右コーナーへの飛び込みを重視して左の切れ角を激烈アップ!
ナックルだけじゃなくラック移動やロアアーム延長などの加工も満載!
「右と左で切れ角を変えた名阪スペシャル180SX見参!」単走優勝からの追走でも準優勝した中川号の秘密に迫る!【D1 LIGHTS】
先日、名阪スポーツランドにて開催されたD1ライツシリーズ第4戦。そこで単走優勝を決めたのは、D1ストリートリーガル時代から名阪戦には滅法強く、2014年にも単走優勝を決めている中川孝之(ナカガワ タカユキ)選手だ。
そして練習日から好走を連発していた中川選手は、今回の単走決勝でも1本目から鋭い振り出しからの深い角度をキープした走りを決めて99.60点をマーク。2本目は失敗してしまったものの、この得点を上回る選手は現れず、ひさびさの単走優勝を決めたのだ。
中川孝之選手は、滋賀県出身の33才でドリフト歴は15年。職業は溶接工だ。2010年に鈴鹿ツインサーキットにて開催されたD1ライセンス選考会でD1Bライセンスを取得し、以降はD1西日本シリーズにスポット参戦。ここで結果を残してD1Aライセンスに昇格し、D1ストリートリーガルシリーズにもスポット参戦するようになった。
D1ストリートリーガルシリーズに出るようになってからの最高成績は5位で、この時も単走決勝では優勝した実績を持っている。D1GPライセンスに昇格するチャンスもあったそうだけど「今のところ出ることはなさそう」と、現在も保有しているのはD1Aライセンスなのだそうだ。
2018年の名阪戦では追走トーナメントに進出したものの、ベスト16の茂木選手との対戦でマシンのリヤをタイヤバリアにひっかっけてしまい横転。なお、現在のマシンは横転した180SXから使えるパーツを移植して完成させた仕様で、愛知県の神谷選手が捨てる予定だった180SXを譲ってもらいベースボディとしている。
エンジンは5~6年ほど使っているという中古のSR20DETで、東名パワードのポンカムとヤフーオークションで買ってきたメーカー不明のメタルガスケットを組み込んでいるのみ。タービンはGCGのGTX3076で、ブースト1.3キロ時に400psを発揮している。冷却系はHPI製品で統一、中置き化にともなうパイピングのワンオフは、コンピュータセッティングまで含めて和歌山県のネオスタイルが担当している。
切れ角アップナックルは、ネオスタイルが製作した中川スペシャルバージョンでフルカウンター時によく転がる特性だ。「名阪に合わせて左によく切れるようにしたい」ということで、D-MAXのテンションロッドは右側に逃げのあるタイプを使い、左側は強度を重視してストレートタイプを使う。
また、ロアアームはS14純正をベースに40mmほど延長加工したものを装着。テンションロッドに当たらないギリギリの位置にナックルストッパーをワンオフした。イケヤフォーミュラ製のタイロッドを使っているものの長さが足りなくなるので、延長アダプターを追加している。
フロントサスメンバーは逆関節防止のためにラックの前出し加工が施されており、ラックは少しでも左側に切れるようにするため、中心からずらして固定しているという拘りようだ。
車高調は前後ともスタンス製で、バネレートはフロント8kg/mmのリヤ5kg/mm。リヤタイヤはナンカンNS-2Rの265/35-18を愛用している。
フロントタイヤは「夏場はコスト重視でナンカンAR-1、冬場は安心感を買ってトーヨータイヤのプロクセスR1Rですね」と季節によって使い分けているが、大会時はフロント履きのAR-1のワイヤーが出ていたため、急遽プロクセスR1Rを借りてきて参戦した。
ロールバーやS15純正ダッシュボードは、横転車から移植。シートは両座席ともブリッドのHANS対応のプロフェイスで揃える。以前はナルディ派だったというハンドルは、黄色のロゴで揃えたかったのと最近はディープがカッコよく見えたという理由でmomoの33φに変更。レーシングハーネスもHPIの黄色で揃えている。
追加メーター類は中央のエアコン吹き出し口にマウント。ブースト計のみハンドルのコラム上に装着している。
「捨てるところをもらってきた」というだけあって、中身は鉄板にシワが寄っていたりと歴戦のダメージが蓄積。フロントの第1メンバー付近もスポット溶接の剥がれがあったそうだが、このあたりはひと通り溶接して修復済みとなっている。
溶接工として働いているだけあって、溶接はお手のもの。左側のサイドステップから出されたウエストゲート解放口もDIYによるものだ。
中川選手は追走トーナメントになってからも好調をキープしており、先行時は単走のときのような切れのある走り、後追いでは先行車よりも角度のある走りで勝ち上がって決勝へ進出。高木選手と対戦した決勝戦ではラッシュアジャスターがヘタっていたことでスタートに手間取り、後追いでついていけずに敗退したものの、自身最高位となる準優勝という結果を残した。
次戦のオートポリスには参加予定とのことで、すでに宿の手配を終えたとか。名阪と比べるとオートポリスの競技区間は激しく速度域が違うものの、振り出し区間となる最初のコーナーは右コーナーとなっているので、名阪同様、オートポリス戦でも深い角度の走りに期待したい!
TEXT&PHOTO:Daisuke YAMAMOTO
【関連サイト】
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