フェアレディZ、国産スポーツの代表
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】過去モデルがヒント 懐古主義のスポーツカー【3選】 全248枚
国産スポーツカーで、最も長い伝統に支えられるのはフェアレディZだ。初代モデルの発売は1969年だから、既に50年以上を経過する。
前身となるフェアレディ(最初はダットサンスポーツの北米仕様)は1960年の登場だから、60年の歴史を持つという見方も成り立つ。いずれにしても国産スポーツカーの代表だ。
このフェアレディZがフルモデルチェンジを控え、プロトタイプ(試作車)の外観などが2020年9月に披露された。
ボディサイズは全長が4382mm、全幅は1850mmだから、全長は現行型に比べて約120mm伸びるが全幅は同等だ。
前後のオーバーハング(ボディがホイールよりも前後に張り出した部分)は短く切り詰められ、ボンネットは長い。ルーフは後方に向けて下降している。
過去を振り返ると、1969年に2シータースポーツカーとして発売されたフェアレディZは、1974年に後席を備える2by2を加え、この後は北米市場のニーズもあってグランドツーリングカーの性格を強めた。
日本の売れ筋も2by2になり、機敏な運転感覚を楽しむスポーツカーらしさは弱まった。
この後日産は業績不振に陥り、改めて原点回帰の考え方で開発されたのが、2002年に登場した5代目のZ33型だ。2シーター専用で、かつて人気の高かった2by2は用意していない。
2008年登場の6代目(現行型)となるZ34型では、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を100mm短い2550mmに抑え、原点回帰の路線を踏襲しながらスポーツカーらしさを一層強めた。
新型フェアレディZも、Z33型、Z34型と同じ路線に沿ってデザインされている。
新型、初代の面影が散りばめられる
新型フェアレディZプロトタイプに関する日産側の説明によると、新型の外観はZ33型やZ34型以上に初代フェアレディZを意識させる仕上がりだという。
フロントマスクにはワイドなグリルが装着され、LEDヘッドランプの部分には、光の半円が備わる。
これは初代フェアレディZに追加された240ZGをモチーフにしたものである。240ZGではボディの先端がさらに長く伸ばされ、丸型ヘッドランプにドーム型のカバーを装着していた。
新型プロトタイプのヘッドランプに見られる光の半円は、カバーの映り込みを表現したという。
マニアックな演出で、初代モデルへの深い愛情とこだわりを感じる。
このように新型フェアレディZの外観には、初代の面影が散りばめられている。
スポーツカーが数世代にわたって多彩な発展を遂げた後、そのデザインを初代に回帰させた例としては、アメリカのフォード・マスタングやシボレー・カマロが挙げられる。フランスのアルピーヌA110も、往年のモデルがモチーフだ。
それにしてもなぜ、新型フェアレディZは、そこまで初代にこだわるのだろうか。
フェアレディZを初代に原点回帰させる背景には、まず現在の日産が置かれた状況があった。
初代をリアルに知るユーザーの共感呼ぶ
フェアレディZを初代に原点回帰させる背景には、まず現在の日産が置かれた状況がある。
直近の経営悪化やカルロス・ゴーン元会長の逮捕などは別としても、近年はルノーとの提携もあり、日産のブランドイメージが曖昧になっていた。
そこで日産のDNAを改めて明確にすべく、フェアレディZを最も技術の日産らしかった時代の初代モデルへ回帰させる。
現行スカイラインのエンブレムも、以前は海外と共通のインフィニティだったが、マイナーチェンジで日産に戻した。
インフィニティを採用した時は「スカイラインを支えるのは、世界で勝負できる高級車のインフィニティで培われた技術力とデザインだ。従ってエンブレムもインフィニティに変更する」と説明された。
それが現行型のマイナーチェンジでは「スカイラインは技術の日産の象徴。初代モデルも1957年に投入して長い伝統がある。今回はプロパイロット2.0も採用したので、改めて日産のエンブレムを装着する」と述べた。
率直にいってインフィニティでも、日産でも成り立つ話だが、今は日産ブランドを見直す流れだ。そこで新型フェアレディZも、内外装のさまざまな部分に、初代のエッセンスを盛り込んだ。
またスポーツカーの中心的なユーザーが、中高年齢層に達した現実もあるだろう。要は初代フェアレディZをリアルに所有していたとか、憧れた世代を視野に入れている。
もちろんスポーツカーに新鮮味を感じる若いドライバーもターゲットだが、新型のデザインを見る限り、初代からリアルに知っている人達が共感を得やすい。
価格も現行型の売れ筋グレードが450~650万円だから、購入するには相応の経済力も求められ、中高年齢層が購入しやすい。
今後10年以上は造り続けるなら……
新型フェアレディZが搭載するエンジンは、V型6気筒ツインターボと説明されている。
詳細は不明だが、最も可能性が高いのは、スカイライン400Rと同型になるV型6気筒3Lツインターボだ。
スカイライン400Rの最高出力は405ps(6400rpm)、最大トルクは48.4kg-m(1600-5200rpm)とされ、新型フェアレディZではさらに特別なチューニングを施すことも考えられる。
ただし今の時代に発売する日産の新型スポーツカーとして、ハイブリッドなどの電動化技術を採用しなくて良いのか、という疑問も沸く。
おそらく今後、少なくとも10年以上は造り続けるからだ。
走りの楽しさを純粋に追求するなら、重量増加を抑えて運転感覚を素直にする意味でも、メカニズムは極力シンプルに抑えた方が都合は良い。
しかし日産側の説明には「日産のスピリットそのもの」「事業構造改革の重要なモデル」「Zは私たち日産のDNA」といった言葉が並ぶ。
今後の展開は不明ながら日産には速さを徹底追求したGT-Rもあるから、フェアレディZには、日産の集大成としての技術を盛り込む方法もあるだろう。
つまり外観は初代フェアレディZをモチーフにしながら、中身には電動化を含めて最先端技術を凝縮させ、eパワーや電気自動車の世界観も持たせる発想だ。
あるいはピュアスポーツと電動システムを搭載する2種類を用意する方法もある。
昔から日産とフェアレディZが好きな中高年齢層なら断然ピュアスポーツだが、環境意識が高く発想の柔軟な比較的若いユーザーは、徹頭徹尾走りのスポーツカーはあまり好まない。
電動システムとスポーツを融合させた未来の日産の価値観を表現することも大切だろう。
日産の販売店 顧客の反応は?
「今のところメーカーから具体的な話は聞いておらず詳細はわかりません。また現時点で現行フェアレディZの注文は止まっておらず購入可能な状態です」
「そうなると少なくとも2020年内に発売されることはありません」
「なお新型フェアレディZに対するお客様の関心は高いです。今はフェアレディZの保有台数が減っていますが、セレナやノートのお客様も含めていろいろと尋ねられます」
「問題は価格ですね。現行型と同程度に抑えて欲しいです」
現行フェアレディZの発売は2008年だから、12年ぶりのフルモデルチェンジだ。いよいよ日産が新型車の投入を活発化させる。
フェアレディZと併せて、新型のエクストレイルやノートにも期待したい。
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みんなのコメント
自動車って年販数千万台の世界。
そんな中でEVなんかまるで売れてない各社大赤字部門。
「とりあえずイメージ先行のため作ってる」だけで、車種を増やすことはそのまま赤字が増えることを意味してる。
何百万も出す買い手はそれほどいない。今のところメインは法人かモノ好きだけ。
→ 欧州なんかも法で後押ししようとしてるけどたぶん無理、いずれ後退せざる得なくなるだろう
→ 売れもしないで赤字ばかりじゃ、産業界から総スカン
Zは企画通りでいいと思うよ。
そもそもどっちだろうが、会社の総売り上げに影響するほど台数は出ない
今回のモデルも賛否あると思いますが、雰囲気を楽しむ車としては最高です。