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イギリスの「ケンカレース」で善戦! ワゴンのレヴォーグなのに「意外な戦闘力」を持つ理由

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イギリスの「ケンカレース」で善戦! ワゴンのレヴォーグなのに「意外な戦闘力」を持つ理由

2016年からスバル・レヴォーグがBTCCに参戦

 SUBARUファンの諸兄なら、BTCCことブリティッシュ・ツーリングカー・チャンピオンシップをご存知のことだろう。文字どおりイギリスのツーリングカー選手権で、1958年の設立以来、独自の発展を遂げてきた伝統のシリーズだ。

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 60年以上の歴史を誇るBTCCの特徴が独自のレギュレーションを採用していることで、2014年からNGTC(ネクスト・ジェネレーション・ツーリングカー)を導入。 主力モデルは、2.0Lの直噴ターボエンジンを搭載した2輪駆動車で、開発コストの高騰を抑制すべく、多くの部分でワンメイクコントロールを採用している。 具体的にはタイヤやブレーキシステムはもちろんのこと、ターボチャージャーやECU、ギヤボックスやサスペンション形式、ダンパーほか前後のサブフレームに至るまで、多くの部分でワンメイクになっていることがNGTC規定のポイントだ。

 とはいえ改造範囲は広く、サスペンション形式が前後ともにダブルウイッシュボーンに統一。「TCRのようにコンペティションではないけれど、BTCCのNGTCはTCRよりもリアルなレーシングカー」と語るのは、とあるBTCC関係者。その言葉通り、BTCCのマシンは究極のツーリングカーと言える。

 このレギュレーションに対応すべく、数多くのコンストラクターが独自のマシン開発を実施。その結果、BTCCの車種ラインアップは多彩で「BMW330i Mスポーツ」や「アウディS3サルーン」、「メルセデス・ベンツAクラス」、「フォード・フォーカス」「フォルクスワーゲンCC」などの欧州車から、「ホンダ・シビックタイプR」「トヨタ・カローラ」など、日本車も含めたさまざまなマシンが参戦している。

 そのなかでもっとも注目を集めているマシンが、イギリスの名門コンストラクターで豊富な実績を持つトップチームのBMRが投入する「スバル・レヴォーグGT」だ。

初出:SUBARUマガジンvol.23(2019年8月発売)

名門チーム「BMR」が英国でも人気のレヴォーグでBTCCに参戦

 BMRはこれまでフォルクスワーゲンCCを武器に数多くの勝利を挙げてきたチームで、2016年から主力モデルをレヴォーグ(VM系)にスイッチ。その理由についてチーム代表のミッキー・サージェントは、「イギリスで人気があるSUBARUとともに、新しいチャレンジをしたかった」と語る。

 当初はツーリングワゴンであるがゆえに、空力面での不利が囁かれ、苦戦の展開が予想されていた。だが、BMRのレヴォーグはデビューイヤーの2016年から抜群のパフォーマンスを披露。4名のドライバーで計6勝をマークする好成績を収めた。さらに2017年には移籍したばかりの若きエース、アシュリー・サットンが6勝をマークし、最年少となる23歳でチャンピオンを獲得した。

 残念ながら2018年は連覇こそ果たせなかったが、アシュリー・サットンが計6勝をマークするなど、レヴォーグは伝統のBTCCにおいてライバルを凌駕するパフォーマンスを見せたのである。

低重心化できるフラット4搭載がアドバンテージに!

 このようにスバル・レヴォーグは5ドアのツーリングワゴンでありながら、BTCCでも大成功を収めている強さの秘密はどこにあるのだろうか? チーム代表のミッキー・サージェントは「BTCCはワンメイクコントロールが多いので、ボディ以外は他のマシンとほとんど変わらない。大きなアドバンテージはないよ」と話す。

 事実、レヴォーグにもXトラック製のギヤボックスやペンスキー製ダンパー採用のダブルウイッシュボーン式サスペンションがインストールされるほか、APレーシング製のブレーキシステムやダンロップ製のタイヤを装着。 パワーユニットはSUBARU伝統の2.0L水平対向エンジン「EJ20ターボ」と言いたいところだが、NGTCでエンジンは直噴ターボと規定されているため、FA20DITを搭載する。このベースエンジンをBMRがチューニング。ターボチャージャーにコモン・オーウェン・デベロップメント製、ECUにコスワースが採用されるなど、いずれも指定部品でマネジメントされていることから、前述のサージェントによれば「エンジンパワーも各マシンともに350psぐらいで大きく変わらない」とのこと。

 とはいえ、スバル・レヴォーグは確実にライバル車両に対するアドバンテージを持っており、「レヴォーグの武器はエンジンの搭載位置がライバルよりも低いことにある」とサージェントは分析。さらに「5ドアのハッチバックながらエアロダイナミックスもいいと思う。重量配分を含めてバランスのいいクルマ」と語る。

2017年にはタイトルを獲得するポテンシャルを誇ったのだが……

 事実、ドライバーの評価も高く、2017年王者のサットンも「レヴォーグはハンドリングがとてもいい。テクニカルコースでのコントロール性が高いと思う」と、抜群の手応えをつかんでいるようだ。

 ちなみに、BMRはドライバーのラインアップも充実した顔ぶれ。若きエースであるサットンに加えて、2017年にBTCCデビューし、2018年には初優勝を飾った期待の逸材、セナ・プロクターを起用するなど豪華な体制を誇る。

 この若手コンビはチームの期待に応えるかのように2019年のシリーズでも活躍している。(取材時の)第5ラウンド・オールトンパーク大会を終えた段階で、両ドライバーともに未勝利となっていたものの、サットンが計4回の表彰台を獲得してランキング5位をキープしていた。しかし、FRレイアウトのツーリングワゴンに対して、他モデルの戦闘力が高まったこともあり、チームBMRレーシングは2019年シーズン終了をもってレヴォーグから他モデルにマシンをスイッチしている。

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