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日本の“軽”はどこまで進化するの? 新型ダイハツ タント試乗記

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日本の“軽”はどこまで進化するの? 新型ダイハツ タント試乗記

ウルトラ・コンパクトカー(軽乗用車)は、今なお日本メーカーが世界に誇れるジャンルである、と、ダイハツ新型「タント」に試乗して思った。とにかく室内が広く、そしてよく走る。

新型タントは、従来モデルとおなじく助手席側のBピラーがない。したがって、フロントドアおよびリアのスライドドアを同時に開けると、広い開口部(開口幅1490mm)が出現する。Sho Tamura2019年7月に販売開始された4代目タントは、新世代のプラットフォーム「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を使うのが特徴だ。剛性を上げ、かつ操縦性も向上させている。

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タントのおもしろさは、全高の高さだ。サイドウィンドウの高さを計測したら49cmもあった。運転席に座ると、Aピラーがそそりたっていて、しかも直立に近い角度なので、視覚的には屋根のほうに向かって開いているように見えるほど。

【主要諸元(カスタムRS)】全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1755mm、ホイールベース:2460mm、車両重量:920kg、乗車定員:4名、エンジン:658cc直列3気筒DOHCターボ(64ps/6400rpm、100Nm/3600rpm)、トランスミッション:CVT、駆動方式:FF、タイヤサイズ:165/55R15、価格:174万9600円(OP含まず)。Sho Tamura天井高がたっぷりあるので、背の低い子どもであれば、かがまなくても乗り降り出来る。試乗会当日は、30℃を越す暑い日であったが、空間の広さがすずやかに感じさせる。フロントシートに座高の低いひとが座ると、サンバイザーに手が届かないかもしれない。

室内高は1370mmもある。オートエアコンは、エントリーグレード以外標準。小物入れは豊富だ。Sho Tamura見た目より走りはイイ新型タントには、2種類のエンジン(ターボと自然吸気)が用意されている。駆動方式は、前輪駆動と四輪駆動を選べる。変速機はCVT(無段変速機)のみ。そのCVTは工夫がくわえられていて、高速域ではギア駆動になり伝達効率(燃費と静粛性)をあげているという。

サスペンションの剛性を上げ、車両の安定感をアップさせたという。また、スプリングを柔らかくし、乗り心地を大幅に改善したとのこと。Sho Tamura今回試乗したのは、ターボエンジンを搭載する「タント カスタムRS」と、自然吸気エンジンを搭載する「タントX」である。カスタムRSは顔つきがトヨタ「ヴェルファイア」というかんじで、ちょっと“オラオラ”しているのが個人的にはいまひとつであるが、走りはよかった。

カスタムRSが搭載するエンジンは、658cc直列3気筒DOHCターボ(64ps/6400rpm、100Nm/3600rpm)。Sho TamuraトランスミッションはCVTのみ。Sho Tamura加速性能は実用上、充分だ。高速道路で、法規上の最高速度までスーっと伸びていく。高速で風が強いと、さすがに上屋(ボディの上のほう)が風圧でぐらぐら揺れる。3395mmの全長に対し、全高は1755mmもあるから、まるで“家”が走っているようなものだ。

ターボエンジン搭載車(前輪駆動モデル)のWLTCモード燃費は20.0km/L。Sho Tamura操舵はちょっと重めの設定である。シャシーの剛性感が高いので、開発陣の狙いどおり、運転するのが意外なほど楽しい。試乗コースにはワインディングロードがなかったので、切り返しが連続するシーンで、全高の高いボディがどんなふうな挙動を示すのか、はっきりわからなかったのが残念である。

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やLKA(レーン・キープ・アシスト)などの運転支援システムは、上級グレードにオプションで装着出来る。Sho Tamura自然吸気モデルは足まわりがソフトな設定で、あたりがやわらかい。ターボの最高出力47kW(64ps)と最大トルク100Nmに対して、38kW(52ps)と60Nmと、自然吸気車はパワーもやさしい。そのぶん、街乗り用としてはいいかもしれないが、高速道路などは力不足を感じたのも事実である。

自然吸気エンジン搭載モデルのWLTCモード燃費は21.2km/L。Sho Tamura搭載する自然吸気エンジンは、658cc直列3気筒DOHC(52ps/6900rpm、60Nm/3600rpm)。Sho Tamura高い実用性新型タントには、便利な装備が複数備わっている。私が感心したのは、リアウィンドウ用に格納式サンシェードが標準だった点だ。あるととても便利である。

格納式リアドアサンシェードは、エントリーグレード以外標準。Sho Tamuraオプションで、360°カメラも装着出来る。Sho Tamuraタントに慣れてしまうと、あえて不便なスポーツカーや大きなSUVに乗らなくても……、という気にすらなってしまうかもしれない。高名なクラシック・カーのコレクターが、「ふだんの足はコンパクトな日本車に限ります」と、言っていたのを思い出した。

リアシートはスライド(240mm)およびリクライニング機構付き。Sho Tamuraリアシートのバックレストは50:50の分割可倒式。Sho Tamuraリアドアの開口部は大きく、とくに助手席側はBピラーがない(ドアに超高張力鋼板を使用し、強度を保っている)ので、室内へのアクセス性は抜群にいい。2代目から採用する「ピラーインドア」を、今回も引き継いでいるのだ。

カスタムRSのシート表皮は、ファブリック×人工皮革のコンビタイプ。Sho Tamura室内のウォークスルー機構を利用すれば、助手席側から運転席へ、簡単に乗り込める。室内の使い勝手にも優れ、「標準車と福祉車両の垣根を取り払い、使い勝手を考えました」と、ダイハツの開発者が話していたのに、私は大きく感心した。

カスタムRSのステアリングは、本革巻き。スポーク上には、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やオーディオ用のスウィッチが備わる。Sho Tamura私が好きなスタイリングは、自然吸気エンジンの「タントX」だ。女性とかファミリーのイメージが強調されているようだけれど、シャープな造型のヘッドランプの輪郭など、スタイリストがいい”仕事”をしているなぁと思った。

室内にいて、”もしこのクルマのインテリアを、シトロエンやルノーのデザイナーが担当したらどんなふうになるか?”と、想像した。造型や色づかい、さらにルーフをどうするか(グラスルーフや大きなソフトトップの採用など)など、いろいろ手を入れる余地は多そうだ。

一部グレードに標準の運転席ロングスライド機構。前後に540mm動かせるという。Sho Tamura運転席を最後端まで下げるには、ダッシュボードにあるスウィッチを操作し、ロックを解除する必要がある。Sho Tamura現状、横長のメーターパネル(液晶タイプ)に、さまざまな表示を集約するほか、スイッチ類もコンパクトにまとめられているので、室内は広々している。もし、この室内に遊び感覚が入れば、さらに新型タントの個性が出るはずだ。

メーターパネルは横長の液晶タイプ。フルカラーのインフォメーションディスプレイ付き。Sho Tamuraとはいえ、ベストセラーカーなので、あえてよけいな領域に踏み込まず、走りのクオリティや使い勝手を高め、そして、LKA(レーン・キープ・アシスト)やACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)といった運転支援システムを搭載したのは、まさにフルモデルチェンジの模範解答である。

衝突軽減ブレーキや車線逸脱警報機能などを含む先進安全装備群「スマートアシスト」は全車標準。なお、エントリーグレードのみ、スマートアシスト非装着車を選べる。Sho Tamuraでも私は、『GQ JAPAN』読者のように、ガイシャへの関心が高いひとも、ターゲットに想定してみては? と、思う。“最高の実用車”という地位をきわめ、かつ乗っていてよりシアワセになれるクルマになったとしたら、もっといいはずだ。タント、よろしくお願いします。

文・小川フミオ 写真・田村翔

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