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元に戻せる電動化キット エレクトロジェニック・ポルシェ911 964へ試乗 充足感は低くない 前編

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元に戻せる電動化キット エレクトロジェニック・ポルシェ911 964へ試乗 充足感は低くない 前編

ディフェンダーとEタイプ、911用のキット

電気自動車になったクラシック・スポーツカーへ、魅力を感じるだろうか。好き嫌いは明確にわかれそうだが、少なくとも需要は小さくないようだ。グレートブリテン島の中南部に拠点を置くエレクトロジェニック社が、事業を次のフェーズへ移せるのだから。

【画像】元に戻せる電動化キット エレクトロジェニック・ポルシェ911 BEV化事例は他にも 全133枚

同社はこれまで、シトロエンDSやデイムラー・マジェスティック、TVRサーブラウなど、多くのモデルのバッテリーEV(BEV)化、エレクトロモッドへ取り組んできた。海外のチューニングガレージと提携関係を築くなど、ビジネスは順調なようだ。

特にエレクトロモッドへの注目度が高いのが、アメリカ・カリフォルニア州。クラシックカーを所有しているものの、年代物の内燃エンジンを維持するのが難しいと考える、比較的若い層が関心を寄せているらしい。

ロンドンの北西に位置するノース・オックスフォードの本社工場では、毎年数台のクラシックカーがBEVへ生まれ変わっている。しかし今回、拡大するニーズへ応えるべく、3車種へ特化したエレクトロモッド・キットの製造・販売をスタートさせたという。

対象となるのは、1983年以降に製造されたランドローバー・ディフェンダーと、ジャガーEタイプ、そしてGシリーズと呼ばれる後期の901世代から964世代までの、空冷のポルシェ911だ。いずれもクラシックカーとして人気は高い。

218psの駆動用モーターへ載せ替え

このキットには仕様に応じて、43kWhから93kWhの駆動用バッテリーと、充分なパワーの駆動用モーターが含まれる。ベース車両のマニュアル・トランスミッションを残すか、ドライブトレインを丸ごとコンバージョンするか、選択も可能だという。

急速充電能力は、DCで最大50kWに対応する。エレクトロジェニック社は今後のビジネスを通じて、さらに対応車種を増やそうと考えている。

ポルシェ911の場合、エレクトロモッド・キットは2種類が設定されている。今回試乗したモデルへ組まれていたのは、最高出力が控えめで安価な「E62」というもの。ベース車両のサスペンションやブレーキを強化せずに、コンバージョンできる内容となる。

駆動用モーターは最高出力218ps、最大トルク31.6kg-mを発揮し、オリジナルと同等の動力性能が得られるよう設計されている。0-97km/h加速は、約5.0秒でこなすとうたわれる。車重は120kg増加するらしい。

パワフルな方は「E62S」と呼ばれ、最高出力は326psまで上昇する。このキットを組む場合は、シャシーまわりの強化を強く推奨している。

キットといっても、ガレージでアマチュアが組み込めるものではない。協力関係にあるチューニングガレージへ車両を持ち込み、レストモッドの一環として作業するレベルだと考えるべきだろう。高電流に対する知識も必要だ。

62kWhの駆動用バッテリーはフロントに

さらに、メーターパネル内のメーター類をBEVへ対応したものへ置換するアイテムも含まれる。変更内容は最小限に留められており、数年後に気分が変わっても、内燃エンジンで走る状態へ戻すことも可能だという。

試乗したデモ車両の場合、燃料計はバッテリーの残量計に、油温計は水冷式駆動用モーターの温度計に、油圧計は駆動用バッテリーの回生量計へ交換されていた。ただし、速度計と時計はそのまま。モーターの回転速度計もある。

車内空間は、オリジナルの911と同等の広さ。マニュアルのシフトレバーがあった場所には、ドライブギアのセレクタースイッチが据えられているが、それ以外はオリジナル状態が保たれている。+2のリアシートも残されている。

フロント側の荷室は、62kWhの駆動用バッテリーで専有されている。ちょっとした荷物も、車内へ置く必要がある。リアの水平対向6気筒エンジンは、駆動用モーターに置き換わっている。

前部に搭載された軽くない駆動用バッテリーの影響で、リア寄りの重量バランスは改善している。理論上は、操縦特性にメリットが生まれると考えられるが、実際は必ずしもそうとはいえないようだ。

ステアリングホイールを握り発進させてみると、効果的にレストモッドされたポルシェと同等に運転しやすい。日常的にクラシック・スポーツカーへ乗りたいと考えるオーナーを、満足させるに違いない。BEVが普通になる近未来の世界でも、堂々と走れる。

この続きは後編にて。

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