■買えないクルマが続出するさまざまな事情
最近の新車販売店からは「もはや売るクルマがありません」という話が聞かれます。さまざまな車種の受注(ユーザーから注文を受けること)が停止しているからです。
トヨタ新型「プリウス」正式発表! 黒トヨタマークがカッコイイ!
このほかにも受注を停止している車種は多く、その理由はさまざまです。もっとも深刻なのは、車種が多いトヨタでしょう。販売店では以下のように述べています。
「今は約半数の車種で受注が停止しています。例えば『プリウス』は年末にフルモデルチェンジを予定していますが、半導体やワイヤーハーネスなどの不足によって以前から納期が半年以上に延びていました。
そうなると現時点(2022年7月下旬)では年末に登場する次期型を受注する必要がありますが、その準備は整っていません。そこで受注を止めました。
受注再開の時期は未定で、早くても11月以降です」
そのほかの車種はどうでしょうか。
「『シエンタ』や『アルファード』もフルモデルチェンジを予定しており、以前から受注が停止しています。
マイナーチェンジや改良でも停止することがあり、『カローラクロス』『カムリ』『ハリアー』などは受注できません」(トヨタ販売店)
これらの受注停止は、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻を発端にしたパーツの供給不足による納期遅延が原因ですが、ほかの事情で停止することもあります。その典型が『ランドクルーザー』です。
ランドクルーザーは、もともと中東地域で約半数を売る計画を立てており、日本の割り当て台数は生産総数の10%以下でした。
しかも現行ランドクルーザーは、海外で予想以上に人気を得たため、発売直後から納期が4年以上に遅延。その結果、直近の受注停止に至りました。
ランドクルーザーが受注を止めた一番の理由は、生産計画の段階で国内市場を軽視していたことにありました。
※ ※ ※
日産では、新型になった「フェアレディZ」と「アリア」の一部グレードで受注が停止しています。
販売店は次のように説明します。
「新型フェアレディZは、原材料などの供給不足により、減産を強いられました。そのために現時点で受注しているお客さまの納期も、かなり遅れそうです。
もはや新規受注には対応できないため、停止させました。受注を再開する時期は不明です。
アリアも主なグレードは受注を止めています。納期も分かりません。フェアレディZとアリアは、技術の日産を代表する新型のスポーツカーと電気自動車ですから、この2車種を販売できないのは辛いです」
■EVは最大140万円の補助金が受けられない可能性も!?
新たな電気自動車として「ソルテラ」をラインナップに加えたスバルですが、同車も販売がストップしています。販売店に話を聞いてみました。
「ソルテラは、トヨタ『bZ4X』とあわせて、ハブボルトが緩む不具合が生じたことからリコールを届け出ました。この影響により、現時点(2022年7月下旬)では、ソルテラは受注を停止しています」
そうなると購入を希望する場合、補助金はどうなるのでしょうか。
「ソルテラの購入では、申請をおこなうと、経済産業省から85万円の補助金が交付されます。
都道府県や市区町村が独自に補助金を設定している場合もあり、例えば東京都は45万円、さらに足立区では10万円が交付されます。交付総額は計140万円です。
補助金を考えると、電気自動車は今が買い時ですが、登録を済ませないと申請できません。
つまり受注停止が解除され、注文を入れて生産され、登録してからの申請です。仮に明日受注が再開しても、登録できるのはおそらく来年でしょう」(スバル販売店)
ソルテラの納期を尋ねると「受注の停止前に注文されたお客さまの場合で、納車予定は11~12月でした」とのことです。つまり今後の注文では、2022年度の補助金に間に合わない可能性があります。
また「今は工場の生産も停止しているため、すでに注文されたお客さまの登録も遅れます。購入済みでも、今年度の補助金に間に合うかは微妙です」とのこと。
万が一、今年度の補助金に間に合わない時は、次年度に請求できますが、その予算や交付額は未定で、交付額が減る可能性もあります。
電気自動車は高価格で補助金の交付額も多く、その金額次第で損得勘定が大きく変わるため、購入時の経済的な負担が曖昧な商品だといえます。
このように、新車の受注が停止した理由は多岐にわたります。もっとも多いのは、半導体、ワイヤーハーネス、樹脂部品、塗料などの不足が納期を遅らせ、これがエスカレートして受注停止に至ったものです。
このほかにもソルテラやbZ4Xのようなリコールを伴う車両の不具合、ランドクルーザーなど販売計画に基づく根本的な車両の供給不足もあります。
それにしても、トヨタのように約半数の車種で受注が停止すると、ユーザーや市場に与える影響も大きいです。
今の新車需要は約80%が乗り替えに基づいています。乗っているクルマの車検期間満了が近付いたらそれを下取りに出して新車を購入する人が多く、新車の納期が延びると、使っている車両の車検期間が新車の納車前に満了するため車検を取り直す出費を要します。
そして新車が納車されないと下取りに出される車両も減り、中古車の流通台数も減少します。そのため需給バランスが変わって中古車価格が高くなるのです。
つまり、新車は買えず、さらに中古車は値上げして、すべてのクルマが購入しにくくなります。
この状態を考えると、古い車両の増税は直ちに廃止すべきです。納期が遅れると、新車を買いたくても購入できず、古いクルマを使い続けることになります。その結果として古いクルマに乗らざるを得なくなったユーザーの税額を増やすのは酷な話でしょう。
今は最初に登録されてから、ガソリンエンジン車は13年、ディーゼルエンジン車は11年を経過すると、自動車税や軽自動車税が増税されます。1.6リッターから2リッターの小型/普通乗用車は従来の1.4倍、軽自動車税は1.8倍に増えます。
自動車重量税も、ガソリンエンジン車の場合で13年を経過すると増税され、18年を経過した時点でも、2段階で税額が増えます。
増税の目的は「環境性能の優れた新車に乗り替えさせること」ですが、古いクルマのユーザーも、好んで使っているわけではありません。
年金で暮らしていたり、コロナ禍によって所得が減りながら、公共の交通機関が未発達な地域に住んでいるためにクルマを手放せないのです。
新型コロナウイルスと納期遅れも加わり、クルマを維持するために辛い思いをしているユーザーのことを考えると、増税は直ちに廃止して各種の税金も見直すべきでしょう。
そしてメーカーについては、日本の企業としてどの市場を重視するのか、その姿勢も問われています。
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みんなのコメント
中古車ではありましたが、丁度中古車店がオープンし、娘が欲しかった600キロ程走行した市場より少し安く販売価格が表示されており、
早速相談、更に値引きしますと、そこまでは良かったが、諸経費をプラスされると、とんでもない価格に膨れ上がり、この車種は大人気で、他にも欲しいお客様がいます、この1台しかございませんので、売れてしまう前に是非て詰め寄られましたが、考えますと、その中古車屋を後にしました。
4ヶ月が経ちましたが、その車はまだ売れていません。
諸経費70万て、おかし過ぎです。