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2024年版 ガソリンが世界一高い国/安い国 20選 なぜ違いがあるのか背景も紹介

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2024年版 ガソリンが世界一高い国/安い国 20選 なぜ違いがあるのか背景も紹介

日本はまだ平均的? 高い国と安い国を紹介

誰に聞いても、今の燃料代は高すぎると言うだろう。本稿執筆時点(2024年6月中旬)で、日本全国の平均価格はレギュラーガソリンが約170円/L、ハイオクガソリンが約180円/L、軽油が約150円/Lだ。

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世界平均ではハイオクが1.33米ドル(約210円)/Lとされている。日本より高い国もあれば、はるかに安い国もたくさんある。今回は、1L当たりのガソリン代が「最も高い国」と「最も安い国」を10か国ずつ紹介しよう。

データはすべて GlobalPetrolPrices.com から引用した。日本ではハイオクに相当するオクタン価95ガソリンの本稿執筆時点での価格を取り上げる。まずは、最も高い10か国を昇順に見ていく。

価格表記はすべて米ドルで、日本円については 1ドル=約157円 で換算している。

ノルウェー:2.087ドル(約329円)

北欧ノルウェーの燃料代が高い理由は、懲罰的な税金によるところが大きい。価格には消費税、インフラ維持のための道路税、そして炭素税が含まれている。

炭素税は、ノルウェー政府がゼロ・エミッションの電気自動車(EV)を奨励していることから課されるものだ。現在、ノルウェーで販売される新車の5台に4台がEVであることから、政府の目論見は当たったようだ。

バルバドス:2.091ドル(約329円)

カリブ海に浮かぶ英連邦の小さな島、バルバドスは、今や燃料代においてカリブ海諸国のトップに立っている。原油からガソリンを精製するコストに加えて、現地の税金が上乗せされている。燃料税から支払われる補助金や、島外からの石油輸送費も価格に影響している。

しかし、多くの国とは異なり、バルバドスの給油所はすべて同じ所定の価格を設定している。安い給油所を探し回る必要はない。

イスラエル:2.096ドル(約330円)

イスラエルにおける燃料代の大部分は、高額な税金によるものである。燃料税とは別に付加価値税が課され、さらに関税もかかる。イスラエルは中東にありながら、国内の石油備蓄はわずかであるため、燃料の大半を輸入に頼っている。

つまり、イスラエルは原油価格変動の影響を受けやすい。輸入石油はすべて海路で運ばれてくるが、固定パイプラインよりも割高であり、コスト上昇の一因となっている。主な産地はカザフスタンとアゼルバイジャンである。

スイス:2.110ドル(約332円)

多くの国と同様、スイスでも2022年以降に燃料代が高騰したが、その後落ち着くまでに他の欧州諸国よりも時間がかかった。そのため、安い燃料を求めてフランスやオーストリアに渡るドライバーもいる。

スイスとオーストリアの国境には免税エリアがあり、比較的安く燃料を手に入れられる。しかし、ほとんどのドライバーは諦め、燃料税、燃料税サーチャージ、輸入税などを含む高い料金を支払っている。燃料代はライン川を利用した輸送コストにも影響される。ライン川は水位の上昇により、突然閉鎖されることもある。

リヒテンシュタイン:2.186ドル(約344円)

リヒテンシュタインよりも燃料代が高い国はあるが、それでもかなり財布に響く。国内の石油埋蔵量がないため、すべて輸入しなければならない。しかも陸路で運ばれてくるため、コストがかさむのも無理はない。

政府はまた、燃料から多くの税金を徴収している。

デンマーク:2.196ドル(約346円)

デンマーク政府は以前から、燃料に高い関税をかけて自動車の利用を抑制することで、結果的に二酸化炭素(CO2)排出量を減らすというスタンスをとってきた。この政策は一定の効果を上げており、新車購入台数や1世帯当たりの自動車保有台数は着実に減少している。

政策の一環として、デンマークでは燃料に25%の付加価値税が課されている。また、ディーゼルエンジン車を減らすため、2025年から軽油に追加課税する計画もある。

オランダ:2.282ドル(約359円)

オランダでは新型コロナウイルスの感染拡大以降、燃料税が引き下げられた。ドライバーは少し安堵したことだろう。しかし現在、2025年までに燃料税を倍増させる計画がある。

燃料代の安いベルギーやドイツでガソリンを入れる人が多いため、特に国境付近の給油所は深刻な問題に直面している。オランダ政府は二酸化炭素排出量の目標達成のため、燃料に懲罰的な税金を課すことで消費者にEVへの切り替えを促そうとしている。

アイスランド:2.295ドル(約361円)

アイスランド国内の電力はすべて、水力発電と地熱発電を中心とする、完全に二酸化炭素を排出しない方法で自給している。しかし、石油はまったく生産していないため、自動車用のガソリンをすべて輸入しなければならない。

そのコストが価格に反映されている形だが、かなりの額の税金も上乗せされている。燃料税、道路税、物品税、付加価値税が含まれる。アイスランドの燃料代は首都レイキャビクと地方で大きく異なり、僻地では最大10%高くなる。

モナコ:2.317ドル(約365円)

モナコではほとんどのものが高価で、燃料も例外ではない。F1グランプリの歴史や有名レーシングドライバーが多く住んでいることを考えると、地元の人々にとっては皮肉な話だ。モナコの燃料価格が高いのは、大半が陸路で運ばれてくるためだ。

その上、モナコは不動産価格が高く、給油所はいわば一等地に建っていることになる。モナコとフランスは関税同盟を結んでいるため、モナコの燃料価格はフランスの価格と連動している。

香港:3.210ドル(約505円)=世界で最も高い国

香港ではスペースが限られるため、自動車所有率は先進国の他の地域よりもはるかに低い。その結果、自前の石油精製能力を持たない香港では、ガソリン1L当たりの価格が世界で最も高価な地域となっている。

燃料や自動車の購入には高い税金がかかるため、自家用車の所有は抑制され、住民は一般的に公共交通機関を利用している。燃料代の3分の1が税金であり、香港で自動車に燃料を入れるのは贅沢な行為である。

香港でガソリンを満タンにするには、世界平均の約2倍のお金がかかる。また、土地に余裕がないことから、給油所の設置と維持にもコストがかさむ。

では、最も燃料代が安いのはどの国だろうか? ここからは安い10か国を見ていこう。

ナイジェリア:0.474ドル(約74円)

ナイジェリアは主要な産油国だが、精製能力が非常に限られているため、ガソリンのほぼ全量を輸入に頼っている。にもかかわらず、歴史的に燃料が非常に安い。政府が莫大な補助金を投じてコストを抑えてきたからだ。

ナイジェリアのドライバーにとって燃料が安いのは当然のことであり、政府が補助金を減らして価格を本来の供給コストに近づけようとすると、しばしば大規模な抗議デモが起こる。

しかし、政府が2023年に補助金を打ち切ったことで、価格は25%上昇した。それでも世界水準では非常に安い。2024年1月、ナイジェリアで新しい製油所が開設した。これがフル稼働すれば国内のガソリン生産が大幅に増加し、燃料代も下がる可能性がある。

マレーシア:0.436ドル(約68円)

マレーシアの石油の約4分の3は海外で販売されており、国民に安く提供する余裕がある。しかし近年、燃料代が高騰している隣国インドネシアに密輸されるという問題も生じている。

その結果、マレーシア政府は軽油に対する補助金制度を改定し、軽油の密輸取引を阻止するために50%以上値上げした。また、ガソリンにも同様の補助金減額を適用する計画がある。

トルクメニスタン:0.429ドル(約67円)

中央アジア諸国の中で、トルクメニスタンはイランに次いで2番目に燃料代が安い。トルクメニスタンでは石油よりも天然ガスの生産量がはるかに多いが、膨大な石油埋蔵量があるため国内需要の大半をまかなうことができる。なお、同国の給油所はすべて国営である。

アンゴラ:0.351ドル(約55円)

アンゴラはナイジェリアに次ぐアフリカ第二の産油国である。しかし、国内に石油精製所が少ないため、ほとんどのガソリンは輸入されている。輸入燃料のコストに対抗するため、歴代のアンゴラ政府は燃料補助金を支給してきた。

しかし、2024年の予算案でこの補助金が廃止されることになり、価格が大幅に上昇する可能性がある。アンゴラ政府は、2025年末までにすべての燃料補助金を廃止すると発表している。

クウェート:0.343ドル(約54円)

中東の産油国の中で、ガソリンが最も安いのがクウェートだ。これは、余剰石油を世界に販売して得た利益から、国民に燃料価格を補助するという政策によるものだ。

つい最近まで、ガソリン1Lはミネラルウォーター1本より安いほどだったが、燃料価格のわずかな値上げによって状況は変わっている。

アルジェリア:0.342ドル(約53円)

アルジェリアも主要な石油産出国である。自国の需要を満たすことができ、余剰分を他国に販売して収入を得ている。

石油輸出で得た利益で、アルジェリア政府は国内のガソリン販売価格を低く抑えている。恩恵を受けるのはドライバーだけではない。アルジェリアの公共交通機関は非常に安く、国民全員が低コストで移動できる。

エジプト:0.285ドル(約44円)

アフリカ大陸でリビアに次いでガソリン価格が安いエジプト。その理由はおおむね政府の補助金だ。エジプトは他の多くの石油埋蔵国よりも原油の生産管理に成功しており、原油を自給し、その大半を国内用に精製している。

燃料に課せられる税金も非常に低く、さらなる低価格化に貢献している。

ベネズエラ:0.035ドル(約5.5円)

南米最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラは、1970年代から1980年代にかけて国営石油会社が精製設備に投資してきた。その結果、ガソリン価格は1Lあたり3セント強となり、一般的な乗用車であれば1ドル未満で満タンにできる。

しかし、汚職が国内のインフラに打撃を与えているため、このように多額の補助金が支給されている状況であっても、ドライバーはなかなか恩恵を受けられない。

リビア:0.031ドル(約4.9円)

リビアもまた、膨大な石油埋蔵量のおかげでガソリン価格が非常に安い国である。石油の輸出で莫大な収益が得られるため、リビア政府は国内の燃料価格を非常に低く抑えている。

一方、送電網が整備されていないため発電機の需要が高く、その燃料となる軽油は割高だ。リビアでは軽油はガソリンより約50%高い。

イラン:0.029ドル(約4.5円)=世界で最も安い国

イランは膨大な量の石油を埋蔵しており、その大部分を中国に輸出しているが、最近では自動車向けのガソリンの多くを輸入に頼っている。この輸入燃料のコストはイラン政府によって相殺され、1Lあたりの価格は3セント以下となる。近隣の産油国よりはるかに安く、政府が値上げや補助金の削減を行おうとした際には、激しい抗議デモが相次いだ。

また、イランでは国内用に精製できる原油の量と高まる消費者需要との間にギャップが広がっている。そのため政府に対して補助金を削減し、燃料価格をコストに見合ったものにするよう圧力がかかっている。しかし、少なくとも今のところ、イランのガソリンは世界で最も安い。

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みんなのコメント

5件
  • きい たろう
    産油国の中にはガソリンより必需品の飲料水の方が高い国もあり、
    一概に安いからと言って羨ましいとは思わない。
  • Kou
    揮発油税は、国と地方で折半ですので、トリガー条項には、地方が反対するのです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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