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縦目の新世代 メルセデス・ベンツW114/W115型 4ドアサルーンと2ドアクーペ 後編

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縦目の新世代 メルセデス・ベンツW114/W115型 4ドアサルーンと2ドアクーペ 後編

ポール・ウェラー氏が乗っていたW114型

ネイビー・ブルーの4ドアサルーンは、コリン・カミングス氏が所有するW114型のメルセデス・ベンツ250。ミュージシャンのポール・ウェラー氏が過去に乗っていた車両で、知り合いだったコリンが直接彼へ買い取りを願い出たという。

【画像】縦目の新世代 メルセデス・ベンツW114/W115型 最新EクラスとEVのEQEも 全101枚

落ち着いた彩度のボディカラーが、メルセデス・ベンツのサルーンらしい、端正なスタイリングと見事にマッチしている。ホーンリング付きの大きなステアリングホイールや三角窓、無駄を省いたシンプルなインテリアなど、初期型らしい特徴を備える。

サイドドアは、現代的なモデルと変わらずソリッドに閉まる。運転席からの視界に優れ、ドライビングポジションは起き気味。運転に気が散りそうな部分はまったくない。

車重は約1360kgで、現代の水準でいえば軽い方。操縦へ正確に反応し、一般道では能力に大きな余裕があることがわかる。

半世紀以上前のクラシックサルーンだから、エンジンはガタガタとうるさく、オートマティックは滑らかに変速しないように想像するかもしれない。しかし、穏やかな気持でキビキビと運転できる。

パワーステアリングの感触は好ましく、乗り心地は適度にしなやか。恐らく、普段使いにも問題ないだろう。唯一、1000rpm当たり28.5km/hという低めのギア比が、高速道路での快適性に影響を与えそうだ。

魅力的に映るエレガントなサイドシルエット

ブルー・シルバーの250CEと、シルバーの280CEの2台をお持ちいただいたのは、トニー・セリーニ氏。イラクで幼い頃を過ごし、その時にW114型/W115型が好きになったという。

1969年に導入されたクーペのCやCEは、手作業で仕上げられたW111型/W112型より身近な2ドアモデルを提供しようという、メルセデス・ベンツ初の取り組みだった。エレガントなサイドシルエットは、現代では一層魅力的に映る。

生産数は、4ドアサルーンのように多くはない。ボディパネルやラバーシールなどの交換部品は、既に発見が難しいという。

フロントガラスの付け根までは、基本的に4ドアサルーンと同じ。しかしセンターピラーがなく、全高は約50mm低い。見た目の印象は大きく異なり、フラットなルーフパネルがパゴダルーフのSLとの結びつきを想起させる。

キャビンの前後長が短縮され、荷室は広い。着座位置も低く設定され、リアシートは若干狭いものの、ドアが長く乗降性はさほど悪くない。

ブルーの230.4は、ゴードン・ブレーン氏がオーナー。南アフリカで活躍するW114型/W115型へ関心を抱き、オーナーになることを決めたそうだ。2オーナー車で状態は非常に良く、1974年に施されたフェイスリフト後のモデルとなる。

フロントグリルの幅が広がり、ボンネットが低くなり、前後のバンパーはシングルになっている。汚れを防ぐ、横方向に凹凸の入ったテールライトも特徴の1つ。センターパッド付きのステアリングホイールと相まって、W116型Sクラスとの近さも香る。

想像以上にノイズや振動が少ないディーゼル

2.3L直列4気筒ガソリンエンジンにはストロンバーグ社製のキャブレターが載り、最高出力は111ps。最大トルクでは250へ届かないものの、終始滑らかに一般道を走れる。

現代水準では、平凡な味わいかもしれない。しかし、1972年式フォード・コルチナと乗り比べれば、すぐに洗練度や有能ぶりが見えてくる。

レッドの240Dは、アビブ・スクリューバラ氏がオーナー。W123型300Dも所有する、クラシック・メルセデス・ファンだ。ボディにはまったくサビがなく、8年間も探し続けたという彼の苦労が表れている。

サスペンションのブッシュ類は、すべて純正部品へ交換済み。エンジンやパワートレインへ入念に調整を施した結果、燃費は14.2km/Lを誇る。この年式の現存車としては、驚くほど高効率だ。

圧縮比22:1の2.4L 4気筒ディーゼルエンジンは、想像以上にノイズや振動が少ない。1度温まれば、50年も前のディーゼルだという事実を忘れさせてくれる。筆者の期待値が低かったということもあるが。

速度上昇は滑らかで、ステアリングホイールには適度な重みが伴い、気疲れは少ない。ガソリンエンジンと同等に、軽快で扱いやすい。MTのシフトレバーは軽く動き、クラッチペダルも力いらずだ。

古いノンターボのディーゼルとして、加速力も立派。当時の試乗記から予想していた以上に活発だ。アビブは、300Dより240Dの方がドライビング体験は好ましいと説明する。乗り心地を除いて。

W123型へ有利な状況を作ったW114型/W115型

近年、1976年のW123型メルセデス・ベンツへの注目度が上昇傾向にある。確かに、現代の市街地に紛れても、景色へ同化しない存在感を漂わせるクラシックカーだ。

しかし、その起源を遡ればW114型/W115型へ辿り着く。変化する時代と、国際的な嗜好へ一層対応できるよう、綿密にアップデートされたモデルだといっていいだろう。

1960年代に、1970年代を見据えて設計されたW114型/W115型は、まずドイツ国民のニーズを満たすべく設計が進められた。膨大な開発費用が投じられ、以降の世界規模のマーケティング活動を経て、W123型へ有利な状況が生まれたといえる。

そのかわり、まだ過小評価気味にあるW114型/W115型は、比較的お手頃な価格帯で流通している。状態の良い縦目を見つけることができれば、往年のメルセデス・ベンツの技術を存分に堪能できるはず。サビには逆らえないようだけれど。

メルセデス・ベンツW114型/W115型(1968~1976年/英国仕様)のスペック

英国価格:2600ポンド(新車時)/20万ポンド(約3620万円)以下(現在)
販売台数:約180万台
全長:4686mm
全幅:1791mm
全高:1397-1448mm
最高速度:132-201km/h
0-97km/h加速:10.1秒(280E)-27.0秒(220D)
燃費:6.0km/L(280E)-13.8km/L(220D)
CO2排出量:−g/km
車両重量:1351-1508kg
パワートレイン(ガソリン):直列4気筒1988・2197・2307cc/直列6気筒2292・2496・2746・2778cc自然吸気
パワートレイン(ディーゼル):直列4気筒1988・2197・2404cc/直列5気筒3005cc自然吸気
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:55ps/4200rpm-184ps/6000rpm
最大トルク:12.8kg-m/2400rpm-24.1kg-m/4500rpm
ギアボックス:4速・5速マニュアル/4速オートマティック(後輪駆動)

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