脱炭素に向き合うスウェーデンのスカニア
一部の量産車メーカーにとって、バッテリーEV(BEV)への市場の大転換は事業の終焉を意味するかもしれない。自動車の普及後、前例がないほどの変革期といえるが、スウェーデンのスカニアは自らが進むべき道を積極的に切り拓いている。
【画像】雪上を快走 スカニアが開発中の電動トレーラーヘッド 順次出揃う日本メーカーのBEV 全125枚
日本では少々馴染みの薄いスカニアだが、欧州ではメジャーな大型トラックメーカー。7.0Lや16.0Lといった、巨大なターボディーゼル・エンジンを搭載したモデルを現在は主に提供している。
トラックドライバーから羨望を集める、上級モデルが積むV8エンジンの最高出力は800馬力近くある。最大トルクは414.0kg-mに迫るという豪腕だ。それだけ、軽油も沢山燃やすが。
ただし、植物由来の燃料を用いることも可能。液化天然ガス仕様や、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のトラックも提供しており、低炭素輸送に向けた取り組みを怠ってはいない。水素燃料電池も模索しているという。
様々な手法で、スカニアは脱炭素へ向き合っている。エネルギー業界やトラック輸送業界も変革に迫られており、その未来を明確に予測することは難しい。ビジネス環境にも変化が求められている。多面的なソリューションが必要だと、同社は考えている。
さらに、顧客主導という方針を貫いている。一般的な上級サルーンのユーザーに、次の選択肢はBEVだと考えさせることとは次元が違う。経済を根底で支える、輸送業の経営に直結する。それが機能しなければ、社会自体が回らなくなってしまう。
600馬力以上とV8エンジン並みのトルク
スカニアは、都市部を中心に走る小型トラックで、BEV仕様の提供を2020年から始めている。事前に適合するであろう輸送会社の選定が行われており、今のところ順調に業務をこなしているそうだ。
それから3年、バッテリー・エレクトリック・トラック(BET)は次の段階へ進んだ。「スウェーデンのノースボルト社が製造するリチウムイオン・バッテリーを利用し始めています。容量は最大で624kWhまで拡大可能です」
「従来の小型BETが積む、駆動用バッテリーの2倍以上の容量です。それでいて、ユニットの重さや製造コストは変わりません」。開発プロジェクトを率いる、トニー・サンドバーグ氏が説明する。
「600馬力以上の最高出力と、V8エンジン並みの最大トルクを発生する、トリプルモーター・パワートレインを開発しています。中距離程度の走行を前提とした、トラクターヘッド(トレーラーヘッド)の提供が可能になりました」
「テストドライバーは、最大64tの荷物の牽引が可能だと話しています。従来のスカニアのトラックと同様に」
ちなみに、この64tという重さは英国で許容される重量より5割以上も多いが、欧州では許可されている数字だ。驚かされるパワーだと思う。
BETの課題は何より航続距離だが、開発中のスカニアは一般的な40tトレーラーを牽引する場合、80%の充電量で321kmを走行可能だという。急速充電速度は、375kWまで対応するらしい。
急速充電設備が整えば45分で80%へ回復
欧州全土の道路網にメガワット級の急速充電設備が整えば、ドライバーへ義務付けられている定期的な45分の休憩時間中に、80%まで充電が可能だとスカニアは考えている。同社は、急速充電ステーションへの投資も行っている。
「理論的には、機能する技術といえます。すべてのケースに合致するとは限らないことも理解していますが。少なくとも、電動のトラックは素晴らしいですよ。実際に体験してみてください」。サンドバーグが笑顔で筆者を見つめる。
かくして、白銀のノルウェーで実施された、毎年恒例だという冬季開発テストに招かれた。いわゆる普通自動車の免許しか筆者は持っておらず、牽引できる重量も制限されているが、会場は雪で覆われ閉ざされた飛行場だから問題ない。
ゆっくり試運転できるように、コースが敷設されている。真っ白なトレーラートラックがスタンバイしていた。
身をかがめて乗り込むようなスポーツカーとは異なり、スカニアのトレーラーヘッドは圧倒されるほど大きい。ドアの下には3段のステップがある。よじ登ると、新鮮なほど広いキャビンの助手席で、運転を教えてくれるデニス氏が待っていた。
運転席へ座り、ステアリングホイールの角度を乗降時用の水平状態から、手前側へ傾ける。それでも殆ど水平に近い。ペダルの位置を確認し、ダッシュボードを見渡す。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
アスファルトにどれだけダメージを与えるかも書いて欲しいな。
本当にエコと言えるのだろうか。