現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「アタリ」がついたCX-60は無敵か!? マツダが繰り出す「直6+FR」はホンモノなのか?

ここから本文です

「アタリ」がついたCX-60は無敵か!? マツダが繰り出す「直6+FR」はホンモノなのか?

掲載 222
「アタリ」がついたCX-60は無敵か!? マツダが繰り出す「直6+FR」はホンモノなのか?

「なんでいまさら直6のFRベースなの」「偏屈ここに極まれり」「マツダはどうかしたんじゃないか」。マツダの新路線とラージ商品群に、次々と降りかかる悪口雑言。

 実際、(2022年)8月に行われた新型車CX-60のプレス試乗会では、乗り心地の悪さに対して不満が続出したという。マジで大丈夫なのか、マツダ?

「アタリ」がついたCX-60は無敵か!? マツダが繰り出す「直6+FR」はホンモノなのか?

 ここでは2022年8月の試乗会、2022年10月初旬の試乗で3台のCX-60に試乗した自動車評論家 清水草一のインプレッションをご紹介! 果たしてマツダの「直6+FR」は“ホンモノ”なのか?

※本稿は2022年10月のものです
文/清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年11月26日号

■強烈な疑問を感じざるを得ない仕上がり

 本気なのかマツダ! 大丈夫なのかラージ商品群! バブル期の5チャンネル態勢のような大惨事にならないか!?

 そう思いつつも、「直6」や「FRシャシー」という魅惑の単語が現実のものになると、クルマ好きとしては、よくぞ出してくれたと喝采するしかなくなる。霜降りの松阪牛を前にした中高年のように。

マツダ CX-60。デザインはマツダのデザイン文法に則っているが、ラージクラスらしい厚顔とロングノーズのシルエットは、CX-5やCX-8とは明確に異なる。まさに堂々たる旗艦だ

 ただ、2022年8月の試乗会では、CX-60 XDハイブリッド(直6、3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド)の仕上がりに強烈な疑問を感じた。

 私が最初に乗った個体など、ステアリングからして動きがメチャ渋い。エンジンの回りも重くパワーがない。

 サスペンションに至ってはガッチガチで跳ねまくり。「こりゃ耐えられん!」と悲鳴を上げた。やっぱり無謀だったのかラージ商品群! マツダはCX-60とともに地獄に堕ちるのか!?

 がしかし、2番目に乗った個体は別物だった。ステアリングは重めながら、滑らかに回る。エンジンの回転フィールも上々で、勇ましくも贅沢なサウンドとともに、充分な加速を見せた。

 サスペンションはスポーティでハードだけど、まあまあしなやかに動くじゃないか。

 走行距離は、1番目が約2000km、2番目が約4000km。これはひょっとして、距離を走ればなじんでくるクルマなのか?

 最大のアドバンテージは、やはり直6ならではの贅沢で滑らかな回転フィールと、FRらしいロングノーズフォルムだ。FFベースの直4とは格が違う!

 デザインレベルもさすがマツダ。堂々としていて美しい。これが500万円台は安い!

 うむ、CX-60に勝機はあるっ! もうちょっと距離が延びれば、もっとよくなるかもしれないし。

■走行距離6700kmの個体は「完全な直6」に 驚異的な燃費も記録

新車時はすべての動きが渋いが、マイレージが伸びるごとにすべてがなじみ、アタリがついていく。すべての生産車が同じ道をたどるかどうかはわからないが、期待はできるはずだ

 2022年10月初旬、走行距離6700kmの個体に乗った。

 おお! やっぱりさらにアタリがついている!

 サスペンションのフィーリングは、動き出した瞬間から違っていた。がっちりと大地を踏ん張りながらも、路面の凹凸をフツーにいなしてくれる。

 乗り心地がいいとまでは言えないが、ガキッと骨太なフィーリングは、モロにドイツ車的で頼もしい。

 この調子でアタリがつけば、1万kmくらいで完成形になりそうな気がする。完全にアタリがつくのに1万kmだなんて、まるで20世紀のベンツみたいだ!

 エンジンも、さらにアタリがついていた。

 4000kmの段階ではまだ粗削りな振動があり、「直6というよりV6やV8的」と感じたが、6700kmで完全に直6になっていた。

 この「トゥルルル~」というシルキーな回り方は完全バランスの直6ならではのもの。高速巡航でのハーフスロットルが気持ちイイ!

 スポーツモードでフルスロットルかませば「ダルルル~!」と王者の咆哮だ。勇ましくも洗練されたいい音がするぜ!

 そして燃費。これがe-SKYACTIV D最大の美点かもしれない。

 一般道と高速道路を使った軽いロングドライブで、リッター18km。高速巡航のみならリッター20km超え。このクラスのSUVで、3.3Lの直6を積んで、この燃費はあり得ない! スゲエぞCX-60!

 こんな低燃費で走りながらも気分は陸の王者。デザインも走りもドイツ製SUVと同じ土俵にいる感がビンビンだ。勝てる、これならドイツ車に勝てる!!

●清水草一氏のインプレッションの推移
・乗り心地がメチャ悪!? → 距離を走ればなじむ!
・意外とパワーがない!? → 充分だし燃費がスゲエ!
・ヤケに音がうるさい!? → エモーショナルなサウンドだ!
・トルコンレス8ATはヤバイ!? → 大丈夫だと信じよう!
・もう見飽きたデザイン!? → やっぱり美しいぞ!

●マツダ CX-60(e-SKYACTIV PHEV)主要諸元
・全長×全幅×全高:4742×1890×1691mm
・ホイールベース:2870mm
・エンジン:直4 2488cc+モーター
・エンジン出力:191ps/6000rpm
・エンジントルク:26.6kgm/4000rpm
・モーター出力:175ps/27.5kgm
・システム出力:327ps/51.0kgm
・トランスミッション:8速AT
・バッテリー容量:17.8kWh

●マツダ CX-60(e-SKYACTIV D)主要諸元
・全長×全幅×全高:4742×1890×1691mm
・ホイールベース:2870mm
・エンジン:直6 3283ccディーゼルターボ + モーター
・エンジン出力:254ps/3750rpm
・エンジントルク:56.1kgm/1500~2400rpm
・モーター出力:17ps/15.6kgm
・トランスミッション:8速AT
・バッテリー容量:0.33kWh

【番外コラム】驚愕!! 拍子抜け!? 自動ドラポジガイド

 CX-60には、「自動ドライビングポジションガイド」なるシステムが装備されている。

 正しい運転姿勢にウルトラ級に強いこだわりを持つ、なんともマツダならではの装備と言えるだろう。

 まず身長を入力。すると、カメラで目の位置を測定し、その人に合ったシートやステアリングの位置を自動的に推奨してくれるのだ。

 果たしてどんなドラポジが推奨されるのか。ひょっとしてラリードライバー並みの、ステアリングを抱え込むくらい前寄りのドラポジなのか!?

 そう身構えていたが、結果は普段より5cmくらい後ろのストレートアームに近いドラポジ……。

 いや、私にゃこりゃ遠すぎる! 少し前にずらして運転させていただきました。

自動ドラポジガイドに推奨されたポジションは、シート位置が後ろすぎたので、前に出した

こんな記事も読まれています

えぇ……エンブレム多すぎじゃない?! 主張が激しすぎた日産ミニバンのパイオニアがヤバすぎ
えぇ……エンブレム多すぎじゃない?! 主張が激しすぎた日産ミニバンのパイオニアがヤバすぎ
ベストカーWeb
椅子取りゲームとプラマック×ヤマハ。ヤマハが新型エンジンで試す事/MotoGPの御意見番に聞くオランダGP
椅子取りゲームとプラマック×ヤマハ。ヤマハが新型エンジンで試す事/MotoGPの御意見番に聞くオランダGP
AUTOSPORT web
KINTO 法人・個人事業主向けサポートデスク開設 ユーザーごとに専任担当が対応
KINTO 法人・個人事業主向けサポートデスク開設 ユーザーごとに専任担当が対応
グーネット
参加型イベント「マツダファンフェスタ2024」開催!家族でマツダ車を満喫する2日間に
参加型イベント「マツダファンフェスタ2024」開催!家族でマツダ車を満喫する2日間に
グーネット
軽自動車にナンバーの[封印なし]!! [車庫証明]も不要な意外なワケ
軽自動車にナンバーの[封印なし]!! [車庫証明]も不要な意外なワケ
ベストカーWeb
アバルト「695」最後を飾る限定車!ゴールド×黒のコントラストで重厚感を演出
アバルト「695」最後を飾る限定車!ゴールド×黒のコントラストで重厚感を演出
グーネット
三菱「トライトン」が“移動するDJブース”に!全国のダンスイベントを盛り上げる
三菱「トライトン」が“移動するDJブース”に!全国のダンスイベントを盛り上げる
グーネット
333馬力を放つ『ゴルフR』『Rヴァリアント』が世界初公開。進化を続けるフォルクスワーゲン最強モデル
333馬力を放つ『ゴルフR』『Rヴァリアント』が世界初公開。進化を続けるフォルクスワーゲン最強モデル
AUTOSPORT web
大変失礼だけど[イタフラ車]だけで大丈夫なの!? しかも土地代バカ高い世田谷だよ!? 老舗ラテン系専門中古車店のビジネスの実態が衝撃
大変失礼だけど[イタフラ車]だけで大丈夫なの!? しかも土地代バカ高い世田谷だよ!? 老舗ラテン系専門中古車店のビジネスの実態が衝撃
ベストカーWeb
アロンソの“個人的な要望”から生まれたV12+6MTの限定車『ヴァリアント』がグッドウッド出走へ
アロンソの“個人的な要望”から生まれたV12+6MTの限定車『ヴァリアント』がグッドウッド出走へ
AUTOSPORT web
「失敗作の汚名挽回!!」大胆イメチェンで一発逆転!! 大成功したクルマたち
「失敗作の汚名挽回!!」大胆イメチェンで一発逆転!! 大成功したクルマたち
ベストカーWeb
ガソリンがリッター424円! 激高なアウトバーンのスタンドで給油せずに節約するためにとった方法とは?【みどり独乙通信】
ガソリンがリッター424円! 激高なアウトバーンのスタンドで給油せずに節約するためにとった方法とは?【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
フォルクスワーゲンが新型車5モデルを同時に発表|Volkswagen
フォルクスワーゲンが新型車5モデルを同時に発表|Volkswagen
OPENERS
【635ps/750Nm】トップ・オブ・新時代ディフェンダーあらわる ランドローバーからディフェンダー・オクタ発表
【635ps/750Nm】トップ・オブ・新時代ディフェンダーあらわる ランドローバーからディフェンダー・オクタ発表
AUTOCAR JAPAN
非ハイブリッドの「欧州最速」仕様 ポルシェ・カイエン GTSへ試乗 コレぞ運転を楽しめる大型SUV!
非ハイブリッドの「欧州最速」仕様 ポルシェ・カイエン GTSへ試乗 コレぞ運転を楽しめる大型SUV!
AUTOCAR JAPAN
F1パワーユニット開発に取り組むアウディ、すでにレース距離のシミュレーションも実施。他カテゴリーでの経験が大きな資産に
F1パワーユニット開発に取り組むアウディ、すでにレース距離のシミュレーションも実施。他カテゴリーでの経験が大きな資産に
AUTOSPORT web
中国からの刺客 BYD新型EVスポーツセダン「SEAL(シール)」販売開始 
中国からの刺客 BYD新型EVスポーツセダン「SEAL(シール)」販売開始 
AUTOCAR JAPAN
フォルクスワーゲン、5つの新型車を同時発表『Tクロス』『ティグアン』『パサート』『ゴルフ/同ヴァリアント』が順次発売
フォルクスワーゲン、5つの新型車を同時発表『Tクロス』『ティグアン』『パサート』『ゴルフ/同ヴァリアント』が順次発売
AUTOSPORT web

みんなのコメント

222件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1480.02480.0万円

中古車を検索
FFの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1480.02480.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村