BMWの新型「7シリーズ」に設定されたディーゼルモデルは、素晴らしいラグジュアリーセダンだった。小川フミオがリポートする。
万人ウケは狙わない
世の自動車好きよ! SUV全盛の今だけど、セダンは頑張っている。代表例がBMWの新型7シリーズだ。伝家の宝刀ストレートシックスを積むBMW740dに2024年7月に試乗して「なんて出来のいいセダンなんだろう!」と、いたく感心した。
7シリーズとは、もとをたどれば1977年、北米での市場拡大などを狙ったBMWが企画して発売された。メルセデス・ベンツ「Sクラス」が競合で、当時はどちらのクルマも、パワーとエレガンスともに、しっかりセリングポイントにしていた。
やがて、BMWは独自路線を選択。2001年に発表された4代目7シリーズは、フロントマスクとトランクに独自のデザインを採り入れたデザインとなり、保守性の強いSクラスやアウディ「A8」とはあきらかに異なる方向性を採用したのだった。
「7シリーズのデザインで重視していることは──」
BMWのデザインを統括しているドマゴイ・デュケクが、現行7シリーズ発表のタイミングでインタビューに応え、言っていたことを、私はよく覚えている。
「万人ウケは狙わないデザインを採用しようということでした」
デュケクは「BMWは万人ウケを狙うブランドではなく、私がつねに意識しているのは“違っている”点です」と、述べた。
なるほど。人によって、22年に登場した現行7シリーズは、独特なフロントマスクゆえ、やや敷居が高いと感じるかもしれない。でも、一度ドアを開けて乗りこんでしまうと、このクルマの虜になるのでは? そう確信させる魅力が、新型7シリーズにはあるのだ。
もうひとつ、7シリーズならではの特徴は、インテリアにある。前後席ともスペースがたっぷりあり、試乗車の「エグゼクティブラウンジシート」(オプション)は、肌触りのよい、ややソフトなクッションをもちつつ、身体をしっかり支えてくれる出来のよさ。
ユニークなのは、デジタル技術を多用した娯楽装備だ。ダッシュボードには、水晶や氷を連想するカット面を持つ透明な帯がぐるりと設けられていて、乗員は任意でこの部分の色を変更できる。設定画面に豊富なカラーパレットが載っていて、好みの色を選べるのだ。これで車内の雰囲気がおもしろいように変わる。
さらにドライブモード連動型の「マイモード」もある。こちらも、オーナーになってゆっくりと慣れていく楽しみといえそう。試乗車は、スカイラウンジと名付けられた大きなガラスはめこみルーフのオプションもそなわっていて、後席の居心地がいいのだけれど、しかしそれでも、最上の場所はドライバーズシートだろう。
スポーティなドライブ感覚が味わえる私が乗った新型740d xDrive Excellenceのエンジンは、2992cc直列6気筒ディーゼルで、最高出力は210kW、最大トルクは650Nm。これだけトルクがあれば、全長5390mm、ホイールベース3215mmの車体にだって十分すぎる。出足は速く、アクセルペダルを軽く踏み込んでいるだけで、ぐんぐんと加速していく。
この6気筒ディーゼルエンジンの出来映えはすばらしい。アクセルペダルを踏んでいったときの頭打ち感がなく、かつディーゼル特有のガラガラ音も聞こえない。ガソリンエンジンと識別不可能だ。
アクセルペダルを踏み込んでいく自分の感覚と、エンジン回転が上がっていくときのパワー感がぴったりシンクロしているので、気持ちのよい加速感に頭がくらくらするほどだ。
加えて、反応のいいステアリングと、パワーをしっかり受け止め、期待どおりに車体を動かせる足まわりの設定。後席主体のリムジンとして使われることも多いクルマとは思えない、スポーティなドライブ感覚が味わえる。ガソリンの6気筒は、至上の幸福感を与えてくれるエンジンだが、ドイツを中心にいまもファンの多いディーゼル版もまた、最上の気持ちよさだ。
さらにディーゼルエンジンは、燃費が良好。リッターあたり14.7km(WLTCモード)に達する。740dを高速ツアラーとして使うケースの多いドイツならではのすぐれたスペックだ。
日本では、今回のエクセレンスと並行して、スポーティな仕立てのMスポーツも選べる(価格は同じ)。後輪駆動にこだわるなら、ガソリンエンジンの740iという選択もある。
7シリーズの長所には、顧客が、自分の好みに合わせて仕立てられる幅がとても広い点もある。仕上げも同様だ。車体の外板色や内装素材をはじめ、オプションは多い。
スカイラウンジ・パノラマガラスサンルーフを含めた「セレクトパッケージ」、31.3インチのモニターが天井に備わる「リヤシート・エンターテインメントエクスペリエンス」、マルチファンクションシートなど後席の快適性を高めた「リアコンフォートパッケージ」といった具合だ。さらに、ナビゲーションシステム用地図のアップデートなど、さまざまなプログラムが用意された「BMWコネクテッド・ドライブ・ストア」も使える。
なるほど。あらゆる面で説得力のある新世代のリムジンが新しいBMW740dなのだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
営業も必死で薦めてくるし、メディアも総動員でディーゼル万歳。
でも、ディーゼルは低負荷で淡々と長時間動かすことが得意なエンジン。
日本のほとんどの自家用車の用途には向かない。
よく考えて選べ。