上級グレードから発売 プレミアム車に多い
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
新型車を発売する場合、海外のクルマは上級グレードから投入することがある。
例えばポルシェの電気自動車となるタイカンは、パフォーマンスバッテリープラスを搭載するターボやターボSと呼ばれるグレードから販売を開始した。
また海外のクルマが日本に輸入される時も、上級グレードから開始することが多い。例えばBMW 3シリーズの場合、2019年3月から販売を開始したのは、320iスタンダード、320i Mスポーツ、330i Mスポーツであった。
320iスタンダードはベーシックなグレードだが、ほかの2種類はスポーティな上級のMスポーツだ。320dなどが加わったのはその後になる。
すべての車種が上級グレードから輸入を開始するわけではないが、結果的にそうなることが多い。
その一方でVW(フォルクスワーゲン)ゴルフは、近々次期型が発表されて日本にも2020年から輸入されるが、2019年10月1日になってクリーンディーゼルターボを搭載するTDIの追加販売を開始した。ディーゼルは日本では人気の高い大切なバリエーションだが、次期型に変わる直前に設定した。
なぜこのように不可解なモデル設定が行われるのか。
不可解なモデルを投入するさまざまな理由
日本車の多くは、すべてのグレードを同時に発売する。
マツダはマツダ3のスカイアクティブXを今でも発売しておらず、グレードによって発売時期に差が生じているが、このようなケースは日本車では少ない。
しかし輸入車の場合は、上級グレードなどから少しずつ輸入を開始して、時間を費やしながらバリエーションを充実させることが多い。
なぜこのような展開になるのか。ユーザーとしては、すべてのグレードの内容と価格がわからないと、欲しい仕様を決められない。
購入した後で「このグレード追加を待てば良かった」と後悔しても遅いからだ。少しずつグレードを増やしていく理由を、海外メーカーの日本法人に尋ねた。
「輸入車メーカーにはさまざまな戦略があって一概にいえませんが、世界的に販売するクルマの場合、さまざまな国に合わせた仕様を開発する必要があります。そうなると日本向けの全グレードを一気にはそろえられないのです」
「そこで段階的にグレードを充実させていきます。また新型車を発売した当初は、多くのお客様が上級グレードを希望します(この傾向は日本車も同じだ)。そのために上級グレードから輸入を開始していく事情もあるのです」
「プレミアムブランドの主力車種では、イメージリーダー的なグレードを訴求したいこともあるでしょう。その後、時間を経過すると価格が比較的安いベーシックなグレードも注目されるようになるから、バリエーションを増やして価格帯を拡大します」という。
VWゴルフのディーゼルのように、次期型が発売される直前に新しいエンジンを追加するのはどうなのだろう。
発売から時間を経過して生まれる価値も
VWゴルフのディーゼルのように、次期型が発売される直前に新しいエンジンを追加するのはどうなのだろう。
多くのユーザーは、新型エンジンを搭載した次期型が欲しいのではないのか。
「輸入車は、日本車に比べると趣味性の重視されるカテゴリーです。それぞれの世代にファンがいるのです。したがってお客様が海外で発表された次期型と、従来から売られている現行型を比べて、後者を選ぶことも多いです」
「また輸入車はほぼ毎年改良を行うから、乗り心地などはフルモデルチェンジを受ける直前が一番充実しています」
「このような理由から、VWゴルフのディーゼルなどは、フルモデルチェンジの直前にグレードを加えても着実に販売できるでしょう」
VWの場合、北米における排出ガスの不正問題でディーゼルの投入スケジュールが乱れた事情もあるが、輸入車の商品特徴も影響している。
安全装備などは、フルモデルチェンジをしないと、抜本的に進化させられないことが多い。その意味では「熟成されたモデル末期車」が必ずしも良いとは限らないが、乗り心地などの感覚的な性能は時間が経過するほど洗練されていく。
発売から時間を経過して生まれる価値もあるから、フルモデルチェンジを控えた時期に新しいディーゼルを加えても、相応のメリットが生じるわけだ。
輸入車と事情が違う日本車のグレード追加
先に述べた通り、日本車は発売時点で大半のグレードを用意する。少しずつ追加して、グレード構成を整えることは少ない。
それでも発売後にグレードを加えることはある。ユーザーがグレード構成に不満を感じたり、ライバル車との競争力を強める必要が生じた時だ。
例えばC-HRは、2016年12月の発売時点では、バイビームLEDヘッドランプが上級のGとG-Tのみに15万1200円オプション設定されていた。SとS-Tはハロゲンランプしか装着できなかった。
C-HRは趣味性の強いSUVだから、ハロゲンヘッドランプでは物足りない。そうなるとGとG-Tを選ぶことになり、上級のシート表皮やイルミネーションが不要なユーザーにはムダが生じた。
また発売時点では、1.2Lターボは4WD、ハイブリッドは2WDと区分され、2WDで十分と考えるユーザーが価格の安いターボを選びにくかった。
そこでまずは2017年11月に特別仕様車のLEDエディションを設定して、ベーシックなSとS-Tも、バイビームLEDヘッドランプを装着できるようにした。しかも価格は2万4000円の上乗せに抑えたから、オプション価格の15万1200円に比べて大幅に安くなった。
2018年5月には一部改良を行い、特別仕様車となるLEDエディションの代わりに、LEDパッケージをグレードとして加えた。またターボにも2WDを用意して、価格帯を下側に広げている。
このようにC-HRは、特別仕様車の設定、さらに一部改良でのグレード追加を経て、ユーザーの不満を解消していった。日本車にはこのようなパターンが多い。
スバルなどは、車種の数が少ないこともあって、フルモデルチェンジの直前までグレードや特別仕様車を追加する。
例えば現行インプレッサは2016年に発売されたが、先代型がモデル末期であった2015年にハイブリッドを加えた。
先に述べたゴルフのディーゼルのようなタイミングで、グレードを追加したわけだ。
新型車が発売されたらどのように買えば良い?
既存の車種がフルモデルチェンジを行った時は、発売時点のグレードが少なくても、その後の展開が想像されるだろう。
例えばVWポロはベーシックカーだから、2018年の発売時点で用意したのは、直列3気筒1Lターボのみであった。
それでも従来型ではGTIなどを選べたから、グレードの追加は予想できた。
販売店で尋ねても「半年ほどで追加されるだろう」という話が聞かれ、実際に2018年7月にはポロGTIが発売されている。
新規投入車種は前例がないから予想しにくいが、輸入車の場合は、海外で先行発売された後で輸入を開始することが多い。
ホームページで海外の動向をチェックして、販売店にも尋ねれば、将来的なグレード追加もおおむね想像できるだろう。
情報収集まで楽しみながら購入したい。
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