エクステリアを中心とした大幅改良を受けた新しい「マツダ2」の魅力とは? 実車を見た自動車評論家の今尾直樹が考えた。
全部で198通り!
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おおっ、まるでガルフ・カラーだ! 1月上旬におこなわれた事前撮影会で実車を見たひとはだれもがそう思った(たぶん)。ほぼグリルレスのフロント・マスクと薄い水色のボディ・カラー、さらにオレンジのデカールによって、元気ハツラツ、リポビタンD! じゃなかった、オロナミンC! という感じの、マツダ2史上、最高にラブ&ポップな仕様が登場したのである。
もうちょっと詳しくご紹介しましょう。
まずもってマツダ2はマツダのベーシック・カーである。現行型は2014年にデミオの4代目として登場し、2019年に海外名のマツダ2に改名されている。発売から約9年。それでも2022年の1~11月のマツダの国内販売の19%を占めており、「CX-5」の25%に次ぐ地位を維持している。
自販連の乗用車ブランド通称名別順位でも、2022年の販売台数は2万4429台、前年比99.1%を記録し、25位となっている。台数的には4代目デミオ時代の最盛期の半分とはいえ、これほど長期にわたって商品力を維持できている国産車も珍しい。基本設計とキリリとしたデザインのよさにくわえて、随時おこなわれてきた小改良の賜物、といえるだろう。
マツダが“大幅商品改良”と、表現する今回のマイナーチェンジでは、それゆえ、というべきか、機械部分には手を加えていない。現代の小型車としては珍しく、ピュア内燃機関であり続けている。
エンジンは1.5リッター直4ガソリン自然吸気と、同ディーゼル・ターボの2本立てで、駆動方式には前輪駆動と4輪駆動がある。15(イチゴー)と呼ばれるガソリン・エンジンは最高出力110ps、最大トルク142Nm、XD(クロスディー)という名のディーゼルはATで105psと250Nm(MTだと、最大トルク220Nm)を発揮する。
機械部分には手を入れないという制約のなか、新型マツダ2ではどんな大幅改良がおこなわれたのか? というと、マツダのエントリー・モデルとして、より若者にアピールするような商品に仕立て直すことだった。というのも、ここ5年でマツダは20~30代の顧客層を市場全体よりも減らしていたからだ。冒頭に記したガルフ・カラーは若者向けにつくられた、BDという新グレードの一例なのである。
BDとは、Black Deckというスケートボードの用語からとったもので、“素のいいもの”を意味するという。装備はあえて簡素にし、ボディ・カラーにガルフ・カラーの地の色を思わせる「エアストリームブルーメタリック」のほか、あえて申し上げれば、1950年代にル・マンで活躍したレーシングチーム、エキュリー・エコスを思わせる紺色の「ディープクリスタルブルーマイカ」、2色の新色を含む11色を用意。グリルの大部分を覆う樹脂製パネルもボディ同色とホワイトが選べたりする。
マツダ2のチーフ・デザイナーによると、この樹脂製パネルによって、グリルが控えめになり、たとえば現行のフィアット「500」のように可愛らしい印象を与えることができるという。なるほどなぁ。グリルにはワン・ポイントのアクセントとして、オレンジと黄色と赤の3色が用意されている。
ルーフのカラーもボディ同色のほか、ホワイトとブラックの2色があり、2トーンのホイール・キャップは6色、内装のダッシュボードのバイオ・エンプラ製パネルは3色用意されており、全部で198通りものカラー・コーディネーションから選ぶことができる。
Z世代の若者の多くは、一部の成功者は別として、クルマなんて欲しいと思っていない。カー・シェアリングで十分だと考えている。ただ、そういうZ世代のなかにも、クルマで自己表現したいと考える、風変わりな若者は必ずいる。クルマによって“生きる歓び”を提供したいマツダとしては、そんな風変わりな若者たちに“「自分の好きを表現できる」「自分の好きを探しに行ける」相棒”として提案するのが新型マツダ2のBDなのだ。不安だらけの現代だからこそ自分らしく生きたいという若者の欲求は高まっている。と、マツダは分析している。
とはいえ、選ぶものがありすぎて選べない場合もある。そこで、マツダのデザイン・チームが見本としてつくったのがROOKIE DRIVEとCLAP POPの2台(写真参照)なのであった。車両価格を200万円程度に抑えているのもBDの特徴だ。
いまできるCO2削減対策の技術もマツダ2のこれまでのキャラクターを存続させるべく、樹脂パネルなしのグリルを残した機種も2タイプある。15 SPORT(スポルト)とXD SPORT+というスポーティな仕様と、Sunlit Citrus(サンリット・シトラス)という上質さを打ち出した仕様だ。
スポルト系は「ブラック・トーン・エディション」の進化版で、メッキ類を黒く塗りつぶして精悍さを醸し出している。なにより6MTの設定がある。
サンリット・シトラスは2021年に追加された特別仕様車を存続させたもので、内装に上質なスウェード調の人工皮革を使う。エンジンはガソリンのみとなる。
新型マツダ2に採用された、いまできるCO2削減対策の技術として、ルーフ・フィルムとバイオ・プラスチックの導入が事前取材会で紹介された。ルーフ・フィルムはボディ色によってホワイトかブラックが選べる。ペイントではなくてフィルムを使うことで、上塗り工程の2回目を省略でき、CO2(二酸化炭素)を1台あたり約30.0kg減らすことができるという。塗装だと必要な乾燥炉のエネルギーがいらないからだ。
石油系ではなくて植物系のバイオ・プラスチックはダッシュボードのパネルに採用されている。本来は無色透明で、成形の工程で顔料を入れて着色する。塗装を省略できるので環境にやさしい。というメリットはルーフ・フィルムと同じだ。表面ではなく材料着色なので、深みのある色合いをつくり出すこともできる。
マツダは生産工程でもこれらの技術革新によって、カーボン・ニュートラルに地道に近づこうとしている。
なお、冒頭に「まるでガルフ・カラーだ! 事前撮影会で実車を見たひとはだれもがそう思った(たぶん)」と、書いたけれど、ROOKIE DRIVEのこの組み合わせを提案した20代の若いデザイナーは、ガルフ・カラーもポルシェ「917」も知らなかったという。あまりのことに聞かなかったけれど、ひょっとしてスティーブ・マックイーンも映画『栄光のル・マン』もご存知ない可能性もある。
1970年のホンモノのル・マン24時間レースの映像を使った名作『栄光のル・マン』は1971年の公開である。Z世代の若者が知らなくても当然かもしれない。それでも、ほとんど同じのをつくっちゃったのである。若者ってのはスゴイ!
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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ここが意味不明でその後読む気にならなかった