現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 159kgの車体はいかにして生まれたのか? ロードスポーツを追求した超ド級のストリートバイク!! ドゥカティ「スーパーレッジェーラV4」とは

ここから本文です

159kgの車体はいかにして生まれたのか? ロードスポーツを追求した超ド級のストリートバイク!! ドゥカティ「スーパーレッジェーラV4」とは

掲載 5
159kgの車体はいかにして生まれたのか? ロードスポーツを追求した超ド級のストリートバイク!! ドゥカティ「スーパーレッジェーラV4」とは

■素材の置換で驚異の軽量化を実現

 ドゥカティ史上最強のスーパースポーツ「Superleggerra V4(スーパーレッジェーラ・ブイ・フォー)」の魅力に迫るべく、ドゥカティジャパンの広報・マーケティングダイレクターを務める五条秀巳さんに話を伺いました。今回は、スーパーレッジェーラ・シリーズ最大の特徴と言うべき軽量化についてです。

「パニガーレーV4」が「スーパーレッジェーラ」に進化!車重わずか152.2kgの化け物が登場

 まずは歴代「スーパーレッジェーラ」の乾燥重量を、当時のベースモデルとともに振り返ってみましょう。

 2014年型「1199スーパーレッジェーラ」155kg/「1199パニガーレ」170.5kg 2017年型「1299スーパーレッジェーラ」156kg/「1299パニガーレ」175.5kg

 これらと比較すれば、じつはわずかに重くなっていますが、2020年6月に生産が開始された3代目となる「スーパーレッジェーラV4」の159kgという乾燥重量は、現行リッタースーパースポーツの中ではダントツの最軽量です。ちなみにベースモデルとなる「パニガーレV4S」は175kg、「パニガーレV4R」は172kgです。果たしてこの軽量化は、いかにして実現したのでしょうか。

 五条さん(以下、敬称略)「軽量化の主な手法は、基本的には既存の1199スーパーレッジェーラ、1299スーパーレッジェーラと同じく素材の置換です。

 レギュラーモデルでABS樹脂の外装部品は、すべてドライカーボンに変更し、骨格となるフレーム、シートレール、スイングアーム、ホイールも、アルミからドライカーボンに刷新しています。

 なおフレームとスイングアームは、素材を置換するにあたって、基本形状を大きく変えることなく、各部の構成を見直していることも、スーパーレッジェーラV4ならではの特徴でしょう。ドゥカティ独自のフロントフレームの場合、アルミとカーボンでは、理想とする形が変わってきますからね。

 もちろんカーボン製の骨格を採用するにあたって、コンピュータによる断面撮影や超音波探傷技術のフェーズドアレイ、サーモグラフィを用いた非破壊検査など、製造品質のチェックはユーロ4に準拠する形で、徹底的に行っています」

■“魅せるパーツ”としての効能

 ドゥカティの資料によると、レギュラーモデルに対する軽量化の主な内訳は次の通りです。

●フレーム:-1.2kg●シートレール:-1.2kg●スイングアーム:-0.9kg●ホイール:-3.4kg●フロントフォーク+リアショック:-0.6kg●リアスプロケット+ナット+チェーン:-1.4kg●フットレスト:-0.3kg●エンジン:-2.8kg●マフラー:-2.5kg

 これら以外にも、スーパーレッジェーラV4で行なわれた軽量化は多岐に及んでいますが、最も数値が大きいホイールですら、レギュラーモデルとの差は3.4kgしかありません。逆に言うなら、その差16kgや13kgの軽量化は、グラム単位にまでこだわった、ありとあらゆる部品の見直しで実現したのです。

 五条「開発陣の軽量化に対するこだわりは、塗料にも及んでいます。明るめのレッドを基調として、暗めの赤を縦方向、白いラインを横方向に配置したカラーリングは、デスモセディチGP19がベースになっているのですが、最終的な配色は、カーボン地を活かした無塗装の面積を増やしつつ、重ね塗りをできるだけ避けることを念頭に置いて決定しました」

 また、前述の部品は軽量化だけではなく“魅せるパーツ”としての効能も備えています。なかでも、現在のストリートバイクでは唯一にして、ひと目で素材が理解できるカーボンフレームや(1199スーパーレッジェーラはマグネシウムフレーム、1299スーパーレッジェーラはカーボンフレームを採用。外観からは素材が判別できない)、シルバーのチタンスプリングを採用したオーリンズのリアショック、アクラポビッチと共同開発したチタンマフラーなどは、オーナーの満足度に大いに貢献するはずです。

 もちろん、裏面に大胆な肉抜きを施したシリアルナンバー入りのトップブリッジや、マシニング加工が施されたレバー、製法を鋳造から削り出しに変更したフロントフォークのボトムケースとリアサスペンションのリンクなどにも、同様のことが言えるでしょう。

■最もMotoGPレーサーに近いエンジン

 スーパーレッジェーラV4が搭載するV型4気筒エンジンは、パニガーレV4R用として開発された、排気量998ccの“デスモセディチストラダーレ”がベースで、2.5kgの軽量化と3psのパワーアップを実現しています。

 五条「エンジンの特徴として公表している要素は、カムシャフト/ミッションのシフトドラム/オイルポンプの軽量化、数多くのチタンボルトの採用くらいですが、実際には42%の構成部品を刷新しています。

 3psのパワーアップは、各部品の軽量化と吸排気系の変更によって実現した数値で、レーシングエグゾーストを装着して専用マッピングをインストールすると、最高出力は224psから234psに向上します。もっともエンジンに関しては、一昔前よりレギュラーモデルの性能が大幅に上がったため、既存の1199/1299スーパーレッジェーラほどの差は感じづらいかもしれませんが、気合いの入り方という意味では、スーパーレッジェーラV4も、負けず劣らずだと思いますよ」

 パニガーレV4シリーズ用として開発されたデスモセディチストラダーレは、現行車の中ではMotoGPレーサーに最も近いエンジンで、ドゥカティならではのデスモドロミック機構を採用した動弁系は言うまでもなく、90度のシリンダー挟み角や、81mmのボアサイズ、0度/90度/290度/380度の不等間隔爆発、逆回転するクランクシャフトなども、近年のMotoGPに参戦しているデスモセディチGPシリーズと同じと言われています。そのチューニング仕様となるエンジンがストリートバイクに搭載されるという事実は、改めて考えると、とんでもないことなのかもしれません。

※ ※ ※

 次回はスーパーレッジェーラV4専用の、ドゥカティならではの設定が隠されたメーターや特別な付属部品、またスーパーレッジェーラV4が誕生した経緯をご紹介します。

こんな記事も読まれています

サーキットがライブハウスに変身!? 80年代を彷彿させるバブリーな衣装を身に纏って荻野目洋子とDJ KOOがライブを開催!
サーキットがライブハウスに変身!? 80年代を彷彿させるバブリーな衣装を身に纏って荻野目洋子とDJ KOOがライブを開催!
くるまのニュース
カワサキ「Z900RS」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
カワサキ「Z900RS」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
「ヤリスのクローン」「優れた経済性」 英国の自動車メディアは欧州限定「マツダ2ハイブリッド」をどう評価しているのか?
「ヤリスのクローン」「優れた経済性」 英国の自動車メディアは欧州限定「マツダ2ハイブリッド」をどう評価しているのか?
Merkmal
これはフラットスペースが広くて最高だ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
これはフラットスペースが広くて最高だ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
新規ユーザー爆増!!! [デリカミニ]注文殺到のワケに納得! 三菱の現行SUV4選
新規ユーザー爆増!!! [デリカミニ]注文殺到のワケに納得! 三菱の現行SUV4選
ベストカーWeb
キャンピングカーが気になるけれど、目立たずシンプルがいい人にオススメ! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
キャンピングカーが気になるけれど、目立たずシンプルがいい人にオススメ! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
バースレーシングプロジェクト、サンライズブルバードとともにニュルブルクリンク24時間挑戦へ
バースレーシングプロジェクト、サンライズブルバードとともにニュルブルクリンク24時間挑戦へ
AUTOSPORT web
スーパーGT第2戦富士のZFアワードはGT300でポール・トゥ・ウインを飾ったJLOCが受賞
スーパーGT第2戦富士のZFアワードはGT300でポール・トゥ・ウインを飾ったJLOCが受賞
AUTOSPORT web
新車価格は衝撃の63万円!!! 気分は[日本一速い男] 日産チェリーの正体とは?
新車価格は衝撃の63万円!!! 気分は[日本一速い男] 日産チェリーの正体とは?
ベストカーWeb
イタリアのSAはコーヒーが美味しい! ただしガソリンは日本以上に高いのでセルフサービスを活用しましょう【みどり独乙通信】
イタリアのSAはコーヒーが美味しい! ただしガソリンは日本以上に高いのでセルフサービスを活用しましょう【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
新型トラックや多彩な架装など約150台が集結!ジャパントラックショー2024
新型トラックや多彩な架装など約150台が集結!ジャパントラックショー2024
グーネット
MotoGP:2027年に1000ccから850ccへマシン規則変更。空力パーツは50mm削減、車高調整デバイスは禁止
MotoGP:2027年に1000ccから850ccへマシン規則変更。空力パーツは50mm削減、車高調整デバイスは禁止
AUTOSPORT web
世界に1台!フェラーリ「812GTS」ベースのフルカーボン仕様車を披露 ノビテック
世界に1台!フェラーリ「812GTS」ベースのフルカーボン仕様車を披露 ノビテック
グーネット
時速6キロのお台場めぐり!トヨタの3輪BEV使った観光サービス「おさんぽ」スタート
時速6キロのお台場めぐり!トヨタの3輪BEV使った観光サービス「おさんぽ」スタート
グーネット
アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?
アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?
AUTOCAR JAPAN
日産「マーチ」ベースの「フェアレディ」!? 大人が驚く学生ならではの感性で仕上げたカスタムポイントとは
日産「マーチ」ベースの「フェアレディ」!? 大人が驚く学生ならではの感性で仕上げたカスタムポイントとは
Auto Messe Web
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
月刊自家用車WEB
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

5件
  • それ考えるとファイヤブレードが200万ちょっとで、216psって結構凄いよな
  • ここまでくると誰が必要としてるオートバイか分かりませんね。
    サーキットでガンガン乗れる人が何人いるのかな?
    ほとんどは盆栽ですかね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村