この記事をまとめると
■気候変動による影響が全国各地で現れている
クルマが「ボッコボコに凹んで」修理費100万円オーバーもザラ! 他人事じゃない「雹害」の実態と対策と修理方法を調べてみた
■自然災害によるクルマへのダメージは大きい
■そこで今回は愛車を守る方法について解説
ダメージは全損事故と同等!? テレビで見ない日はない「水没車」
被害に遭ってみないと、なかなか実感が湧かない自然災害。しかし、ここ数年の気候変動がもたらす影響はタダ事ではない。豪雨による水没、ボディを凹ませる雹、車体を転覆させる竜巻……。いつ、誰が、どこで被災してもおかしくない異常気象。明日は我が身か? 果たして愛車を守る手立てはあるのか?
雷の直撃を受けると電気系統は一瞬でパァ!?
いまさら言うまでもなく、ここ数年、異常気象が猛威を振るっている。とりわけ、初夏から秋にかけて頻発するゲリラ豪雨や、線状降水帯による長引く大雨、あるいは猛烈な台風がもたらす風水害は、人命や家屋はもちろん、クルマに及ぼすダメージも甚大だ。テレビやネットのニュースなどで、冠水した道路や、河川の氾濫にハマって水没したクルマの映像を見ない日はない。
発達した積乱雲に伴う雹や竜巻、落雷もしかり。大雨と比べて頻度が少なく、局地的に発生するため報道されることは少ないが、降雹がクルマの全周にわたってボディを激しく凹ませることは珍しくなく、風速50メートルを優に超えると言われる竜巻に至ってはクルマを転覆させることなどいともたやすい。
クルマが受けるダメージは「こすった」「ぶつけた」といった事故よりはるかに大きく、被害額も格段に大きくなる。
また、「クルマには雷が落ちない」という話を聞くことがあるが、これはウソ。本当は、雷=電流はタイヤを介して路面に抜けるため、車内にいる人間はとりあえず安全ということ。雷の直撃を受けたクルマの窓が割れたり、車体の一部が焼け焦げたりするのは事実で、最悪、コンピュータを含む電気系統が一瞬でパァになることもあるという。
家は動かせなくてもクルマは高台に退避可能
では、我々が異常気象に対して、つねに危機感を持っているかといえば疑問だ。
たとえば、高架下などに見られる“アンダーパス”で水没するクルマ。とくに水が溜まりやすく、水深が深くなる危険箇所で、警告看板が設置されていることも多い。にもかかわらず、「イチかバチか」で突っ込むクルマがあとをたたない。雪が降っているのに、「なんとかなるだろう」と夏タイヤのまま出かけて、立ち往生する非降雪地のドライバーと同じだ。
アンダーパス同様、集中豪雨や大雨(洪水)を伴う台風では低地ほど浸水・冠水のリスクが高まるが、無頓着な人が多い。こうした低地の立体駐車場(下段)や、道路よりも低い位置に設けられている地下駐車などは、水没の危険と隣り合わせであることを普段から認識しておくべきだ。
突発的なゲリラ豪雨はまだしも、数日前から大雨が予想される台風なら被害を最小限に抑えることは可能。わざわざ危険な目に遭う必要はない。まず、不要不急の外出は避けること。また、居住地が低地なら、あらかじめ高台にクルマを退避させておく慎重さもほしい。家を移動させることはできないが、クルマは動かすことができるのだから。
「自分が住んでいる場所の危険度がわからない」という人は、自治体(市役所、町村役場、区役所)が配布している“ハザードマップ”を参考にしたい。地図上に、崖崩れなどの土砂災害のほか、低地など浸水・冠水のリスクが高い区域が色によって詳細に記されている。河川や湖、沼、海などに近い低地ほど、より危険度が増すと考えて間違いないだろう。
イザというときの備え「車両保険」
エコノミー型車両保険も自然災害をフルカバー
クルマを所有するすべてのドライバーには自賠責保険の加入が義務づけられている。そして、自賠責保険で補償できない分(対人・対物など)をカバーするのが損保会社の任意保険で、現在の加入率は約9割。さらに、自損事故も含めて自分のクルマの損害もカバーする「車両保険」の加入率は、そのうちの半数程度だという。
ここで保険の宣伝をするつもりはないが、昨今の異常気象による被災の頻度や、クルマが受ける損害の大きさを知るにつけ、安い掛け金ではないが、車両保険に入っていたほうがいいとシミジミ思う。
浸水や、降雹、竜巻、落雷のほか、台風の強風などで飛来した木片や屋根瓦がボディを直撃したなど、自然災害が原因のすべての損害がカバーされるからだ(ただし契約している補償限度額まで)。
自然災害による損害額は莫大で、水没したり、雹でボディが広範囲にダメージを受けた場合の修理費用は数百万円にのぼることもザラ。それが全額自腹か、一部でも補填されるかの差は大きい。
また、修理金額が補償限度額を超えた場合は、全損扱いで保険金を次に買い換えるクルマの購入費用の一部に充てることも可能だ。
「一般型」と比べて補償範囲が狭い分、掛け金が抑えられる「エコノミー型」と呼ばれる車両保険でも、自然災害による損害については、すべてカバーされる点もまた心強い。
自動車保険は、加入期間に応じた保険料の割引(/割増)が受けられる制度、“ノンフリート等級”を設けている。基本的に1回の事故で3等級ダウン。割引率が下がって保険料は上がる仕組みだが、自然災害による"事故"については、等級のダウンは1つ。2年後には元の等級に戻る優遇措置も(通常は4年後に元の等級に戻る)。
これは、自然災害は避けようがないことを考慮してのこと自然災害でも、異常気象と異なる地震、噴火、津波による被災(事故)については特約を付けない限り適用外となっているので念のため。
冠水車・雹害車は査定で大幅な減額も……!
では、車両保険に入っていれば万全。なんら問題はないか、といえば違う。
まず、近年頻発している“雹害”。ダメージはボディの上部で大きいが、凹んだ屋根のパネルをCピラーから切り離して新しいパネルに交換する修理を行うと、下取り/買い取り査定で、“事故車”扱いとなり、大きな減額を余儀なくされる。
というのも、本来一体となっているパネルを切断し、熱を加えて溶接すれば、強度・剛性が著しく落ちる。また、パテを盛った接合部分はいずれ痩せる(凹む)など、修復の痕跡があらわになってしまうためだ。
もっと深刻なのは冠水車で、一般社団法人・自動車公正取引協議会によれば、ここ数年、中古車販売店と消費者とのトラブル(冠水車を冠水車ではないと偽って販売するなど)も社会問題化しているという。
動かなかくなったエンジンやトランスミッションといった機能部品は分解整備や、新品に交換するなどで修復可能だが、コンピュータ制御された最近のクルマには無数の配線が張り巡らされ、その結線部(コネクター内)が湿気を含むと、サビを生じてショートするなど看過できないトラブルも。
さらにキビしいのは車内。大抵の場合、クリーニングだけで完全に元に戻すのは不可能。汚れや悪臭が残り、汚泥に含まれるウイルスや細菌によって健康被害を引き起こす恐れもある。それこそフロアカーペットから内張り、シート、センターコンソールやダッシュボード……いっさいがっさい新品に交換する必要があり、修理費用が車両保険の補償限度額を超えてしまうことも珍しくない。
仮にそこまでして直したとしても、冠水車であることを隠せるわけはなく、大幅な査 定ダウンは免れない。
最近は、冠水車を専門に買い取る業者(部品取りや、多少の汚れや臭いは気にしない他国に輸出する)もある。一生に一度あるかないかのことかもしれないが、不運にも冠水させてしまったら、修理に出す前に相談してみる価値はある。
停電なんかもう怖くない!
HVの1500W電源はガソリン満タンで1週間
ここにきて政府はクルマを「自然災害時や電力需給バランスが逼迫したときに活用しよう」という方向性を打ち出してきた。実際、パワーユニットとして使ったときのポテンシャルって大きい。
トヨタのハイブリッド車の多くに装備されている100V/1500W給電装置は、数字どおりの電力を供給可能。私の家でいえば、昼間は大型冷蔵庫とエアコンひとつに、仕事場で使うPC環境など含め700~1200W程度。この程度ならハイブリッド車1台でまかなえてしまう。この間、エンジンがかかったり止まったりを繰り返すが、ガソリンを満タンにしておけば、とりあえず3日、4日くらい使えるから素晴らしい!
我が国の場合、メッタに遭遇しない大規模な自然災害を除けば停電は長くても1日。ハイブリッド車1台でご近所の携帯電話の充電ベースとして使ったって余裕だ。
ちなみに非常用電源として携帯発電機などもあるけれど、使っていないと「イザというときにエンジンかからなかった」みたいなことって“発電機あるある”。そもそも最近ガソリンスタンドに行っても携行缶だとガソリンを売ってくれない。クルマならガソリン自由に入れられる上、ふだん使っているから確実に電気を供給できる。
役に立つのは自然災害時だけじゃない。アウトドアでホットプレートを使って料理したり、美しい景色を見ながらコーヒー淹れたり。今やハイブリッド車は販売の主役になっているため、日本全国、自然災害が起きても停電で困らないようになると思う。
繰り返すけれど、車両に100V/1500Wのコンセントが付いているハイブリッド車やPHVは、ガソリンがある限り家電製品に電力を供給し続けられる心強い相棒になってくれる。
電源を引き出せる車種は政府の補助金も太っ腹!
大きな電力を取り出せるチャデモのカプラーを持つ車種もある。日本製の電気自動車や一部のPHV、MIRAIといった燃料電池車だ。チャデモから引き出せる電力は車種によって違うものの2000Wから4500Wと大きい。しかも電力会社から供給される、いわゆる「系列」の途中に組み込めるため、停電時も家庭用電力をカバーできる(停電時に自動切り替えするタイプも)。
フル充電してあるリーフ+やMIRAIなら、冷蔵庫とTV、照明くらいに使用量を絞ると(500Wと仮定)、3~4日分の電力をカバーできてしまう。前述のとおり日本の停電時間って大半が24時間以下。また、チャデモタイプだと今年のように電力需給が逼迫して節電要請のあった時間帯だけクルマから電力を引き出すという使い方だって可能だ。
政府としても「非常時や電力需給逼迫時に活用できる電源という点を評価しましょう」ということから補助金を出すようになった。
具体的に書くと、普通の電気自動車だと補助金65万円のところ、電力を引き出せる車種なら85万円に増額※(小型・軽EVは補助金45万円/条件付きで55万円)。PHVも通常45万円が55万円に増額される。それだけじゃない。チャデモから家庭用電力を引き出せるV2H(ヴィークルtoホーム)を同時に買うなら、V2H本体+工事費を補助するようなこともやっている。 ※外部給電機能としてのV2Xに対応、または1500W車載コンセント装備を有していること、かつ、「省エネ法トップランナー制度」の対象車両
※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております
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水が溢れるのは下町
川崎の小杉とかゼロメートだからタワマンも浸水