いつの頃からか、国産車・輸入車を問わず「ネオクラシックスポーツ」が世界的なブームとなってしまい、その中古車相場は爆騰してしまっている。
一例を挙げるなら、空冷ポルシェ911の964型はフツーのティプトロニック(AT)のカレラ2でも800万円以上、MT車なら1200万円以上が相場となり、ドイツツーリングカー選手権で活躍した初代BMW M3は1000万円以上。
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国産車では、ご承知のとおりR34型日産スカイラインGT-Rや80型のトヨタスープラなどの平均価格が、ちょっと大変なことになっている。
だがそんななかでも、良くも悪くも取り残されているネオクラシックスポーツはある。鬼のように高騰している他のモデルを尻目に、「微妙な値上がり」程度で済んでいるネオクラシックスポーツもなくはないのだ。
今のところ過小評価されているそういったモデルを(比較的)安価に購入すれば、世間の多くがその価値に気づいた数年後に、高値で売却する――なんてことも可能になるかもしれない。
では今、取り残されているネオクラシックスポーツ=あまり高騰していないネオクラスポーツにはどんなモデルがあるのだろうか? もろもろ調査してみた。
文/伊達軍曹
写真/マツダ、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】これから爆騰する!? とりのこされた日本の「ネオクラシック」スポーツカーを写真でチェック!!
■マツダRX-8(2003~2012年):4座のロータリースポーツ 中古車平均価格88.5万円
マツダ RX-8(2003年-2012年販売)。最後のロータリースポーツ
★マツダRX-8の中古車情報はこちら!
値上がりしていない名車といえば、まずはなんといってもマツダRX-8だろう。ご承知のとおり、2003年から2012年まで販売された、観音開きの4枚ドアを備えた4座のロータリースポーツである。搭載エンジンは、ご存じのとおり自然吸気のロータリーエンジンで、最高出力は210~250psだった。
で、RX-8の前身にあたるFD3S型RX-7の中古車相場が310万~890万円(平均価格440.8万円)とウルトラ高騰しているのに対し、RX-8のそれは20万~350万円(平均価格88.5万円)という激安っぷりなのだ。平均価格だけでいうのであれば、なんとFD3Sの約5分の1である。
しかし「RX-8の価値というか面白さはFD3S型RX-8の5分の1程度しかない」かといえば、もちろんそんなことはない。
当然ながら純粋なスポーツカーとしての面白みは2シーターのロータリーターボであるRX-7に敵わないが、何も世の中の全員が目を三角にしてサーキットや深夜の首都高などで全開走行をしたいと思っているわけではないのだ。
「パワー自体はほどほどで構わないので、気持ちよく回るエンジンを積んだバランスの良い車で、ほどよくスポーティに走りたい」と考えている人間だって、全開走行をしたい人間の数と同じぐらい――いや最近はそれ以上の数が、存在している。
そういった「ほどよくスポーティに走りたい派」は多くの場合、2ドアの2シーターであることにはこだわらない。いやむしろ、ドアは(小さくても)4枚付いていて、一応4人乗れることに価値を見いだす場合のほうが多いはず。
そのような「ほどほど派」がマツダRX-8の魅力に今一度気がついたとき、その中古車相場はやや大きめに上昇することだろう。
■トヨタセリカ:未来的なデザインのFFスポーツ 中古車平均価格62.6万円
トヨタ セリカ(1999年-2006年販売)。T230型7代目は1970年のA20ダルマから始まったセリカの最終型となった
★最終型トヨタセリカの中古車情報はこちら!
ネオクラシックの相場高騰から置いてきぼりを食らっているといえば、1999~2006年まだT230型こと最終型のトヨタセリカもそれに該当する。
T200型までと違って「GT-FOUR」の設定はない前輪駆動専用設計で、エンジンも、それまでより0.2Lダウンサイジングした1.8Lの自然吸気のみ。
トップグレードSS-IIが積んだ2ZZ-GE型エンジンは、可変バルブタイミング・リフト機構「VVTL-i」の採用などで最高出力190psを発生したが、エントリーグレードのSS-Iは実用エンジンの1ZZ-FEで、最高出力は145psだった。
そういった性能面での低下(?)に加えて、そもそもスペシャルティクーペというものがまったく売れなくなった1999年から2000年代初頭という時代性もあり、人気薄なまま廃番となった最終型セリカだが、中古車市場でもその人気薄っぷりは続いている。
参考までにセリカのSS-IIとある意味似たスペックとなるホンダインテグラタイプRの中古車相場が「DC2=160万~890万円(平均価格244.2万円)/DC5=100~360万円(平均価格160.4万円)」。
これに対し、ST230型セリカは20万~150万円で、平均価格は62.6万円でしかない。ちなみに全流通の7割以上がSS-IIなのに、この平均価格なのだ。
しかし最終型のセリカは、ここまで過小評価されるべきクルマではない。リアサスペンションはヴァイザッハアクスル式のダブルウィッシュボーンで、最高出力190psの2ZZ-GE型直4エンジンも、インテグラタイプRのそれほどではないにしても、なかなか悪くないエンジンだ。
そして約1100kgの軽量ボディ+6速MTと相まって、いわゆるライトウェイトスポーツ的な存在としてはけっこう魅力的である。
鬼のように高騰するタイプのクルマではないだろうが、こういったクルマ(小ぶりで軽量なFFクーペ)の希少価値が今よりも上昇する近未来においては、そこそこの高騰はする可能性がある。
■三菱FTO:日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したFFスポーツ 中古車平均価格90万円
三菱 FTO(1994年-2000年販売)第15回 1994-1995 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞
★三菱FTOの中古車情報はこちら!
1994年から2000年まで販売されたFFのスポーティクーペ「三菱FTO」も、なんだかんだいって過小評価され続けているクルマだ。
1990年代に(ある意味)一世を風靡した三菱GTOの弟分として登場したモデルで、搭載エンジンは最高出力170~200psの2L、V6DOHCと、同125psの1.8L、直4SOHC。トランスミッションは5速MTのほか、日本初の「学習機能」を組み込んだマニュアルモード付きATである「INVECS-II」を採用した。
FTO GRのコクピット。国産車として初となるスポーツモード(マニュアルモード)付きのATを装備。当初は月間販売目標の2000台を大きく超える台数を受注するも、7年間トータルでの生産台数は3万8028台に終わった
この三菱FTOも、ホンダのインテグラ タイプRにそう大きく劣る部分はないFFクーペなのだが、インテグラ タイプRの相場が前述のとおり、爆騰しているのに対し、三菱FTOのそれは2021年7月現在、底値の個体が30万円ほどで、最高値の物件でも約200万円。平均価格は90.0万円という、若干寂しい数字だ。
しかし三菱FTOの抜群ともいえるボディ剛性などが生み出すシャープなハンドリング性能はインテグラタイプRに「勝るとも劣らず」といえるもので、高回転域まできっちり回るMIVECエンジンもなかなかのモノ。
現在、中古車の流通量は全国でわずか十数台と絶滅の危機にあるが、その希少性がブースターとなって、三菱FTOの平均価格を押し上げる可能性はあるだろう。
■三菱GTO:ハイパワー4WDスポーツ! 中古車平均価格210.8万円
三菱 GTO(1990年-2001年販売)。280馬力ツインターボの4WDだが車重が1700kgと当時としては重く、三菱の重戦車と呼ばれていた
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ほぼ同時期に発売されたR32型日産スカイラインGT-Rの中古車相場が430万~1000万円(平均価格598.7万円)であるのに対し、ほぼ同時期に発売されたスーパー4WDスポーツ「三菱GTO」の中古車は現在、なんと「40万円スタート」という体たらく。
もちろん実際には180万~300万円付近が中心となるため、平均価格は210.8万円なのだが、それにしても「GT-Rをライバルとした4WDスポーツが40万円から」というのは、いささか寂しすぎる状況である。
三菱GTOは、バブル全盛期だった1989年の東京モーターショーに「三菱HSX」として出品され、その後1990年10月に「三菱GTO」として発売された4WDのスポーツクーペ。
シャシーは当時のディアマンテがベースで、搭載エンジンは3LのV6DOHCで、インタークーラー付きツインターボ版は最高出力280psを、自然吸気版は同225psを発生した。
しかし、「しょせんはディアマンテベース」「エンジンが縦置きじゃなくて横置き(笑)」「サイドエアダムのインテークは穴が開いてないダミー(笑)」などと嘲笑され、同時期のR32型スカイラインGT-Rや初代NSXほどのリスペクトを得るには至らなかった一台だ。
それゆえ現在の中古車相場もR32型GT-Rや初代NSXほどには高騰していないわけだが、時代が変わった今、豪快なツインターボの4WDスポーツである三菱GTOの需要が(一部で)増すことは大いに考えられる。
1990年代初頭というのは「正統派なクルマ好き」が多かったため、GTOの車台がディアマンテであることなどが非難の対象となったわけだが、昨今は、そういった細かい部分にはこだわらないというか、「まぁもう少し気楽な感じで物事を見ましょうよ」というタイプのクルマ好きも増えている。
そういったおおらかな見方をするのであれば、GTOは国産ネオクラシックスポーツとしてまずまず魅力的ではある。
R32型GT-Rや初代NSXほどの相場になることはないだろうが、コンディションの良い個体は500万~600万円ぐらいまでは上がるポテンシャルを有している。
■ホンダCR-Z:往年のCR-Xを想わせるハイブリッドFFスポーツ 中古車平均価格63.6万円
ホンダ CR-Z(2010年-2017年)第31回 2010-2011 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞。2012年から2015年にGT300クラスへ参戦していた「CR-Z GT」はかっこよかった
★ホンダCR-Zの中古車情報はこちら!
ネオクラシックスポーツと呼ぶにはまだ若干新しいような気もするがホンダCR-Zの中古車相場も高騰とはまったく無縁で、むしろ低迷している。最安値は2021年7月現在、おおむね20万円という体たらくなのである。
CR-Zは、2010年から2017年まで販売されたホンダのハイブリッド2+2クーペ。パワーユニットは1.5L直4SOHC i-VTECエンジンにHonda IMAシステムを組み合わせたもので、ホンダいわく「低燃費・クリーン性能を高次元で達成」。
さらにIMAシステムの装備により、2Lガソリンエンジン並みの加速性能と低回転域のトルクを実現している」とうたったものだった。
しかし実際は重くなった車重などにより「胸のすく走り」みたいなものは味わいづらいクルマであったせいか、人気を博すには至らず、地味な存在のまま2016年に生産を終了。そして2017年1月には販売のほうも終了となった。
そんなホンダCR-Zは、過小評価ではなく「正当な評価」として人気薄だった……と言えるため、今後の相場高騰はちょっと考えにくいかもしれない。
だがそれは、初期モデルが正直今ひとつだからであったからだ。2015年8月に行われた二度目のマイナーチェンジ以降の世代はぐっと上質になっており、「これなら買ってもいいかも……?」という味わいに変わっていたのだ。
そういった後期型の味わいに多くの人が気づいたとき、もしかしたら、ホンダCR-Zの相場は若干の上げ傾向へと転じるだろう。
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みんなのコメント
ますますの値上げをあおってしまっているし、にわかファンや投資目的で買う人が出てきて、
本当に欲しくて努力している人が買えなくなってしまいます。
ついでにですが、一部自動車評論家の視聴回数稼ぎの今さら絶版車紹介動画も腹が立ってしまいます。
本当のクルマ好きからの支持を失っていくと思います。