■遠目に見れば正統派セダン!目を凝らしてよく見ると・・・!
「FR駆動方式のアルファロメオ」このフレーズを耳にして、驚いた人もいるのかもしれません。中高年の方にとっては、アルファロメオといえば、フロントにエンジンを搭載しフロントタイヤを駆動する、いわば「FF」を思い浮かべるでしょう。ですが、昨年デビューした「ジュリア」はFR駆動方式を採用しているのです。
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そんなジュリアの中でも最強グレードたる「クアドリフォリオ」は、いかにもアルファロメオらしい、熱いパフォーマンスを秘めています。標準モデルは直列4気筒2リッターターボエンジンを搭載しますが、このクアドリフォリオは特別で、フェラーリ製と共通のV型6気筒2.9リッターツインターボエンジンを積んでいるのです。
最高出力は510ps/6500rpm、最大トルクは600Nm/2550rpmを発揮します。車重は1710kgと軽量ですから、加速力がとてつもなく暴力的であることに納得します。回転計の針が低い段階から、強烈なトルクが発生します。不用意にアクセルペダルを床まで踏み込んでしまうと、あまりの加速感に驚き、右足が緩んでしまうほどです。
そもそもエンジンサウンドが刺激的です。いかにもビックパワーマシンらしく、ドロドロとした重低音を響かせていますから、クアドリフォリオが只者じゃないことは、加速する前からわかることです。
遠目に見れば正統派の4ドアセダンの形をしていますから、真っ赤に塗られたブレーキキャリパーやアルファロメオらしい意匠のアルミホイール、あるいは太いタイヤなどを見過ごしてしまうと走りに驚くかもしれません。
■競技マシンを上回るキレッキレのハンドリングとは?
そんな過激なクアドリフォリオなのですが、僕が驚いたのは加速感ではなく操縦性です。ステアリングを切り込むと、ハッとするほど鋭く反応するのです。こんなに切れ味のいいハンドリングは、レーシングカーでもそう多くはありません。競技用マシンでも、ここまでシャープなハンドリングではないのです。とことんキレッキレなのです。
アルファロメオというメーカーは鋭いハンドリングを好みますが、ここまでキレッキレに設定するとは想像はしていませんでした。
後輪の左右に力を分け与えるトルクベクタリングという特殊な機構も組み込まれています。この効果も絶大のようで、ステアリング操作と同時に、外側のタイヤに強い力を伝えますから、一般のモデルよりも鋭いコーナリングを披露するのです。
ハンドルを切り込んでも、期待よりも曲がりづらい特性をアンダーステアと言います。一般的にクルマは、アンダーステアになるように設計されています。ですが、そのアンダーステアが強いと、ドライビングは楽しくありません。
一方、期待より曲がりすぎる特性をオーバーステアと言います。これはスポーツドライビングを好む人たちには喜ばれる特性なのですが、度がすぎるとスピンしてしまいますので危険でもあります。
ではどこでバランスさせるか・・という点が難しいのですが、クアドリフォリオは驚くほどオーバーステア傾向に設計をしています。ですからとっても走りに躍動感があり、楽しいのです。
もちろん最終的にはスピンしづらいように、電子制御が細工をしてくれますから安心です。
いやはや、FF駆動方式が得意だったアルファロメオがFR駆動方式を採用した意味がわかったような気がします。FFは比較アンダーステアになりやすい機構で、それを嫌ったのです。
クアドリフォリオは、キレッキレのコーナリング特性にするために、あえてFR駆動方式にチャレンジしたのかもしれません。
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