モリゾウさんがル・マンで知られるサルトサーキットを水素エンジンカローラで走った。昨年のWRCベルギーをGRヤリスH2コンセプトで走り、水素エネルギーに目を向けさせたモリゾウさんが、ル・マンで水素エンジンの安全性とエンジンサウンドの魅力を再び欧州全土にアピールした。
TEXT/ベストカーWeb編集部 写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ
世界よ聞け!! これが水素の咆哮よ……モリゾウさんがル・マンに刻んだ水素エンジンカローラの意義ある1周
■水素エンジンカローラがル・マンを走る快挙
わずか1周だったが、大観衆の目に水素の可能性と安全性を焼き付けた
2021年5月に富士24時間レースでデビューした水素エンジンカローラ。あれから約2年、開発がスタートして約3年で24時間レースの聖地、ル・マンのサルトサーキットを走った。
ドライバーはトヨタ自動車会長の豊田章男氏。今回もモリゾウとして1周13.626kmを走り、大観衆に水素の安全性とサウンドをアピールした。
ル・マンには大会期間中30万人以上がやってくるうえ、フランスではTVが24時間ライブで放送するほど注目度は高い。
モリゾウさんが最後の議長を務める株主総会を6月14日水曜日に控えるなか、あえてル・マンでデモンストレーション走行をしたわけは、カーボンニュートラルへの道筋がBEV一辺倒からマルチパスウェイ(多様性を重視し複数の経路でカーボンニュートラルの道を探る考え方)へ欧州の空気が変わってきたからだろう。
走行前に小林可夢偉選手のアドバイスを受けながら、ドライビングシミュレーターでコースのイメージを掴むモリゾウさん
「記念すべき100周年のル・マンで走れたことは言葉では言い表せないほど感慨深いものです」とコメントしたが、今回のデモランは何年後かに水素エンジンが実用化された時、「ル・マン100周年の時に水素エンジンカローラが走ったよね」と必ず思い出されるはずだ。
「モリゾウが走ることで水素は危険ではないと思っていただければいい」と今回のミッションの意義を語ったが、モリゾウさんらしいのはコースからパドックに戻る際に何度もエンジンを吹かしたこと。
「エンジン屋からレーシング音を響かせてほしいと要望されました」と笑ったが、水素エンジンはBEVやFCV同様CO2を排出しないが、排気音があることが大きな違い。モリゾウさんはその魅力を知っているからこそ、本場のファンにエンジンサウンドをアピールしたのだ。
■「水素エンジンでレースを!」 と提案した小林可夢偉選手も感慨深げ
水素エンジンカローラでレースをやりましょうと提案した小林可夢偉選手(右)も感慨深げだった
水素エンジンでレースをやり、アジャイルな開発をすることでその可能性を探っていこうと提案したのは小林可夢偉選手。
世界のサーキットを走り、それぞれのレースの重みやファンの受け止めを知る小林選手にとって、ル・マンを走ることの意味を誰よりも知っているはず。
ドライバーとしてスーパー耐久で水素エンジンカローラに乗り、このプロジェクトを牽引してくれたモリゾウさんへの感謝を口にするとともに、「モリゾウさんひとりに頼るのではなく、みんながひとりひとり考え、レース活動をしていかないといけないと思います」と話してくれた。
BEVやFCVとの違いはサウンドがあること。モリゾウさんはあえて空吹かしして観衆にアピールした
100周年を迎えたル・マンにとって、次の100年はカーボンニュートラルに貢献しつつ、どうしたら魅力的なレースをファンに見せていけるかという課題を抱えてのスタートとなる。たった1周だったが、水素エンジンカローラがル・マンに刻んだものは小さくないものだったはず。
モリゾウさんはゴールを見ることなく、土曜日の夜にル・マンを後にし、帰国した。
FIAのスライエム会長もモリゾウさんのもとを訪れ“偉業”を称えた
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みんなのコメント
ただ、その価値観が次世代の人間に受け入れられなければ消え去っていくのかもしれない
てか、F1やスーパーGT、MOTOGP等のレース車両がモーター音をさせて走ってて見てる人が喜ぶだろうか?
次世代の人に聞いてみないと分からないか・・