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DS 4 CROSSBACK とアルカナ、どっちがオシャレ?洗練されたスタイルが美しいフレンチSUV対決

掲載 更新 13
DS 4 CROSSBACK とアルカナ、どっちがオシャレ?洗練されたスタイルが美しいフレンチSUV対決

同じSUVでもメーカーによって、デザインも走りも雰囲気も全く異なるが、個性的だと言われるフランス車はどんな違いがあるのだろうか。最新モデル2台を乗り比べてみた。

 日本の市場において、輸入車といえばドイツ車とスウェーデン車が販売台数の上位を占めていた。しかし、HV、PHEV、EVが注目を集めるようになり、フランス車の存在が大きくなってきた。現在、プジョー、シトロエン、DS、ルノーが次々と魅力的な新型車を投入している。フランス車といえば、実用性を重視しながら個性的なクルマ造りを得意とするメーカーが多いが今回は、DSとルノーから登場したデザインも秀逸な最新モデルを試乗した。

各社から続々と新型が登場する電気自動車、購入するならどれが正解?

 DSはシトロエンが2014年に立ち上げたブランドだ。ステランティスグループの高級ブランドとしてすでに3車種を発売しており『DS4』は4番目のモデル。今年1月の国際自動車フェスティバルでは〝世界で最も美しいクルマ〟に選ばれている。確かに洗練されたデザインが特徴だ。パワーユニットは3気筒1.2Lガソリンターボ、4気筒1.5Lディーゼルターボ、1.6Lガソリン+モーターのPHEVが選べるが、今回は1.2Lターボに試乗した。ボディーサイズに対して小さめの排気量のクルマがどんな走りをするのか興味津々だったが、結果として驚かされることになる。

 一方、ルノー『アルカナ』は今年5月にデビュー。最低地上高が200mmというクーペSUVだ。注目したいのはパワーユニット。HV車だが、ルノー独自の技術力でほかの欧州ブランドが搭載しているマイルドHVとは異なり、モーターでの走行距離が長く、アシストの時間も多いトヨタ方式に近いフルHVを実用化している。そもそもフルHVはトヨタが特許で押さえているので、他社が実用化することは至難の業とされてきた。それをルノーはF1の技術などを活用しながら『アルカナ』で市販化に成功したのだ。

 2台の走りを比べてみると『DS4』は大きめのボディーで1420kgの車重があるが、1.2Lターボ+8速ATはスタートからスムーズに加速した。高速道路での巡航も力不足は感じなかった。『アルカナ』はフルHVでスタートからのモーター走行、エンジンを併用しての高速走行などスムーズだが、ドグミッションの音などでモーター走行時も無音ではない。

 両車ともにドイツ車にはない繊細さやエレガントな佇まいを感じられるのが印象的だった。この2台なら、どちらを選んでも楽しみが増えそうだ。

世界で最も美しいと評されたSUV

DS『DS 4 CROSSBACK』

Specification
■全長×全幅×全高:4415×1830×1495mm
■ホイールベース:2680mm
■車両重量:1420kg
■排気量:1199cc
■エンジン:直列3気筒ガソリンターボ
■最高出力:130PS/5500rpm
■最大トルク:230Nm/1750rpm
■変速機:8速AT
■燃費:17.7km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:449万円
※「RIVORI Pure Tech」

ヘッドライトはスリムなプロジェクタースタイル。デイタイムランニングライトはグループ会社プジョーの縦長デザインより長く、さらにフロントエアスポイラーまで伸びている。

長いホイールベースもDSの特徴。全長は4415mmで『アルカナ』より155mm短いがホイールベースは40mmしか差がない。全高は1500mmを切っているので使い勝手はよい。

レクサスのSUVにも似ているリアのデザインだが、細長く伸びたランプはレーザーエンボス加工された立体的なダイヤモンドデザイン。片側だけで80個のLEDライトが使用されている。

輸入車唯一のフルハイブリッドモデル

ルノー『アルカナ』

Specification
■全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
■ホイールベース:2720mm
■車両重量:1470kg
■排気量:1597cc
■エンジン型式:直列4気筒ガソリンDOHC+交流同期モーター
■最高出力:94PS/5600rpm+49PS
■最大トルク:148Nm/3600rpm+50Nm
■変速機:電子制御ドグクラッチ8速AT
■燃費:22.8km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:429万円
※「R.S.ライン E-TECH HV」

ルノーはヘッドライトにLEDを採用しているが、外側はルノー車であることを象徴するCシェイプのデイタイムランプが取り囲んでいる。バンパー下のエアロパーツはF1譲り。

ルーフラインはクーペのようにリアに向かってなだらかに下がっている。全高は1580mmだが最低地上高は200mmを確保。前輪駆動車だが悪路走破能力は高い。タイヤは18インチ径。

全幅は狭く見えるが『DS4』とほぼ同じ。テールランプもCシェイプが組み込まれ、左右は細いラインでつながっている。バンパー下の整流板を模したパーツにも空力低減効果がある。

暮らしに刺激を与えてくれるエモーショナルなフレンチSUV

DS『DS 4 CROSSBACK』

エンジンルーム

パワーユニットはガソリン/ディーゼル/ガソリンPHEVの3種類から選べる。どれも8速AT+前輪駆動の組み合わせ。

運転席と各種装備

内装は再生材、再生可能素材を30%使用。吹き出し口を最小化した最新の空調システムを実用化しておりデザインも美しい。

シートスペース

室内はセンサーを用いてCO/NO2/NH3やPM2.5粒子を検知し自動的に空気を浄化する。後席の着座位置は高めで身長170cmが限界。

ラゲージスペース

デザイン重視のせいかリアゲートの開口部はやや狭い。路面からの高さは780mmで『アルカナ』と同じ。床面の高さは開口部から19cm下。

【 ココがポイント!】インパネのタッチ操作も自然な姿勢で簡単にできる

最新のコントロール機能のひとつ。スイッチ式ATセレクターの前方にあるモニターはスマートタッチ。ここを軽くタップすると、インパネのモニターに手を伸ばさなくても画面操作できる。

【 ココがポイント!】機能美を追求した独創的なインテリアデザイン

デザインと機能の双方を合体させたのがパワーウインドウのスイッチ。シルバーの加飾の中にスイッチが埋め込まれている。ドアハンドルやドアグリップなどのデザインや位置も個性的だ。

ルノー『アルカナ』

エンジンルーム

直4ガソリンエンジン、駆動用と補助用の2モーター、電子制御ドグクラッチマルチモードATで独自のフルハイブリッドを実現した。

運転席と各種装備

カーボン調トリムとレッドラインのインパネ。メーターはフルデジタル、センターには7インチのタッチスクリーンを装備している。

シートスペース

前席はレザー×スエード調表革の6WAY電動式を採用。後席の着座位置は高めだが床もフラットで、身長170cmクラスでも快適。

ラゲージスペース

大きくて広いリアゲート。床板ボードは上下2段で高さを変えられる。後席背もたれは6対4で可倒し床面を上段にすればフラットになる。

【 ココがポイント!】輸入車で唯一のフルハイブリッド車

マイルドではなくフルハイブリッドなのでスタートからのモーター走行可能距離が長い。回生ブレーキを効かせれば走行距離も延びる。高速道路では1.6Lエンジンで低燃費走行が可能だ。

【 ココがポイント!】ルノーF1チームの技術が注入されたハイブリッドエンジン

フルハイブリッドエンジンの開発には、ルノーF1チーム(RS=ルノースポール)の技術と開発部門の人的交流が貢献したという。それを象徴する証しとして、RSエムブレムが付いている。

快適性、上質感なら『DS 4』、走りやパフォーマンスなら『アルカナ』

DS『DS 4 CROSSBACK』

[運転性能]3気筒1.2Lガソリンターボエンジンは、大きめのボディーでも性能は十分。やや重めのハンドリングも安定感あり。18点

[居住性]前席はゆとりがあり前方、斜め後方の視界もいい。後席とラゲージスペースは狭くはないが使い勝手はあと一歩。17点

[装備の充実度]先進運転支援システムは、コーナーミリ波レーダーや180度カメラなど機能がアップ。室内浄化など快適装備も実用的。19点

[デザイン]世界で最も美しいクルマに選出されたのはスタイリングだけでなく、インテリアにも華やかさがあるからか。19点

[爽快感]今回は130PS、230Nmの1.2Lガソリンエンジンだったが、131PS、300Nmのディーゼルや225PS、360NmのPHEVも楽しい。18点

[評価点数]91点

ルノー『アルカナ』

[運転性能]スタートから街中走行もモーターで走れるのがフルHVの強み。さらにF1の技術が生かされ高速走行でも低燃費。18点

[居住性]前席の死角は少なく広さも十分。後席も床はフラットでクーペ形状だがヘッドスペースは確保されている。18点

[装備の充実度]先進運転支援と予防安全技術はかなり進んでいる。最新プラットフォームでユーロNCAP5スターの衝突安全も獲得。19点

[デザイン]クーペスタイルのボディーは空力抵抗とスポーツ性能を意識したもの。ハイエンドSUVの雰囲気を感じさせる。19点

[爽快感]走りの楽しさは運転モードを選択することで自分好みのトルクまで調節できる。ドグクラッチの音は気になる。18点

[評価点数]92点

【OTHER CHOICE】ドイツ車とフランス車でも大きく異なる電動化戦略

 国産車でも脱炭素化の動きの中で、EVやPHEVのバリエーションを増やす動きが拡大している。EU各国は日本より脱炭素化への動きが進んでおり、メーカー各社も積極的に取り組んでいる。

 同じEVやPHEVのクルマを造るにも国ごとの交通状況や充電インフラから、実用化するクルマの性格に違いがあるのが興味深い。

 ドイツは高性能で高額車に力が入っている。ポルシェ『タイカン』、アウディ『eトロン』、メルセデス・ベンツやBMWも高性能EVやPHEVの開発に注力している。

 一方、フランスは街中も重視したコンパクトカーを中心に、高速走行まで考慮したクルマが多いのが特徴。車両価格も400万~500万円台が多いことも日本での人気が高まっている理由といえる。

 ステランティスグループ(プジョー、シトロエン、DS)とルノーが開発するEVやPHEVは、どれも実用的で個性的。今後もぜひ注目したい。ユニークなモデルがきっと用意されているはずだ。

シトロエン『C5 AIRCROSS SUV PHEV』

571万2000円~

プジョー『3008 GTハイブリッド4』

648万4000円~

文/石川真禧照 撮影/望月浩彦

※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年6月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。

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