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「ポルシェ911(Gシリーズ)」ビッグバンパーの時代《ポルシェ図鑑》

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「ポルシェ911(Gシリーズ)」ビッグバンパーの時代《ポルシェ図鑑》

1974 Porsche 911 Carrera

1974 ポルシェ911カレラ

「ポルシェ911カレラRSR ターボ2.14(1974)」偉大なる911ターボの祖先《ポルシェ図鑑》

911初の大幅な刷新を行ったGシリーズ

北米で改訂された衝突安全基準に対応するため、衝撃吸収を目的とした5マイルバンパーを装着しリデザインされたのが、通称ビッグバンパーと呼ばれる1974年以降の911シリーズである。

誕生以来、ホイールベースの延長、燃料噴射装置の採用(1969年)、2.2リッター・エンジンの搭載(1970年)、2.4リッター・エンジンの搭載(1972年)と改良が加えられ続けてきた911シリーズだが、1974年になって初めてそのボディスタイルに大きな変更が加えられることになった。それがビッグバンパーと呼ばれる911(Gシリーズ)だ。

厳しい基準の5マイルバンパーをスタイリングに昇華

最大の特徴はアメリカ連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) の新しい衝突安全基準に対応して前後につけられた大型の5マイルバンパーで、欧州仕様は収縮式鋼管、北米仕様は油圧ダンパーを内蔵し、衝撃を吸収する仕組みとなっていた。

それにあわせて前後フェンダーもリデザインされた結果、911のスタイルを損なうことなくモダナイズできたのは、無骨な5マイルバンパーのスタイリングに苦労したライバルに対しても大きなアドバンテージとなった。

2.7リッター水平対向6気筒は欧州と北米でスペックが異なる

空冷フラット6 SOHCは排気量を2687ccに拡大。スタンダードの911、911S、カレラの3種類が用意されたが、より厳しくなった排ガス規制に対応するため北米仕様はボッシュKジェトロニックを装着した専用エンジンを搭載。欧州仕様の911Sの最大出力が175hpであるのに対し、北米仕様は160hpとなるなどパフォーマンスに差がつくようになってしまった。

その後、1975年の北米仕様のカレラにターボのようなホエールテールを標準装備。1976年から欧州仕様のカレラに3.0リッター・エンジンを投入したほか、全モデルに亜鉛皮膜鋼板が採用されるなど、地道な改良が加えられていく。

ターボ用の930型ユニットを採用しタイプ名は「930」に

ポルシェは1978年イヤー・モデルで911のモデルラインナップを再編。ターボ用に開発されたエンジンをベースとする2994cc空冷フラット6 SOHC 930型ユニットを搭載した911SCに統一されることとなったが、最高出力は180hpと従来の911カレラに比べ20hpほど低くなっている。またエンジンの変更に合わせて社内のタイプ名がそれまでの901型から930型に変更されたのも特徴である(よって1974年から78年までのビッグバンパー車を930と呼ぶのは正しくない)。

ボディはそれまでの911カレラと同じリヤ・ワイドフェンダーのついたタイプとなり、MTが915型5速に統一されたほか、ブレーキもハイドロリック・サーボ付きになるなど、更なる充実が図られていた。

そのほかのトピックとしては、1981年のフランクフルト・ショーで発表され大きな反響を呼んだ911ターボ・カブリオ・スタディで提案されたカブリオレ・バージョンが、1983年10月から911SCカブリオレとしてレギュラー・モデルに追加されたことが挙げられる。これにより低迷に苦しんでいた北米市場での販売が好転し、生産中止が噂されるようになっていた911のモデルライフが、さらに伸びることに繋がった。

僅か20台のみホモロゲ用に生産された幻の「911SC/RS」

もうひとつ、911SC時代の変わり種として忘れられないのが、1983年にラリー用のホモロゲモデルとして20台のみが生産された911SC/RSだ。これはSCをベースに軽量化したターボ用のボディとターボ用のサスペンション、ブレーキを組み込んだスペシャルで、3.0リッター・エンジンは鍛造ピストン、専用カムシャフト、ボッシュ・クーゲルフィッシャー製プランジャーポンプなどの装着によりロードバージョンでも255hpにまでチューンされていた。

1984年のヨーロッパ・ラリー選手権では、ロスマンズのサポートを受けたヘンリ・トイヴォネンが惜しくもチャンピオンを逃したものの、5連勝を飾るなど圧倒的とも言える強さを発揮。この活躍が再び911をレースフィールドの最前線へと呼び戻すきっかけにもなった。

ポルシェ911カレラ3.0タルガ

ポルシェ・ミュージアムの所有する1976年型911カレラ3.0タルガ。200hpを発生する930/02型エンジンを搭載。この年からタルガのロールバーがブラックアウトされ、象の耳と呼ばれる大型ドアミラーが標準となった。

ポルシェ911SC “Safari”

1978年のイースト・アフリカン・サファリ・ラリーに出場し、ビック・プレストン・ジュニアのドライブで2位入賞を果たした個体。途中まで優勝争いを演じたビョルン・ワルデガルドも4位に入っている。

ポルシェ911SC カブリオレ

第3のボディバリエーションとして1983年から販売された911SC カブリオレ。タルガのボディシェルをベースとしながらも、ルーフすべてをソフトトップにすることで14kg軽量化されている。

TEXT & PHOTO/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
COOPERATION/ポルシェ ジャパン(Porsche Japan KK)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ911S 2.7

年式:1974年

エンジン形式:空冷水平対向6気筒SOHC

排気量:2687cc

最高出力:175hp

最高速度:225km/h

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みんなのコメント

1件
  • コレが出た時、ビッグバンパー以前の911はなんとも古臭く感じたんだけど、それが決定的になったのが『930ターボ』の登場!
    あの張り出したフェンダーにぶっといタイヤってのに参ってしまって、ナローなんて「カッコわる~」と少年時代は心底思ったものだった。

    今は全く逆だからねぇ~(まあ、930ターボをカッコ悪いと思ってはいないけど…)

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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