■国産黄色ナンバーのバイクをピックアップ
黄色ナンバーが軽自動車用に採用されていることは広く知られていますが、バイクでも黄色ナンバーの区分が存在します。原付バイクは道路運送車両法上、排気量50cc以下の原付一種と51ccから125ccの原付二種「乙」と「甲」に分類されますが、このうち51ccから90ccの原付バイクに黄色ナンバーを装着することとなっています。なお、排気量が91ccから125ccの原付二種には、ピンク色のナンバーを着けることになっています。
同じ原付二種の両者では軽自動車税の額が異なり、「乙」の黄色ナンバーが年額2000円なのに対し、「甲」の後者では年額2400円となります。黄色ナンバーのバイクは、かつてはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーすべてで発売されていましたが、現在では市場のニーズが125ccクラスへと変化していることもあり、現在ではすべてのモデルが生産終了となっています。
一方で、かつては手頃な価格と機動性が両立したモデルとして、人気を博していました。そんな黄色ナンバーのバイクですが、過去にはどんなモデルがあったのでしょうか。
1987年にホンダから発売された「NSR80」は、黄色ナンバーのレーサーレプリカとして知られています。
1980年代の原付バイクを代表するモデルのひとつである「NSR50」の上位版として登場したNSR80は、最大出力が12psの水冷2ストローク79cc単気筒エンジンと、6速ミッションの組み合わせによってライバル車をしのぐ圧倒的なスペックを誇り、レーシングバイクらしい走行性能を実現していました。
エンジン以外は「NSR50」とほぼ共通していますが、排気量や出力向上に耐えるべくフレーム剛性が強化されています。当時は「NSR50」をボアアップするカスタムが流行していましたが、耐久性の問題やパワーが期待ほど高くならないなどの不満が相次ぎました。 それに対し「NSR80」は、「NSR50」と共通のイメージで開発されデザインや、カスタムバイクとは明らかに異なるパワーや安定感などから、発売とともに人気車種に躍り出ました。
しかし、「NSR80」が現役だった頃は50cc以下の原付一種が主流だったため、絶対的な販売台数はさほど多くありませんでした。その希少性から、現在の中古車市場ではプレミアがつくほどの人気になっており、街なかで目にすることも滅多にありません。
黄色ナンバーの代表格と言われるのが、ホンダの「ベンリィ90S」です。「手軽に扱えることができ自転車よりも便利」というコンセプトのもと、ビジネス向けの「ベンリィ90」をベースとして、1996年に登場しました。
当時のレトロブームを受けて、1960年代後半から1970年代のスポーツ車的なエクステリアを特徴とし、スーパーカブのネイキッドバージョン的な雰囲気も醸し出していたことで多くのファンから愛された1台です。
また、「ベンリィ90S」はスポーティなロングシートを採用し、身長が高い人でも自由度の高いライディングポジションをとることが可能でした。ハンドルもセミアップタイプを採用することで、スポーツ性がいっそう強調されています。
搭載される空冷4ストローク単気筒の85ccエンジンは最高出力が7.1ps、最大トルクが0.75kgmで、コンパクトな形状もあいまってバイクライディングの基本を学ぶのに最適な一台ともいわれています。
スポーツ性を重視したという点では、ヤマハ「ジョグスポーツ90」も人気のあったモデルです。ジョグスポーツ90は、スポーツライクなスクーターとして、50ccクラス並みのコンパクトボディにパワフルな82cc空冷2ストロークのエンジンを搭載し、8.5psの最高出力と0.89kgmの最大トルクを誇りました。
また、エンジンの性能を容易に引き出せる無段階変速トランスミッションとの組み合わせにより、街なかで鋭い発進や加速を実現させています。
一般的な原付二種はタンデム乗車が可能ですが、「ジョグスポーツ90」はあえて1人乗りとして開発されている点も特徴で、走りにこだわるというヤマハの狙いがはっきりとわかります。
それでいて実用性にも優れている「ジョグスポーツ90」は、重宝するキャリアをリヤに装備するとともに、フロントにはオプションでカゴを付けることも可能でした。
そして、ホンダの代名詞でもあるスーパーカブシリーズにも黄色ナンバーモデルとして、「スーパーカブ90」がありました。他のスーパーカブと同様優れた実用性に加え、自転車感覚で気軽に乗れるという特徴をもつ1台として、1960年代から2000年と40年にわたり愛されてきました。
85ccの空冷4ストローク単気筒エンジンは最高出力7.0psを誇り、最大トルク0.79kgmという豊かなトルクもあいまって、法定速度いっぱいまでスムーズに加速することが評価されています。また、実用性に優れたつくりもベースのスーパーカブと共通しており、フロントタイヤの上にもキャリアベースが付いていたため、自転車のようにカゴを装着してさらに利便性を高めることも可能です。
「スーパーカブ90」は仕事の足として、またストリートのカスタムベースとしても高いニーズがあるため、現在でも中古市場で人気のモデルです。
※ ※ ※
かつて原付バイクといえば50ccの原付一種が主流を占めていたため、原付二種はあまり注目されていませんでした。後に排ガス規制対応や販売台数、製造コストなどの問題から原付一種の生産は縮小傾向になり、原付二種は排気量125ccのモデルが主流になりました。
そのため、ただでさえ少なかった黄色ナンバーのバイクは今や絶滅危惧種となり、国産バイクメーカーでも既に新車の生産・販売を終了していることもあって、見かける機会は極めて少なくなっています。
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みんなのコメント
乗り手にも寄るだろうが、SSの1000㏄であっさり置いて行かれた事がある
いくらなんでも…
HRCカラーのオーナーだが盗難が恐ろしくて乗れなくなる