レクサスは2019年10月23日、東京モーターショー2019で次世代の電動化戦略「Lexus Electrified」を発表。同時にこの電動化ビジョンを象徴するEVのコンセプトカー「LF-30 Electrified」を世界初公開した。
「Lexus Electrified」は、電動化技術を用いることで車両の基本性能を大幅に進化。自動運転や電動化などモビリティ社会が変化し続ける時代においても、クルマがもたらす楽しさや喜びを提供し続けることを目指す思想。電動化技術によってクルマの原点に立ち返り、走りの楽しさを大きく進化させ未来の高級車のあり方を根本から変えていくという。
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具体的には、ハイブリッドで培ったモーター制御技術を軸として、パワートレーンやステアリング、サスペンション、ブレーキなどを統合的に制御。走行シーンに応じた駆動力コントロールを行うことで理想的な車両姿勢を実現し、より安心安全で、運転する楽しさを感じられるクルマを提供することを目指す。レクサスはこれからもHVやPHV、EV、FCVなど、世界各地のニーズやインフラ環境に応じて適材適所で商品開発を進めラインアップを拡大していくとのことだ。また、2025年には全車種に電動車を設定。電動車の販売比率がガソリンエンジン車の比率を上まわることを目標とする。
レクサスは2019年11月に初のEVの発表を予定している。2020年代前半でPHVやEV専用モデルを投入する計画だ。
2030年を見据えたコンセプトカー
今回発表したLF-30 Electrifiedは、電動化ビジョン「Lexus Electrified」を象徴するコンセプトカーだ。デザインは、EVに期待される先進イメージを、アーティスティックな質感まで昇華した未来的な造形や、自動運転を初めとする新技術を積極的に織り込んだインテリアにより、レクサス独自の世界観の確立を目指したという。
パフォーマンスにおいては、レクサスが培ってきた電動化技術と運動制御技術が融合した新テクノロジー「Lexus Advanced Posture Control」を採用。緻密なモーター制御により、従来のガソリン車では不可能な高度かつ自由度の高い姿勢制御を実現。さらに人間中心の設計思想に基づく新コンセプトのコックピットやステアバイワイヤなど、「電動化技術を用いた車両基本性能の大幅な進化」を実現するため、2030年を見据えた先進技術を数多く採用している。
2030年のレクサス電動車をイメージした外観
その特徴的なデザインの源泉となるのは、インホイールモーターを動力とするLF-30 Electrified独自のエネルギーフローによるものだ。ボディ四隅のタイヤから発生したエネルギーが、キャビンへと向かいドライバーへと流れていくようなイメージを持たせている。
フロントタイヤセンターよりも前にフロントウインドーを前進させた超ショートノーズなフォルムを生かし、レクサスのデザインアイコンでもあるスピンドル形状をボディ全体のアーキテクチャとして進化。フロントからリヤまで連続したウインドーガラスと張り出したフェンダー、翼形状のヘッドライトでスピンドルを形成する。
流麗な形状のフロントまわりから直線的でシャープなリヤまわりへと推移する個性的なボディ。そして翼形状のヘッドライトやリヤコンビランプ、サイドエアインテークなど、優れた空力性能や冷却性能を意識し、機能とも融合したデザインとしている。
サイドウインドーは透過率を自由に変化させられる。広い視界で景観を楽しめるだけでなく、夜間などではプライバシーも確保される。また、通常の走行モードと自動運転モードを車両の外から識別できるよう、フロントフェイスの色や発光パターンを区別するなど、デザイン性に加えて機能性も追求している。ボディカラーに採用した「Voltaic Sky」は、先進的な金属皮膜を用いて、青緑の色味を含んだ独自の質感を持つ。
インテリアは先進性たっぷり
レクサスブランドが立ち上がった当初から根幹としてきた「人間中心」の思想を、より高次元で具現化するため、新コンセプト「Tazuna」に基づくコックピットを設計。手綱一本で意思疎通を図る人と馬の関係性にヒントを得て、ステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを高度に連携、視線移動や煩雑なスイッチ操作をすることなく、運転に集中しながらナビゲーションやオーディオ、ドライブモードセレクトなど、各種機能の制御が可能な空間を実現する。LF-30 ElectrifiedはTazuna Cockpitの将来像を提示すべく、ARによる車両情報表示やジェスチャーコントロールなど、次世代のインターフェースを採用。ドライバーだけでなく、同乗者にとっても快適かつ利便性の高い室内空間を実現している。
助手席は航空機のファーストクラスに着想を得たレイアウト。解放感と包まれ感が共存した室内空間を実現。スイッチ類など、必要なものすべてが手の届く距離に配置されているほか、助手席にはジェスチャーコントロール機能を搭載した大型ディスプレイを搭載。快適性と利便性を両立した。
後席のシートには人口筋技術を応用。座る人の体形に合わせてフィットするほか、リクライニングやリラクゼーション、アラートなど、多様な機能を備える。また、オーディオシステムにマークレビンソンを採用。車内のスピーカーを緻密に制御することで、ドライバーや乗客それぞれにとって理想的な音響空間で音楽を楽しむめる。さらにヘッドレストに内蔵されたスピーカーは最適なオーディオ環境の提供に加え、ノイズキャンセリング機能を搭載。静粛性向上にも寄与するなど、次世代のサウンド空間を実現する。
後席のグラスルーフには、ディスプレイウインドー「スカイゲート」を搭載。音声認識やジェスチャーコントロールにより、ARによるリアルな星空やお気に入りの映像、ナビゲーションなどさmあざまな情報を表示可能としている。
インテリアは個性的な意匠を施したほか、再生素材を利用することで環境負荷を低減。次世代ラグジュアリーの方向性を示す。フロアやステアリングホイールなどに日本の伝統素材である焼杉を採用したほか、リサイクル金属を繊維に加工し、プリーツ加工を施したドアトリムを採用。レクサスらしい独自性と先進性を表現する。
新テクノロジーによる従来にはないパフォーマンス
Lexus Electrifiedが目指す「電動化技術を用いた車両基本性能の大幅な進化」を実現するため、モーターの駆動力制御による車両運動制御技術「Lexus Advanced Posture Control」をはじめ、先進技術を数多く採用した。バッテリーの低床配置による慣性諸元の向上や4輪のインホイールモーターによる従来のクルマとは一線を画した高度かつ自由度の高い運動性能を実現。また、Lexus Teammateコンセプトに基づく2030年を見据えた自動運転技術やドローン技術を応用したサポートビークルなどにより、クルマが提供できる価値を大きく拡げている。
Lexus Advanced Posture Controlによる車両運動制御技術は、高トルクモーターの駆動力を自在に制御することで、人の感性に寄り添った車両の姿勢コントロールを可能としている。また、前後の駆動輪を完全に独立して制御することで、FF、FR、AWDなど、走行シーンに応じた適切な駆動方式を提供可能だ。また、駆動ユニットを小型・軽量化することで、車両パッケージの自由度を拡大している。LF-30 Electrifiedでは4輪インホイールモーターの搭載を実現。いかなる路面や運転状況においても、ドライバーにとって理想的な走りを楽しむことが可能だ。
Lexus Advanced Posture Controlテクノロジーは、Lexus Electrifiedのコア技術の一つとして、EVのみならず、ハイブリッド車をはじめとする今後市販予定のレクサス電動車ラインアップにおいて広範に採用していく予定だ。
ステアバイワイヤの採用により、ステアリングシャフトを通じた機械的な接続が不要となり、運転状況に応じて少ない舵角での旋回や、自由自在なステアリングフィールを実現。また、自動運転時にはステアリングを前方へ移動させられ、より開放感ある室内空間を実現する。。
ワイヤレス充電技術を採用し日々の充電を簡易化したほか、AIによるエネルギーマネジメントで、自宅との電力の最適配分や、日々のスケジュールにあわせた充電制御など、次世代EVとしての利便性を追求した。
車両に搭載されたAIが音声認識や乗員の個人端末「コントロールキー」と連携することで、室温、オーディオといった室内環境のほか、ドライブルート・目的地の設定や現地でのアクティビティの提案、さらにはサスペンション・パワートレーンの制御による好みに合わせた運動特性をリアルタイムに設定するなど、乗る人のパートナーとして人とクルマが相互にコミュニケーションが取れる。
ドローン技術を応用したサポートビークル「Lexus Airporter」を搭載。自律制御で玄関からラゲッジルームまで荷物を自動運搬するなど、人々のライフスタイルに寄り添い、従来のクルマに期待される機能を超えたサポートを実施する。
最新の自動運転技術コンセプトに基づき、ショーファーモード・ガーディアンモードを備えた最先端の運転支援機能を採用。自動運転中も乗員が快適かつ安心な時間を過ごせるよう、Lexus Advanced Posture Controlテクノロジーをはじめとする先進技術を生かし、きめ細かく車両挙動を制御。また、自動駐車機能のほか、自宅の駐車場から玄関までの自動運転による迎車機能などにより、高い利便性も実現する。
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