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「Be-1」「パオ」に続くパイクカー第3弾「フィガロ」はなぜ人気? 30年経っても新車価格から値落ちしない理由とは

掲載 更新 71
「Be-1」「パオ」に続くパイクカー第3弾「フィガロ」はなぜ人気? 30年経っても新車価格から値落ちしない理由とは

■バブルだったから実現できたパイクカー・シリーズ第3弾とは

 1980年代後半から1990年代前半にかけてのバブル期は、いま振り返ってみると、狂乱とも形容したくなるほどかおかしな時代だったように思う。当時学生から社会人になろうとしていた筆者は、一時期銀座でアルバイトをしていたのだが、お客さんにひと粒5000円のイチゴをご馳走してもらったことがある。ひと箱ではなく、ひと粒で5000円。半日以上仕事してひと粒買うのが精一杯などと思いながら食べたので、味なんぞまったく覚えていない。

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 大学の先輩たちは、内定をもらった企業から海外に研修旅行に連れていかれるというのも当たり前だった。もちろん費用は、企業が負担する。これは、ほかに就職活動ができないようにする方策だったわけだが、面接に行くだけでお車代を数万円頂くこともよくある話だった。お金は使ってナンボ、使ったお金がまたお金を生むという、それがバブル期だったのである。

 そうしたバブル時代、自動車メーカーもクルマの開発に潤沢な費用を掛けていた。いまも人気が高いホンダ「NSX」や日産「スカイラインGT-R」、マツダFD3S型「RX-7」などは、この時期に開発され、販売されたクルマたちだ。同時に、本来なら採算面から立ち消えとなりそうな企画も実現している。日産が販売したパイクカー・シリーズも、そうした中のひとつといっていいだろう。

 パイクカー・シリーズとは、日産が当時販売していたファミリーカー、K10型「マーチ」をベースとしてつくられたものだ。最初に販売されたのは1987年に発売された「Be-1」である。ハイテク競争や馬力競争ではなく、デザインからクルマを見直すという意図があって開発されていて、全体のイメージはレトロにまとめられている。このBe-1は、限定販売ということもあってか、予定されていた台数は、あっという間に完売した。

 次につくられたのが「パオ」だ。上下分割フリップアウト式のリアウインドウやルーフレール、外ヒンジのドアなど、アウトドアをイメージしたシティカーという雰囲気が人気を呼び、1989年に受注期間限定として発売されたが、3か月の期間中に5万台以上の受注を獲得するという人気車となった。

 そしてパイクカー・シリーズの第3弾としてつくられたのが、今回紹介する「フィガロ」である。発売は1991年。フィガロはパオとは違い、8000台限定という販売方法を採ったのだが、あまりに購入希望者が多かったため、2万台まで販売台数を拡大することとなった。最終的な生産台数は、一説によると2万73台といわれている。

 フィガロは、Be-1やパオが自然吸気エンジンを搭載していたのに対して、ターボエンジンを搭載していたという特徴がある。デザインは、レトロ調のオープントップ。手動で屋根を取り外すことができ、内装には本革が採用されていて、この3タイプの中ではもっとも流麗なエクステリアデザインとなっている。

 不思議なことに、日本国内のみでの販売であったにも関わらず、フィガロは英国でも人気車となった。以前、英国のフィガロ・オーナーズクラブが開催したイベントには、1000台を超えるフィガロが集合したこともあった。一時期、エリック・クラプトン氏もフィガロを所有していたことがあったらしい。

 現在も数千台のフィガロが、英国で登録されているようで、その人気の高さから、日本国内で流通していたフィガロの中古車価格が跳ね上がってしまうという現象も起きていて、現在でも中古車市場価格は、高値安定となっている。

●新車価格とほぼ変わらない落札価格

 今回、アメリカ・インディアナ州で開催されたRMサザビーズオークションに出品されたフィガロも、当然のことながら日本仕様車である。右ハンドル、1.0リッター4気筒ターボエンジン、3速ATというのも新車当時から変わらず、一番人気だったエメラルドグリーンのボディカラーも、色あせていない。

 内装も美しさを保っている。ホワイトの本革シートは使っていると汚れてしまいやすいものだが、この個体はスレや汚れがない。傷がつきやすいキーシリンダーまわりや、メッキとなっていたトグルスイッチも美しい状態だ。メーター上の走行距離は7万6755kmとなっていることから考えると、インテリアにはリペアなどのなんらかの手が入っているのかもしれない。

 オーディオは、純正で装備されていたCDカセットプレーヤーがセットされている。灰皿は使った形跡がなく、傷つきやすかったホイールキャップもグッドコンディションだ。

 このフィガロのハンマープライスは、1万4300ドル(邦貨換算約159万円)であった。30年前の新車価格が187万円であったクルマの落札価格としては上々といえるだろう。いかにフィガロの人気が高いものなのか、このプライスが物語っている。

 2000年前後の頃は、3速オートマチックであることとルーフの防音性が低いことから、高速道路では会話ができないくらいうるさいなどといわれ、40万から50万円あたりが中古車の相場であった。しかし、今となってはそうした欠点もフィガロの個性のひとつとして認められたようだ。趣味のクルマというものは、時が経つと欠点も美徳となるということなのだろう。

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みんなのコメント

71件
  • ずーと高値だったわけではない。ちょっと前までは結構安かったよ。
  • あの頃の日産はこういう色物が得意だったよな?
    日本のクルマユーザーがこういう色物を許容しないようになったのがこういう車が絶滅した原因だ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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