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モーガンのある人生、モーガンに乗る歓びとは? 川越信行さんと4/4

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モーガンのある人生、モーガンに乗る歓びとは? 川越信行さんと4/4

長年、モーガンに乗り続けるオウナーの思いとは? 武田公実が、40年近くモーガンと生活をともにするオウナーにインタビューした。

モーガンをセレクトした意味

使い勝手とクオリティの追求──新型カローラ・クロスの室内に注目!

GQ JAPAN本誌 2021年11月号に掲載されている「Drive My Car」では、鈴木正文編集長の愛車であるシトロエン「2CV」と、以前愛用されていたクラシック・ミニと並んで、これまで幾度となく所有してきたというモーガン「4/4」の3台を俎上に乗せ、比較しながらそれぞれの特質を考えた。

曰く、自動車という素晴らしい乗り物の本質をもっともピュアに体現したアナログでエッセンシャルなクルマたちに、未来への指標と希望を見出すとのこと。そして、長年の車歴のフィナーレを飾るのにふさわしいクルマ、という“裏テーマ”めいたセレクトでもあったという。

ところが、やはり絶対数の少ないモーガン、しかも編集長のリクエストである最終型4/4(欧州フォード製シグマエンジン+マツダ・ロードスター用マニュアルトランスミッション)はなかなか見つからなかった。

そこでお鉢が回ってきたのが、旧いクルマの愛好家の知り合いが多い筆者である。さっそくモーガンのワンメイククラブ「モーガンクラブ日本」で事務局を引き受けている知己にコンタクトをとり、編集長の希望に近いモーガン4/4を所有し、取材にご協力いただけるオウナーさんがいたら、ぜひ紹介してほしい……と、依頼したところ、先方から推薦されたのがクラブの重鎮である川越信行さんだった。

訊けば、川越さんはこれまで40年にもわたってモーガンを愛用し続け、これからも生涯モーガンひとすじを貫こうとしている生粋のモーガン愛好家とのこと。図らずも、鈴木編集長の想いにもみごとに合致する、最高のオウナーに出会えたことになる。

がぜん興味が湧いてきた筆者は、箱根での取材後、車両をご自宅ガレージに返却するとき、川越さんから詳しくお話しを伺うことにした。

いきなりプラス8を購入!

いわゆる“エンスー”、中でも英国車ファンの間でのみ知られる言葉に“モギー(Moggie)”というものがある。これはモーガン愛好家をさした愛称であるが、真にモギーと呼ばれるのは、モーガンへの一途な思いを保ち続けた人のみ。そして今回の取材に愛車をご提供いただいた川越信行さんは、正真正銘のモギーとして仲間たちから尊敬を集めているという。

川越さんとモーガンの出会いは、じつに40年前までさかのぼる。

学生時代に運転免許を取得以来、ホンダのスポーツカー「S600」および「S800」、そして日産の初代「フェアレディZ」のなかでも伝説的な最上級モデル「240ZG」などを乗り継ぎ、若くしていっぱしのスポーツカー通を自認していたという。

そんなおり、大学時代の先輩から、モーガンという古くて新しいスポーツカーの魅力を教えてもらったことで、川越さんの眼前に新しい世界が開かれることになった。

しかもその先輩は、新たにイギリス本国“モーガン・スポーツカークラブ”の認可を得た日本支部を設立するにあたって、川越さんにもモーガンを購入してもらい、クラブ立ち上げに参画することを提案してきたという。

モーガンというクルマの独特な魅力に惹かれてしまったこと、もとより人と人のつながりを大切にしていたことも相まって、川越さんは先輩の誘いをふたつ返事で受けることに。そして1981年に、自身初のモーガンとして、なんと3.5リッターのローバーV8を搭載するモンスター「プラス8」を手に入れてしまう。

おとなしい4気筒モデルではなく、いきなりプラス8を選んでしまった理由を川越さんにうかがうと「当時はまだ若かったから、オトコは黙って大排気量! なんていうのが仲間うちでの共通認識だったんですよ(笑)。それにフェアレディ240ZGまで乗っちゃったから、4/4やプラス4では力不足という先入観があったんだと思いますね」。

しかし、念願かなって中古で手に入れた真っ赤なプラス8は、予想していた以上に手ごわかった。エンジンから上がってくる熱で、クルマはもちろん人間も常にオーバーヒート気味。メカニカルトラブルや電装系の故障も絶えなかった。さらに、もとより車重800kg台に収まるモーガンにV8エンジンはToo Muchと感じ始めてもいたという。

それでもクラブでどんどん人の輪が広がり、モーガン仲間との絆が深まってきていたのも事実との由。モーガンとの趣味生活は、川越さんの人生の中で大きなウェイトを占めるようになっていたのだ。

“最高のモギー”

そこで川越さんは、より扱いやすい4気筒モーガンに乗り換える決意をする。それが1988年に購入したプラス4だ。フィアット社製の2.0リッター直列4気筒ガソリンDOHCエンジンを搭載したモデルで、彼が購入したのは当時でも3年落ちのユーズドカーだったそうだ。

初めてイタリア製のエンジンを搭載したことから、純血主義的なモーガン愛好家からは悪評プンプンだったともいわれる、この時代のプラス4。さらに、購入当初は点火系など数々のトラブルにも見舞われたとのことだが、川越さんとの相性は不思議と良かったようで、実に23年間もの長きにわたって愛用することになった。

所有期間が長かったため、このプラス4との思い出は数多いという。もともとはブリティッシュグリーンだったボディカラーを、奥さまのシャネル製ハイヒールからヒントを得たというベージュ/ブラックの2トーンに塗り替えたこと。またモーガンクラブのイベントにて、今や名物となっているというコスプレ(!)をおこなうときにも、大道具として活躍を果たしてきたことなど、川越さんとそのご家族に数多くの思い出を残してくれたとの由である。

そして2010年、還暦を迎えていた川越さんは、おそらく最後の愛車となるだろうとの思いを込めて、初めて新車で現在の4/4に乗り換えることとした。

新車ということで、ボディやインテリアのカラーは好みのものをセレクト。モーガン人生の集大成となるこのクルマで、ブラックの外装とベージュの本革インテリアの組み合わせをセレクトした。

最終型4/4は、目立ったトラブルもなく、モーガンの楽しさをストレスフリーで享受できるとの由。71歳の今でも、休みの日には愛車4/4とともにドライブを楽しむいっぽう、クラブ主催のツーリングやゴルフ大会などにも積極的に参加している。

また、ガレージでモーガンとともに過ごす時間が多いという川越さんは、モーガンと仲間たちとともにある自分が、もっとも自分らしいと自認しているという。

この4/4とともに自らのクルマ人生を終え、もし可能であれば家族に終の愛車を引き継いでほしいと考える彼こそ、まさしく“最高のモギー”と感銘を受けてしまったのである。

文・武田公実 写真・望月浩彦

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