母国グランプリで、2年連続表彰台に立つ
MotoGP第14戦日本GPを迎えた木曜日、Moto2クラスに参戦する小椋藍選手(#79/イデミツ・ホンダ・チームアジア)に週末に向けた話を聞きました。小椋選手はそのとき、「もてぎは好きなサーキットですし、なにより夏に(テストで)走っています。速くなければいけないですね」と語っていました。昨シーズンの2022年には、日本人ライダーとして日本GPで16年ぶりというセンセーショナルな優勝を果たして日本のファンを大いに魅了しました。なお、16年前の2006年に日本GPで優勝した日本人ライダーは、小椋選手が所属するイデミツ・ホンダ・チームアジアの監督、青山博一氏でした。
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多くは語らないものの責任感が強い小椋選手のこと、今年も日本GPに懸ける想いはあったでしょう。初日は総合5番手スタート。翌土曜日のプラクティス3では終盤にクラッシュを喫します。しかし予選Q2では2番手を獲得し、決勝レースを1列目2番手という好位置からスタートすることになります。
最終的にうまく2番手にはつけていましたが、いつもの小椋選手と少し異なる様子がありました。普段ならば、走り出しのプラクティス1からトップ5につけ、そこから安定して順調に順位を上げていくのですが、今回はプラクティス3のクラッシュといい、微妙な波があるように感じられたのです。
じつは、この週末に体調を崩していたのだそうです。金曜日、土曜日は万全の状態ではなかったということでした。ただ、日曜日には全快とはいかずとも快復。日曜日の朝、起きたときに「体調がちょっと良いことが嬉しかったです。“お、いいぞ”って」と相好を崩したのは、レース後に話を聞いたときのことです。
決勝レースはスタートで2人のライダーにかわされて4番手に後退。そこから2番手に浮上したとき、トップを快走するソムキアット・チャントラ選手(#35/イデミツ・ホンダ・チームアジア)はすでに2秒ほど前を走っていました。
チームメイトのチャントラ選手は、今大会で初日から安定した速さを見せていたライダーです。しかし小椋選手もそのチャントラ選手とそん色ないペースを刻み、2位でゴールしました。2年連続、母国グランプリで表彰台に立ったのです。
「スタートから2周が全てだったかな、と思います。(ジェイク・)ディクソンはいつもスタートが上手なので抜かれるのはわかっていたんですが、その他のライダーに抜かれると思っていなかったので、ちょっと残念でした」
「そのあとはチャントラとあまり差も変わらなかったし。最初の何周かで開いた差が全てでした。そこ(スタート)でしたね」
しかし、同時に今回の2位は自分でも満足のいく2位でしたか? と聞くと「そうですね」と肯定していました。
「(2周目以降は)走り切っただけです。やることはやったレースでした。それ以上というわけでもない」と言いながらも、「ほっとした方が大きかったですね」とも語りました。
母国グランプリは日本人ライダーにとって特別なグランプリである一方、様々なプレッシャーもあるでしょう。その言葉には、万全な状態ではないなか、結果でファンに応えることができた、という安堵が含まれていたようでした。
レース後にはバーンナウト。小椋選手は「金曜、土曜に(走行後のファンサービスが)できなかったから。自分ができる範囲で(応援に応えた)」と語っていました。
もてぎでは、観客席ばかりではなくいたるところで多くの「79」(小椋選手のゼッケンナンバー)のグッズを身に着けたファンの姿を見かけました。声援が後押しになったのでは? と聞くと「はい、嬉しいですね」と言って笑みを浮かべます。けれどその先に続ける言葉が、小椋選手らしいところでした。
「予選2番手だったから優勝を期待されるのは当たり前ですけど、ちょっと、足りなかったですね」
とはいえ、日本のファンの応援に、しっかりと応えたレースでした。
次戦のMotoGP第15戦インドネシアGPは、10月13日から15日にかけて、インドネシアのプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・サーキットで行なわれます。
■Moto2クラスとは……
Moto2クラスはトライアンフ「ストリートトリプルRS」の3気筒765ccエンジンをベースに開発されたオフィシャルエンジンと、シャシーコンストラクターが製作したオリジナルシャシーを組み合わせたマシンによって争われる。2021年8月、トライアンフによるエンジン供給は2024年まで延長された。タイヤはダンロップのワンメイク。クラスとしてはMotoGPクラスとMoto3クラスの中間に位置する。
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