)によるカラクリをじっくり見た。
化学の世界での最新技術を期待するも…
全固体電池だけじゃなかった。“バッテリーのフルラインアップ化”を目指すトヨタが見せた底力
トヨタが2023年9月中旬に愛知県豊田市とその周辺で、一部報道陣向け実施した「モノづくりワークショップ2023」。
その中で、注目の話題が全固体電池の開発ラインだ。
設置されているのは、貞宝(ていほう)工場。今回の視察では、同工場内で次世代電池普及版(バイポーラ型リチウムイオン電池)の開発ラインを見た後に、全固体電池の開発ラインを見るという順番だった。
現行のリチウムイオン電池(または次世代電池普及版等)が正極と負極がセパレーターを挟み、これらを液状の電解液で覆う構成であるのに対して、全固体電池は電解液の役割を固体で行うタイプの電池を指す。
一般的には、充放電の効率や、安全性が高まると言われてる。
今回の視察では、次世代電池普及版(バイポーラ型リチウムイオン電池)で、集電体に負極または正極を塗工する工程を見ており、「いかにも電池技術らしい化学の領域での最新技術」という印象があった。
そのため、視察のメインイベントというべき全固体電池の開発ラインでも、化学的な技術詳細が明らかになるのではないか。
そんな期待を抱いての視察だった。
だが、全固体電池の開発ラインはビニールの壁で覆われており、その内部に入ることはできなかった。
今回公開されたのは、加工された電池部品を組立てる工程のみだった。
いかに速く・ダメージなく・精度良く「積むか?」がカギ
視察で公開された全固体電池の組立設備。
これは、トヨタが独自に開発したものだ。
その作動を見る前に、トヨタから全固体電池の取組についての資料が示された。
まず指摘したのは、「全固体電池のうれしさ」だ。
充電時間の比較では、現行電池の急速充電での30分を基準とすると、液状電解液による次世代電池(トヨタがいう、パフォーマンス版)で20分とあり、これが全固体電池になると10分となり、現行電池の3分の1まで一気に短縮される。
次に、航続距離では現行電池に比べて、次世代電池パフォーマンス版で200%となり、全固体電池ではさらに20%増となる。
このように、全固体電池のメリットは充電時間の短さで目立つ。
また、化学の領域では、電池の造り方として、材料の加工、材料を潰して固める電池加工、そして電池組立という手順となると指摘した。
組立工程では、板状のなった電池部材を、いかに速く、ダメージなく、そして精度良く積層するかが、生産技術におけるチャレンジだという。
トヨタ独自開発の設備では、互いに高速で動いている上のパレットと下のパレットのそれぞれに爪があり、それをつかむこと、そして離すことを同期されているのが分かった。
トヨタは「製造ラインを停めずに、速度を同期させ、相対速度ゼロで積む」という、機械的な「からくり」であると説明する。
すでにナンバー付き車両、量産は27~28年
トヨタが示す全固体電池の「開発シナリオ」によると、全固体電池を搭載したナンバー付き車両が2021年に登場済み。
現時点では、製品開発と量産工法の開発をしている段階。
量産については、次世代BEV向けに2027年から2028年を目途にチャレンジしていくという。
2010年代には、夢の電池とも称されていた全固体電池。
今回のトヨタ貞宝工場での開発ラインを見る限り、トヨタがいう近年中の量産の可能性は十分あるものという印象だ。
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みんなのコメント
半導体メモリーや液晶テレビなどいつのまにか盗まれて隣国がボロ儲けしてる例があるから