現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「EVは必ずしも良い選択ではない」 フォードが電動化戦略を修正、ハイブリッドに注力

ここから本文です

「EVは必ずしも良い選択ではない」 フォードが電動化戦略を修正、ハイブリッドに注力

掲載 33
「EVは必ずしも良い選択ではない」 フォードが電動化戦略を修正、ハイブリッドに注力

2030年のEV移行は野心的すぎた

フォードのEV部門の責任者は、欧州向けの製品ラインナップを2030年までにすべてEVにするという同社の計画は「あまりにも野心的すぎる」と述べた。EVの普及が揺らぐ中、同社はハイブリッド車を提供し続けるとしている。

【画像】人気の2ドア・クーペが電動SUVに?【新型フォード・カプリを写真で見る】 全23枚

同社が2021年に発表した、欧州でエンジン車の販売を停止する計画はもはやないという。フォードのEVを専門とするモデルE部門の最高執行責任者(COO)であるマリン・ギャジャ氏は、AUTOCARの取材に対し、EVの需要や法規制に関する「不確実性」をその理由に挙げた。

「お客様がすべてを受け入れると決めるまで、わたし達は何事にも全力投球することはできないと思います。そして、それは世界中で異なるペースで進んでいます」と同氏は述べた。

バッテリーコストの高騰と政府によるインセンティブの廃止によってEVの普及状況が揺らいでいるため、フォードはハイブリッド・パワートレインに再び注力する。現在、欧州向けモデルの中でプーマ、フォーカス、クーガにハイブリッドが搭載されている。

同社は2030年のEV化計画を再考しているのかとの質問に、ギャジャ氏はこう答えた。「お客様の投票によって、それは野心的すぎると言われたのだと思います。また、現実によって計画は調整されるものです」

「2030年までにEVに移行することは、当社のビジネス、特にお客様にとって良い選択だとは思えません」

フォードは2030年以降も何らかの形でエンジン搭載車を販売し続ける見通しだ。しかし、英国で樹立した労働党新政権が2030年にエンジン車の新車販売を禁止する計画を立てていることから、英国ではEVしか販売できなくなるだろう。

フォードは最近、マスタング・マッハEとエクスプローラーに続く欧州向け第3のEVとして新型カプリを公開し、来年にはプーマとトルネオ・クーリエのEVバージョンを導入する予定だ。2025年半ばにはフォーカスが引退し、販売されるエンジン車はトルネオ、マスタング、プーマ、クーガのみとなる。

しかしギャジャ氏は、柔軟性のあるパワートレインを提供することが重要であり、欧州モデル向けに現在開発中の新しい「マルチエネルギー」プラットフォームは、フォードが同市場で足場を保つために不可欠であると述べた。

不透明なスペイン工場の将来

フォードは現行型クーガの生産終了後のバレンシア工場の将来について完全には明らかにしていないが、同工場でのEV生産計画を見直し、少なくとも部分的にはエンジンを動力源とするモデルを優先させるとしている。

「純粋なエンジン車であろうと、純粋なバッテリーEVであろうと、あるいはその中間のハイブリッド車であろうと、当社は積極的に競争していくつもりです。なぜならお客様は自分のユースケースに適したパワートレインと車両を選ぶ自由を求めているからです」

「バレンシア工場には何かを持ち込むつもりですが、それが何になるかはまだ決めていません。まだ検討中です。マルチエネルギーになると思います。それがわたし達の現在の考えであり、欧州市場や当社の導入状況を考慮すると、それが最も成功する可能性が高いからです」

スペインの産業省によると、この新プラットフォームを採用したモデル(サイズや形状は未定)の生産は2027年に開始される予定で、年間生産台数は最大30万台と予測されている。フォードは、2026年頃に登場すると予想される新型クーガを同工場で生産する可能性がある。

フォードは2022年、欧州経済の見通しが修正されたことを理由にバレンシア工場への大規模な投資を延期した。代わりにドイツ・ケルンの工場の全面的な改修を優先し、エクスプローラーとカプリのEVを生産できるようにした。

最近ではバレンシア工場で大幅な人員削減を行い、昨年は1100人の人員削減を発表した。今年5月にはさらに1600人を削減する計画を明らかにしたが、2027年からの増産見込みに合わせて1000人を復職させる可能性も示唆されている。

EVを取り巻く法律や規制の枠組みと実際の需要がいつ一致するのかが不明確なため、今日の市場環境の中で投資戦略を固めるのは困難だとギャジャ氏は言う。

「投資は些細なことではないので、わたし達メーカー全員にとって難しいことです。しかし、今現在は、どのように展開していくのかという不確実性に根本的に対処しながら、これらの分野に投資する必要があると感じています」

とはいえ、ギャジャ氏は「最終的には高度に電動化された車両になるでしょうし、バッテリーのコストとエネルギー密度を適切化することができれば、最終的には完全に電動化されるかもしれません」と自信を見せる。

しかし、彼はこうも言う。「それは10年先なのか、30年先なのか。誰の水晶玉でも、それを言い当てることは難しいと思います」

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
AUTOCAR JAPAN
160万円でガルウイングドアが買えた! トヨタ「セラ」はバブルが生んだマイクロスーパーカーでした…今見ても新鮮なデザインに再注目です
160万円でガルウイングドアが買えた! トヨタ「セラ」はバブルが生んだマイクロスーパーカーでした…今見ても新鮮なデザインに再注目です
Auto Messe Web
オコン&ガスリーの幼なじみペアがダブル表彰台に感無量「最終ラップ、カート時代に思いを馳せた」アルピーヌは6位に
オコン&ガスリーの幼なじみペアがダブル表彰台に感無量「最終ラップ、カート時代に思いを馳せた」アルピーヌは6位に
AUTOSPORT web
F1がまだ「めちゃくちゃ」だった頃の話 ひどいチームで溢れかえった80~90年代 歴史アーカイブ
F1がまだ「めちゃくちゃ」だった頃の話 ひどいチームで溢れかえった80~90年代 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
ジャガー、英国で新車販売終了 ラインナップ総入れ替え 2026年まで中古車のみ
ジャガー、英国で新車販売終了 ラインナップ総入れ替え 2026年まで中古車のみ
AUTOCAR JAPAN
特別な青を纏ったベントレー「ベンテイガS」完成! 英国ファッションデザイナーとコラボした限定車は、電動化延期が影響していた…!?
特別な青を纏ったベントレー「ベンテイガS」完成! 英国ファッションデザイナーとコラボした限定車は、電動化延期が影響していた…!?
Auto Messe Web
ホンダ新型「スーパーカブ×ハローキティ」初公開! サイドカバーの「飛び出すキティ」が凄すぎ! 超人気の「2大巨頭」奇跡のコラボで発売へ!
ホンダ新型「スーパーカブ×ハローキティ」初公開! サイドカバーの「飛び出すキティ」が凄すぎ! 超人気の「2大巨頭」奇跡のコラボで発売へ!
くるまのニュース
スペックはディーゼルに見劣りするトヨタ「ランドクルーザー250」のガソリン車 “気になる街中での印象”は? 充実した装備類で“コスパは最強”
スペックはディーゼルに見劣りするトヨタ「ランドクルーザー250」のガソリン車 “気になる街中での印象”は? 充実した装備類で“コスパは最強”
VAGUE
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
WEB CARTOP
F1の新規ファンが増えない根本理由 75周年を機に開かれる未来への道筋とは?
F1の新規ファンが増えない根本理由 75周年を機に開かれる未来への道筋とは?
Merkmal
「僕よりも大変な人たちがいる」アロンソ、激痛襲われるもサンパウロ完走でマシン修復のチームや豪雨被害バレンシアに勇姿見せる
「僕よりも大変な人たちがいる」アロンソ、激痛襲われるもサンパウロ完走でマシン修復のチームや豪雨被害バレンシアに勇姿見せる
motorsport.com 日本版
【BMW 1シリーズ 新型】色々なボディカラーで楽しんで
【BMW 1シリーズ 新型】色々なボディカラーで楽しんで
レスポンス
PPのノリス、赤旗で後退しタイトル争いにも打撃「ライバルはラッキーだったが、僕は不運だった。戦略に誤りはない」
PPのノリス、赤旗で後退しタイトル争いにも打撃「ライバルはラッキーだったが、僕は不運だった。戦略に誤りはない」
AUTOSPORT web
「“暗い色”増えたなぁ…」 自動車カラーのトレンドが一気に“地味化”へ!? “とにかく明るい色”から一転のワケ
「“暗い色”増えたなぁ…」 自動車カラーのトレンドが一気に“地味化”へ!? “とにかく明るい色”から一転のワケ
乗りものニュース
「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
くるまのニュース
小さいジープはいかが? ブランド最小のSUV「アベンジャー」がEVで登場! 【新車ニュース】
小さいジープはいかが? ブランド最小のSUV「アベンジャー」がEVで登場! 【新車ニュース】
くるくら
[音を良くするコツをプロが指南]何はなくとも「スピーカー」を換えれば音は変わる!
[音を良くするコツをプロが指南]何はなくとも「スピーカー」を換えれば音は変わる!
レスポンス
サプライズは失敗したけど……セナに憧れたハミルトン、マクラーレン・ホンダMP4/5Bドライブに感激「これでレースに出れたらいいな笑」
サプライズは失敗したけど……セナに憧れたハミルトン、マクラーレン・ホンダMP4/5Bドライブに感激「これでレースに出れたらいいな笑」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

33件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

359.0419.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

108.0136.0万円

中古車を検索
クーガの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

359.0419.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

108.0136.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村