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「あま~いキャッチコピー」が並ぶカタログは完全にデートカーのノリ! 実際はバリバリのスポーツカーだった初代MR2とは

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「あま~いキャッチコピー」が並ぶカタログは完全にデートカーのノリ! 実際はバリバリのスポーツカーだった初代MR2とは

ファン・トゥ・ドライブな国産初の市販ミッドシップスポーツカー

 最近でいうと、小文字、大文字アルファベットと数字を組み合わせた4桁のパスワードのような「bZ4X」は、EVとはいえ、何とも奮った車名だ(いまだ完全に覚えられないのだが……)。対して「MR2」は、ご存知のとおり「Midship Runabout 2 seater」を略したもので、名は体を表わすを地でいくような、じつにストレートなネーミングだった。

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東京モーターショーのコンセプトカーをほぼそのまま市販

 登場は1984年6月のことで、その前年、1983年の第25回東京モーターショーに「SV-3」の名でプレビュー車が登場。リヤスポイラー形状、Tバールーフの有無(のちに設定された)、アンテナ(市販車はAピラー部の引き出して使うタイプに)、ショーアップされたインテリアなどの差異はあったものの、国産初の量産ミッドシップとして、もうほとんど市販車そのものといった状態で姿を現した。

トヨタらしい甘めのキャッチコピー

「背中にはふたりを酔わせるハートがある。」「日本初、ザ・ミッドシップ。トヨタMR2」……当時のカタログを開くと、最初の見開きにはこれもまたシンプルなコピーとメッセージが。「ふたりを酔わせる」の部分は当時、人気を集めていたホンダの「バラードスポーツCR-X」の「デュエット・クルーザー」への対抗措置だったのか。

 さらにページをめくりながら拾うと、「風のシルエット」(ボビー・コールドウェルか?)、「ピュア2シーター」、「それだけでプライベートの香り」、「コクピットはOnly You」、「インテリアはOnly Two」などなど、甘めのコピーが続く。

 ガソリンとオイルのニオイにまみれたマニアックさ一辺倒ではなく、デートカーなどと名言はしないまでも、ミッドシップといっても決してとっつきにくいスポーツカーという訳ではないですよ……とアピールしていたところがトヨタらしい。

全車1t切りで前後重量配分45:55のパッケージング

 ちなみに奇遇にも初代MR2登場の直前、GMが「ポンティアック・フィエロ」なる同様のミッドシップ2シーターを登場させていて、このクルマもシティコミューター的要素を持っていた。またそれよりずっと前、1970年代初頭には、コンパクトなミッドシップの「フィアット(のちにベルトーネ)X1/9」があった。どちらも量産モデル(フィエロはT1000、X1/9は128)のメカニカル・コンポーネンツを活用することで生まれた先例だった。

 初代「パブリカ」から「トヨタ・スポーツ800」が生まれたように、初代MR2もまた、FFに切り替わったE80型・5代目「カローラ」を活かして仕立てられた。サスペンションは4輪ストラットで、ドライブトレーンはまさにカローラのそれをフロントからリヤに移植したもの。搭載エンジンには、FFカローラ系と共通の横置きを表わす「L」の記号が型式に含まれる1.6Lツインカム16バルブの「4A-GELU型」(130ps/15.2kg・m)と、1.5Lの「3A-LU型」(83ps/12.0kg・m)の2機種の設定でスタート。1986年になるとスーパーチャージャー仕様の「4A-GZE型」を登場させている。

 1.6Lツインカムは上級グレードの1600GリミテッドおよびGに、1.5Lは1500Sにそれぞれ搭載された。車両重量は当時のカタログの諸元表から拾うと1600Gリミテッド・4速AT車の980kgから、1500Sの5速MT車で920kgと、シリーズの全車で1tを下まわっていた。カタログの記述のなかには前後重量配分は45:55とある。

小気味よく走れるスポーツカーだった

 当時の記憶と記録を辿ると、1986年に筆者はとある雑誌の燃費企画で、1.6Lモデルをおよそ1200km走らせたことがあった。企画に則してエコランを心がけた結果の燃費は満タン法で16.11km/L(カタログの10モードは12.8km/L)と良好だったこと、高速直進安定性はまったく問題なしだったこと、それからミッドシップらしいワインディング路での回頭性のよさなどの記録を残している。

 またドライビングポジションは誰にでも馴染めるもので、高さのあるのセンターコンソール(41Lのガソリンタンクはその下にあった)から生えたシフトレバーが、小気味よいスポーツカーの味わいを楽しませてくれること、それに比してクラッチは踏力も軽く扱いやすいことなども記している。

 昼夜を問わないロングドライブだったから、途中、高速道路のサービスエリアで仮眠をとろうとしたのだが、限られたキャビンスペースのためシートを存分にリクライニングさせられずそれには困ったこと……は、記事にはしなかった。だが、それは今でもハッキリと覚えている、国産ミッドシップカー初体験の一番の思い出だったかもしれない。

2代目はパワフルになったぶん車重もアップ

 MR2はその後1989年に2代目にフルモデルチェンジ。この2代目ではエンジン排気量が2Lに拡大し、上級モデルのGTに搭載した「3S-GTE型」はネット値225ps/31.0kg・mと動力性能を一段と高めた。だが、カタログの諸元表でも明らかだったが、車両重量は1160~1240kgに増えた。

 その後継車として1999年に登場した「MR-S」では、2代目MR2から一転、ミッドシップは踏襲しつつもライトウェイトオープンとなり、車両重量も1070~1080kgへとシェイプアップされ、ロングホイールベース化で旋回性能を高める考え方が取り入れられた。

 時代が変わり、パワートレーンが変わっても、たとえシートのリクライニングが十分に効かなくとも(!)、ファン・トゥ・ドライブな国産ミッドシップスポーツカーにまた乗ってみたいものだ。

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みんなのコメント

5件
  • かみさんと付き合いだした当時ドライブデートしましたが、高速を走ってるとエンジン音で会話が聞こえませんでしたね。
    デートカーとしてはどうなんだろう。
    シートが倒せるわけでもないし(笑)
  • 当時は、バリバリのデートカーだったよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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