新型のキーワードは「RXを壊せ」、新たな価値を提案
RXは、現在の自動車マーケットの主流となる高級・上質なSUVのパイオニアであり、レクサスの屋台骨を支えるクロスオーバーSUVである。1998年の登場以来累計350万台を販売し、現在は約95の国と地域で愛されている。そんなレクサスの絶対的なエースが5thモデルへとモデルチェンジした。新型の開発テーマは「RXを壊せ」だという。
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チーフエンジニアの大野貴明氏は「コアモデルだからこそ〈挑戦〉が必要だと感じました。普通に作ると大きなNXになってしまうので、新たな基準を作るべく開発を進めました」と語る。レクサスは、「NEXTチャプター」を旗印にブランド刷新を推進中だが、中でもRXは変革に挑戦した意欲作である。
エクステリアは全面刷新。一見キープコンセプトに感じるが、新旧のデザインはまったくの別物。旧型から継承されたのはボディ後半のフローティングクォーターピラーのみ。ボディに溶け込んだスピンドルグリル、エッジではなく面で構成される造形など、新世代レクサスのデザインモチーフを全面的に導入した。ホイールベース延長や前後トレッド拡幅によるスタンスのよさに加えて、伸びやかで張り出した面構成が印象的なフォルムだ。ボディサイズは全長×全幅×全高4890×1920×1695mm。写真では大柄に感じるが、従来比で全長は共通、幅は25mmワイドで、全高は10mm低い。日本の道路環境でもぎりぎり持て余さないサイズに収めている。
インテリアは新世代レクサス共通の「TAZUNAコンセプト」を基調にまとめた。視線を自然に誘うメーターフード、14㌅タッチディスプレイなどの操作系はNX/RZと共通の考え方。メーターフードがドアトリムまで連続的につながるデザインが採用され、伸びやかさを感じる。プレミアムSUVらしい造形である。
居住性もパッケージングの刷新で大きくアップした。フロントはAピラー、ルーフ前端の後方配置で数値以上に解放的な空間を構成。リアは旧型比+60mmとなる2850mmのホイールベースを活かし、足元スペースのゆとりを増した。
PHEVを新設定。新HV、2.4リッターターボ+DIRECT4に期待
エンジンは全車4気筒ガソリン。2.4リッターターボ(350)、2.5リッターハイブリッド(350h)、2.5リッタープラグインハイブリッド(450h+)、新開発ハイブリッド、2.4リッターターボ+DIRECT4(500h)をラインアップする。DIRECT4は各種センサーの情報を用いて前後の駆動力配分を走行状況に応じて最適制御する技術。すでにBEVのRZに採用済みだが、RXはフロント・ハイブリッドシステム+リア・モーター(eアクスル)で構成している。最大の特徴はトヨタ/レクサス定番の2モーターのシリーズ・パラレル式(THS2)ではなく、1モーターのパラレル式を採用している点だろう。
システムは2.4リッターターボ+モーター+6速AT(トルクコンバーターの代わりにクラッチ採用)で構成。エンジンとモーターの間にクラッチが配置され、状況に応じてエンジンとモーターの使い分けや統合が可能だ。つまり、THS2のネガ(ダイレクト感、レスポンス、伸び感)を解消した、ハイブリッドの新たな選択肢というわけだ。駆動用バッテリーはバイポーラ型ニッケル水素を用いる。日本仕様のスペックは未公表だが、北米仕様の資料にはシステム出力367hp(372ps)と記載されている。パフォーマンスと燃費のバランスが気になる。
プラットフォームはGA-K改良型。実質的にはほぼ新設計といえる。具体的にはリア回りの骨格刷新やサスペンション取り付け部の着力点剛性の確保、接合剛性アップ(レーザースクリューウェルディング+構造用接着剤+短ピッチ打点技術)など、徹底的に体幹を鍛えている。サスペンションはフロントがストラット、リアは新開発のマルチリンク式である。
500hは、Fスポーツの上位に位置するFスポーツパフォーマンスのみの設定で、後輪操舵のDRS(ダイレクト・リアステア)や専用21インチタイヤなどを装備する。
新型はすべてにおいて「攻め」に転じた。新世代レクサス共通の「すっきりと奥深く」、「対話できる」、「走って楽しい」という魅力に加えて、RXの独自性がどのように付加されているのだろうか? 弟分のNXの仕上がりのよさを考えると、期待は高まる。
500hは、Fスポーツの上位に位置するFスポーツパフォーマンスのみの設定で、後輪操舵のDRS(ダイレクト・リアステア)や専用 21インチタイヤなどを装備する。
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