この春、新しいクルマに買い替えたい、あるいは新社会人となって初めてクルマを購入する人もいるはずだ。が、予算や自宅の駐車場事情で、コンパクトなクルマを選ばざるを得ないこともあるだろう。
とはいえ、コンパクトカーは室内が狭い、とくに後席が狭い・・・と考えているなら、それは大きな間違い。
カリビアンアクアのボディーが映えるミニの限定モデル「MINI Convertible Seaside Edition」
国産コンパクトカーはその巧みなパッケージング技術で、それこそ中大型車に迫る、いや、それ以上の後席居住スペースを稼ぎ出しているクルマが”本当に”存在するのだから。
1位はなんと前席シートバックまでの水平距離400mm、ミニバン並みの広さを実現
今時、前席が狭いコンパクトカーなどあるはずもないが、問題は後席居住スペースの広さだ。もちろん、乗車する人の体形、身長などによって印象は大きく違ってくるのだが、例えば、身長172cmの筆者がドライビングポジションを決めたその背後に着座したとして、膝頭から前席シートバックまでの水平距離が160cmあれば大きな不満はなく、200mm以上になると足が組みやすく、かなりゆったりと座れる感覚になる。
ちなみに2006年当時のメルセデスベンツSクラスの後席ニースペースは、筆者のドライビングポジション背後で230mmだった。同時期の旅客機、JAL B777-200のクラスJのニースペースは200mm(Yクラスは100mm)である。
日産ノートオーラの後席
では、国産コンパクトカーの中で、もっとも後席ニースペースにゆとりがあるクルマは何か。身長172cmの筆者のドライビングポジション背後の実測値の答えは、1位がスズキ・ソリオの驚愕の400mmである(160mmスライドする後端位置)。3ナンバーMクラスボックス型ミニバンの最新の日産セレナの2列目席ニースペースの最大値が410mm(スライド位置による)なのだから、ソリオの足元がいかに広いかが分かるだろう。フラットフロアによって足の置き場にもまったく困らない。その上で、ソリオのボディサイズは全長3790×全幅1645×全高1745mmと、一般的な5ナンバーサイズの国産車の全幅1695mmより幅狭だから、左右幅の狭い駐車スぺースにも止めやすく、リヤスライドドアの開けやすさは当然として、フロントドアの開閉も楽々なのである。つまり、小回りが効くのは当然として、駐車性もまた抜群ということだ。
さらに言えば、ソリオはラゲッジルームの広さも自慢。後席使用時でも機内持ち込みサイズのキャリーケースが定員分、つまり5個積み込め、床下にも機内持ち込みサイズのキャリーケースひとつが収まるスペースがあるからびっくり。前後席をフラットアレンジすれば大人が真っすぐに横になれ、アウトドアライフにもぴったり。前後席スルーが可能(前席から車外に出ることなく後席に移動できる)な点も、子育て世代や愛犬とドライブする人含めて便利なポイントになるだろう。
スズキ・ソリオのラゲッジルーム
スズキ・ソリオのラゲッジルーム床下収納
スズキ・ソリオのフラットアレンジ
スズキ・ソリオは前後席スルー可
10位までをチェック!
以下、10位までの順位を列挙すると、2位トヨタ・ルーミー/ダイハツ・トール385mm(240mmのスライド後端位置)、3位ホンダ・フリード340mm、4位ホンダ・フィット320mm(コンパクトハッチバック最大)、5位トヨタ・シエンタ260mm(先代220mm)、6位トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン210mm、7位日産ノート、ノートオーラ200mm、8位トヨタ・アクア180mm、9位スズキ・スイフト160mm(先代同)、10位ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ120mm・・・ということになる。以下、トヨタ・ヤリス115mm、マツダ2 105mmだ。
トヨタ・ルーミー
日産ノート
5ナンバーサイズとはいえ、背の高い3列シートミニバン=プチバン(2列シートもある)のフリードやシエンタの後席に余裕があるのも理解しやすいだろう。何しろ3列シートを備えているのだから。
ホンダ・フリード
ホンダ・フリードの2列目席キャプテンシート
トヨタ・シエンタ
トヨタ・シエンタの2列目席はベンチタイプ
しかし、ボディサイズ、形状に対して車内の空間効率を最大限に突き詰めたパッケージングという意味では、”ハッチバックモデル&リヤヒンジ式ドア”にして後席ニースペースを320mm確保したホンダ・フィット4が特筆に値する。
ホンダ・フィット クロスター
後席を立てたトールモードなどのアレンジも可能な歴代フィットのシートアレンジ、想像を絶する室内空間を実現するパッケージングの妙は、そう、ホンダ独創のセンタータンクレイアウトがもたらしたものと言っていい。通常、後席下に置く燃料タンクを前席下に薄く収めることで室内高を始めとする室内空間をMAXにすることができる特許技術なのである。
後席に座った際、ほとんどのコンパクトカーはシート下に燃料タンクがあるため、シート下に空間はない。そのため、足が引けず(スライド機構付きの場合は後方スライド時)、足の置き場の自由度が制限されるとともに、立ち上がり性で劣るのだ。が、センタータンクレイアウト採用車であれば、フィットがそうであるように、後席シート下は空洞になっていて、シートスライド位置にかかわらず足が引け、足の置き場に自由度があり、立ち上がりやすくなるというわけだ。結果、後席をなるべく後方にレイアウトすることが可能になる(後席シート下に燃料タンクがあると、後席の位置が決まってしまう)。
フィットの広大な後席
ここで取り上げた国産コンパクトカーの中で、あくまで身長172cmの筆者の印象ではあるものの、9位のスズキ・スイフトの後席ニースペース160mmまでなら、まったく不満なく座れるし、後席でのロングドライブも問題ないだろう(もちろん、乗員の身長、体形によるが)。
例えば3ナンバーサイズのVWゴルフVIIの後席ニースペースも同じく160mm。足元が決して広いとは言えないものの、狭くて窮屈・・・とはならないスペースが確保されている。ただし、VWゴルフのように後席フロアにセンタートンネルがあるクルマの3人掛けとなると、中央に座った乗員の足元は窮屈。ソリオ、フィットなどの後席フロアがフラットなクルマのほうが快適に座れることになる。
文/青山尚暉
写真/雪岡直樹 青山尚暉 トヨタ ホンダ
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娘本人が気に入っているので良しです。^o^