車のニュース [2023.12.22 UP]
日本車の未来を考える【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】
文●池田直渡 写真●ホンダ、トヨタ、スズキ
王者・N-BOXにスペーシア、デリカミニが挑む!?2023年の新型軽自動車をプレイバック
さて、2023年もいよいよ終わり。となるとお題もなんとなく今年を振り返ったり、来年を予想したりというテーマになってくる。特にここの所、大手メディアでは「オワコン・ニッポン」の大合唱がかまびすしい。個人的には、いまだに紙に印刷している新聞がよく言うわと思わないでもないが、そっちの話をすると長い脱線になるので、とっとと元に戻そう。
この連載でも度々触れてきた通り、日本は2001年から2019年までにCO2排出量でマイナス23%と、2位イギリスにダブルスコア以上の大差で圧勝した脱炭素先進国なのだ。
一般社団法人日本自動車工業会の発表資料より抜粋
ではその圧倒的成果を生み出したジャパンメソッドとは何かと言えば、ポイントは2つある。ハイブリッド(HEV)の圧倒的な普及と、クルマのダウンサイズである。HEVの話はひとまずおいて、ダウンサイズの話をしよう。その昔ファミリーカーとはコロナやブルーバードだった。一部はノアやセレナやステップワゴンになったかも知れないが、それ以上に多いのはBセグと軽自動車への移行である。特に軽自動車は乗用車の4割を超えるまさに国民車となっている。
さて、この原稿を書いて送った後で、ダイハツの不正に対する第三者委員会の緊急記者会見が開かれた。ひどい話で、これについてはまた稿を改めて、きっちり批判記事を書かねばならないが、誠に申し訳ないが、この原稿はその発表前に書かれたものだとご理解いただきたい。個社の話は個社の話、この記事はあくまでも軽自動車の総論である。
軽自動車について、いまだに貧乏くさいとか、安全性がという人がいるが、昨今、脱炭素のためにあちこちで開発されているマイクロBEVに比べれば、安全性、運動性、快適性のどれを見ても、はるかに登録車に近いし、脱炭素と言う意味でもLCA(ライフサイクルアセスメント)で見る限り、今の技術の延長上ではバッテリーがどんなに小さくてもBEVは内燃の軽に歯が立たないだろう。もちろん何らかの革新があれば、変わるかもしれないが、そんな日が来るのはまだだいぶ先の話になりそうである。
そもそも、軽自動車は、然るべき筋からはずっとリスペクトを受けてきた。歴史的に見ても、かつてのフィアットの総帥、ジャンニ・アニエッリが毎年のようにお忍びで来日しては、軽自動車を集めて試乗し、特に気に入ったモデルはイタリアに運ばせて研究したり、ルノーはトゥインゴについてホンダ・トゥデイの影響があったことを認めたりしている。
そして現在は、アメリカで軽トラと軽スポーツカーがブームになっている。軽自動車は国内専用で、北米の衝突基準には対処していないはずだし、それ以前に彼の国では右ハンドルは原則禁止だが、「25年ルール」ができて以来、それより古いクルマは「クラシックカー扱い」となって、さまざまな規制がお構い無しになったのだ。
ということで、実は軽自動車にネガティブイメージを持っているのはむしろ日本の自動車マニアだけなのではないかと思われる。国内でも普通のユーザーはバンバン軽を買ってその結果が4割超えになっているからである。
実はこの軽自動車は日本の宝ではないかと筆者は割と前から主張してきていたのだが、少し前までは横幅規定を拡幅してせめて1600mmくらいにならないかと物申してきた。しかし昨今の「そのまんま」の軽自動車に対する海外の高評価と、日欧中のマイクロカー、例えば、トヨタC+pod、シトロエン・アミ、ホンガン・ミニの様な流れを見ると、むしろこのままで売った方がカーボンニュートラル時代には相応しいのではないかと思うのだ。
という話は何も筆者が勝手に言っている話ではない。トヨタは12月19日のリリースで、1年前からタイで進めているタイ最大の物流企業であるCharoen Pokphand Group(以下、CP)とのジョイント事業において、タイ国民6,700万人の幸せに向け、「想いを同じくする仲間とみんなで、今すぐできることをする」を合言葉に、データ、モビリティ、エネルギーの3つの領域で、取り組みを進めてきた。
CP、True Leasing、SCG、トヨタ、CJPTは、タイでのカーボンニュートラルに向け業界を超えた取り組みを加速すべく協業基本合意書を締結した
この1年で、CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)の物流改革ノウハウを用いてCPの持つ実証店舗で15%のCO2削減を実現。今後は、タイでの使われ方に応じた「マルチパスウェイ」の考え方の下、FCEV/BEVの導入に加え、タイ社会で、今求められるHEVや「軽」自動車でもカーボンニュートラルに貢献するとともに、タイの資源や使われ方に応じた再エネの利用で、「つくる」「はこぶ」「つかう」一体となったエネルギー効率向上・コスト低減を図って行くと言う。ここで新たにFCEVやBEVに並んで軽自動車に大きな期待が寄せられることが明らかになったと言える。
冷静に考えてみれば、日本の軽は、マイクロカーと比べると、値段が高く見えるのだが、装備や性能は大きく違う。それらの装備はほぼ登録車並みで、エアコンもオーディオもあって当たり前。のみならず衝突軽減ブレーキも横滑り防止装置も標準だわ、運転席・助手席のみならず、サイドエアバッグまで含む6エアバッグが普及している。衝突安全についてもかなり高水準になってきた。
そもそも考えてみれば、軽の2大巨頭、スズキとダイハツはもう何十年間も「1グラム、1ミリ、1円」にこだわるクルマ作りで激しい攻防を繰り返してきたわけで、そこにいきなり参入して、同じ性能のものが安く作れるわけがない。もちろんそこに、あれも外して、これも外して安くする手法は考えられるし、家電の世界では確かに中国製のそういうベーシック志向にやられた部分があったのかも知れないが、同じ戦略を取ったインドのタタ・ナノは、ユーザーを満足させることができず大失敗に終わった。あの時も「黒船来襲。27万円カーに日本の軽が滅ぼされる」とメディアは騒いだが、結局日本どころか、世界のどこにおいてもマーケットは激安のタタを求めなかった。
市場で、性能と装備と価格を徹底的にしごかれた日本の軽自動車は言わば、厳しい戦場で性能や信頼性が証明されたバトルプルーフモデルである。もし、日本政府がしっかり覚醒し、世界に対して、特にLCAでの軽自動車の優秀性をアピールすることができたら、もしかしたら新しい扉が開くのではないか。
もういっそグダグダで、展示品がどうやっても足りない大阪万博で、世界の人々に日本の軽自動車を全部並べて見せたら良い。コペンやジムニーや軽トラは大喝采を受けるだろうし、前回書いた3種の高さとデザイン別のマトリックスで大量に用意された車両群に衝撃を受けるはずだし、特装車でダンプや雪上車、そして介護モデルまであることは多分世界の誰も知らないはずだ。古代ギリシャで宇宙と対比して人間を小宇宙と定義した様に、登録車と対比する軽自動車の小宇宙を海外の人たちに見せてみたらどうだろう。ついでに運転できたらなお良いのだが。
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