現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ボルボ C40リチャージはBEV化計画第1弾。408psを発生するも過激な発進特性は与えられず【海外試乗】

ここから本文です

ボルボ C40リチャージはBEV化計画第1弾。408psを発生するも過激な発進特性は与えられず【海外試乗】

掲載 更新 18
ボルボ C40リチャージはBEV化計画第1弾。408psを発生するも過激な発進特性は与えられず【海外試乗】

2025年までに販売する50%、2030年までにすべてのモデルをBEV化すると発表しているボルボ。そのボルボ初のBEV専用モデルとなるC40を、C40の生産工場があるベルギーで試乗した。(Motor Magazine 2022年1月号より)

BEV専業メーカーに向けた、ボルボ初のBEV専用モデル
ボルボは理念が明快で、それが企業の活動にも正確に反映された自動車メーカーだと思う。妙な言い訳などすることなく、一度決めたことを一心に進める。その姿勢は、清々しいと思えるほどだ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

もともと優れた安全性で定評があるブランドだったが、やがてこれに環境問題への真剣な取り組みが加わるようになる。実は安全性も環境問題も「人を思う」ボルボの理念に照らし合わせれば当然のことで、その意味で彼らの方針は1927年の設立当時からまったく変わっていないとも言える。

そんなボルボが2019年より全モデルを電動化すると発表したのは2017年のこと。以来、プラグインハイブリッド車(PHEV)やマイルドハイブリッド車(MHEV)を着実に増やし、見事に公約を達成した。ちなみにPHEVは化石燃料を燃やさずに走行できる点でCO2削減に効果があると認められている一方で、MHEVはCO2削減効果もさることながら、実走行時のCO2排出量を規定した最新のEU排出ガス規制に適合するうえでも必要だったという立ち位置の違いがある。

そして2021年3月には「2030年までに電気自動車のプレミアムカーブランドに移行する」ことを宣言。あと9年でエンジンを搭載したモデルの生産をすべて取り止め、BEVのみを生産する自動車メーカーへの転身を目標として掲げた。正直、バッテリーの供給やインフラ整備を考えれば、これはかなりハードルの高い目標である。

ただし、これまでボルボが成し遂げてきたことを考えると、「ボルボだったらやり遂げるだろう」との思いも同時に抱く。いずれにせよ、ボルボが今後、チャレンジングな時期を迎えることだけは間違いないだろう。

XC40との共通点が多いとも、少ないとも言えるC40
そんなボルボのBEV化計画第1弾としてリリースされたのが、このC40リチャージである。ボルボがBEVを販売するのはこれが初めてではなく、2019年にはXC40ベースのBEV、XC40リチャージ P8 AWDをリリースし、欧州圏内で発売している(日本未導入)。しかしC40は、BEV版XC40と基本的に同一のハードウェアを持ちながらも、ボルボのBEV化計画にとってはるかに重要な意味を帯びている。

その第1は、これがBEV専用ボディである点。つまり、C40のハイブリッド車は生産されないのだ。「あくまでもBEV一本で生きていく」そんなボルボの覚悟が見え隠れする方針だ。もうひとつ注目すべきは、C40が全車レザーフリーとされたことにある。

レザーフリーとは、インテリアにレザーを一切使わないことを意味する。これは動物愛護の観点や、畜産業や酪農業が温室効果ガス排出に大きなインパクトを有していることから下された判断だ。ただし、自動車メーカーで明確にレザーフリーを謳ったのは、私が知る限りボルボが初めて。しかも、今後登場するBEVはすべてレザーフリーにするというから、その意気込みが伝わってくる。

ハードウェア面でC40とBEV版XC40の間に共通点が多いことは前述のとおりで、CMAプラットフォームをベースに78kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。計408psを発揮する2基のモーターで前後輪を駆動する4WDとなる点は、すべてXC40と同じ。

ただし、今後はフロントのみにモーターを搭載した前輪駆動版も登場する見通しとのこと。ちなみに航続距離は最長485km。充電容量は、CHadeMo対応となる日本仕様でも150kWを確保するというから心強い。

ボルボのBEVに期待するすべてが詰まったC40
試乗会が催されたのは、XC40やC40を生産するゲント工場が建つベルギーで、ブリュッセル空港からゲントまでを往復する200kmほどの行程。これを1泊2日で走破した。

率直にいって、C40にはみなさんがボルボのBEVに期待するすべてが詰まっていると思う。たとえば、408psを誇示するような過激な発進特性は与えられず、あくまでもスムーズな身のこなしに終始。ボルボのBEVは全車ワンペダルドライブを装備するそうだが、C40の場合もスロットル操作に対する反応は洗練されていてドライバビリティは優秀だった。

安心感が強いハンドリングにも不満はない。乗り心地はソフト傾向。ただし、大入力時に微振動が残る点は、導入当初のXC40に共通する弱点と言えるが、XC40がそうだったように、C40もこの点は徐々に改良されるだろう。

ひとつ意外だったのは、高速域で思いのほか鋭い追い越し加速を披露する点。408psの面目躍如といったところだが、ボルボBEVの新しいキャラクターとして注目したいポイントだ。

クーペスタイルのフォルムは軽快でパーソナル感溢れるもの。レザーフリーのインテリアは、質感の点でXC40とはおもむきが異なるが、これもボルボの新たな理念を示すものとして注目したい。いずれにせよ、ボルボらしいBEVが誕生したことは間違いないだろう。(文:大谷達也/写真:ボルボカーズ)

ボルボC40リチャージ主要諸元
●全長×全幅×全高:4440×1875×1595mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:2160kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:300kW(408ps)/4350-1万3900rpm
●モーター最大トルク:660Nm/0-4350rpm
●バッテリー総電力量:78kWh
●一充電航続距離:485km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前235/45R20、後255/40R20
●車両価格(税込):719万円

[ アルバム : ボルボC40リチャージ はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格
【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格
AUTOCAR JAPAN
「感動を疑似体験」ヤマハ発動機と楽器のヤマハ、体験型インスタレーション「e-plegona」がデザイン賞
「感動を疑似体験」ヤマハ発動機と楽器のヤマハ、体験型インスタレーション「e-plegona」がデザイン賞
レスポンス
新型SUVクーペ、ハイブリッドも設定…長城汽車の「HAVAL」が南アフリカで発売
新型SUVクーペ、ハイブリッドも設定…長城汽車の「HAVAL」が南アフリカで発売
レスポンス
バス会社「待合室が落ち込んだので閉鎖中です」衝撃投稿に反響多数!? 「えらいこっちゃ」「北海道は異世界」バス停の無惨な風景が話題に
バス会社「待合室が落ち込んだので閉鎖中です」衝撃投稿に反響多数!? 「えらいこっちゃ」「北海道は異世界」バス停の無惨な風景が話題に
くるまのニュース
KTM Japanがモトクロス&クロスカントリーのMY2025モデルを発表! KTM Factory Racing譲りの進化を実現
KTM Japanがモトクロス&クロスカントリーのMY2025モデルを発表! KTM Factory Racing譲りの進化を実現
バイクのニュース
スズキの[新しい軽SUV]はワイルド&イケメンになっても176万円!! 走りも優秀なのよ!
スズキの[新しい軽SUV]はワイルド&イケメンになっても176万円!! 走りも優秀なのよ!
ベストカーWeb
20歳女子レーサーがホンダ「ビート」で軽MT初体験!「エンジン回すとめちゃくちゃ気持ちイイです!」【令和女子旧車に乗る】
20歳女子レーサーがホンダ「ビート」で軽MT初体験!「エンジン回すとめちゃくちゃ気持ちイイです!」【令和女子旧車に乗る】
Auto Messe Web
飲酒運転を絶対にしない! させない!【運転初心者ための交通ルール&運転マナー】
飲酒運転を絶対にしない! させない!【運転初心者ための交通ルール&運転マナー】
くるくら
「ベントレー マリナー イスタンブール シルエットコレクション」限定3台が登場。トルコ イスタンブールの景観と歴史をリスペクトしたエクスクルーシブなモデル
「ベントレー マリナー イスタンブール シルエットコレクション」限定3台が登場。トルコ イスタンブールの景観と歴史をリスペクトしたエクスクルーシブなモデル
Webモーターマガジン
トヨタ新型「カローラ“FX”」公開! 純正ローダウン&ド迫力「リアスポ」採用! レトロで“スポーティ”な「スペシャルエディション」! アメリカに登場した「新セダン」どんなモデル?
トヨタ新型「カローラ“FX”」公開! 純正ローダウン&ド迫力「リアスポ」採用! レトロで“スポーティ”な「スペシャルエディション」! アメリカに登場した「新セダン」どんなモデル?
くるまのニュース
[car audio newcomer]ダイハツ アトレー・デッキバン(岩田達也さん)by ピットハウスコスギ 前編
[car audio newcomer]ダイハツ アトレー・デッキバン(岩田達也さん)by ピットハウスコスギ 前編
レスポンス
『いとうみゆきのクルマのおうち旅』が電子書籍化…ホンダアクセス「カエライフ」連載
『いとうみゆきのクルマのおうち旅』が電子書籍化…ホンダアクセス「カエライフ」連載
レスポンス
重量わずか48g! 最大120時間点灯するポーチランタン「HEXAR UL1.5」が登場
重量わずか48g! 最大120時間点灯するポーチランタン「HEXAR UL1.5」が登場
バイクブロス
“軽トラック”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
“軽トラック”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
Merkmal
「知らなきゃ損!?」 スマートキーの“意外な”便利機能! 「車内にカギ忘れた!」うっかり“インキー”の原因は?
「知らなきゃ損!?」 スマートキーの“意外な”便利機能! 「車内にカギ忘れた!」うっかり“インキー”の原因は?
くるまのニュース
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
WEB CARTOP
グレー&シアンで「MTシリーズ」の世界観を表現、ヤマハ『MT-03』『MT-25』2025年モデル発売 
グレー&シアンで「MTシリーズ」の世界観を表現、ヤマハ『MT-03』『MT-25』2025年モデル発売 
レスポンス
KINTO、走行安定性をアップグレードする「士別フィン」を発売
KINTO、走行安定性をアップグレードする「士別フィン」を発売
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

18件
  • 僕は次のEVコンパクト、XC20に期待しています!
  • サブスク限定のC40ファーストエディションはやっぱり一瞬で完売になったようだね。
    各社EV出してきてるけど、ボルボは安全面も心配ないし今後は試してみたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

699.0739.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

400.0619.8万円

中古車を検索
C40の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

699.0739.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

400.0619.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村