匠が作る13B-MSPハイチューンエンジンという選択肢
過走行のRX-8をエンジンオーバーホール+αで復活!
SE3Pに搭載されている13B-MSPはエンジンの寿命が近づいても症状が出にくく、オーバーホールのタイミングが非常に分かりにくいと“RSパンテーラ”の佐藤代表は語る。
「13B-MSPはジワジワとパワーダウンするため『何かパワーが無くなったかな?』くらいにしか感じないと思います。それでも走ろうと思えば走れてしまうので、明確な症状として分かるとしたらアイドリングが不安定ということくらい。特に何もしていないのにエンストするエンジンはもう寿命ですね」とのこと。
原因はハウジングに傷が入って圧縮が抜けてしまうため。特にエアフィルターをムキ出しタイプのものに交換しているクルマは、寿命が短くなる傾向が強いという。
「タービンやインタークーラーなどの障害物がありませんので、砂などの小さい異物がエアフィルターを通過した場合、エンジン内部まで到達する可能性が極めて高いんです」と佐藤代表。
ロータリーエンジンは燃焼室が移動しながら燃焼する構造のため、異物がサイドシールやアペックスシールとハウジングの間に挟まりやすく、傷になってしまう危険性が極めて高いのだ。そのため、寿命が短いクルマだと5万km前後、平均でも8~9万kmで寿命を迎えてしまうことが多い。この辺りの走行距離で、アイドリングが不安定になっていたら要注意というわけだ。
RSパンテーラには、エンジンオーバーホールを求めるRX-8ユーザーが日々訪れているという状況だが、そうしたユーザーに向けて展開しているのが、コストパフォーマンスに優れるメニュー『レネシスハイチューンエンジン』だ。
RSパンテーラが在庫している13B-MSPをベース(ハウジングは新品使用)に、ポート研磨やバランス取りなどのNAロータリーフルチューニングを行なって仕上げるというもの。
まず、3段階で開く吸気ポートは、霧化などを考えてそれぞれ加工の度合いを変更。同時に段付き修正やポートの拡大も行われるため、レシプロエンジンで言うところのポート研磨&ハイカム交換の状態になる。
超高回転でのみ開くオギジュアリー(第3吸気)バルブは、空気の流速を高めるために鏡面加工が施される(※スタンダードは通常の砂落とし加工となる)。
密閉製に関わるシールは、マツダの純正サイドシールではクリアランス調整ができないため独自ルートで入手したクリアランス調整可能なサイドシールを使用。この作業によってパワーが出ると共に寿命の長いエンジンができるそうだ。
その他、ノーマルだと最大で40gも差があるというローターの重量バランス合わせや、機械加工によるエキゾーストポートの最適化、初期馴染みを良くする加工などを施しながら組み付けられていく。載せ換えまで含めた作業日数は1週間~10日ほど。気になるプライスは、78万円(油脂類込みのエンジン脱着工賃は約12万円/取材時)だ。
「最近では、メタポンのヒューズがダメになるケースもあるし、ウォーターポンプが終わってる個体も多いです。その辺りも気をつけたいですね」。
こうして組み上げられるチューンドユニットは、過走行の純正エンジン(走行8.8万km)と比べてパワーで25.1ps、トルクで3kgmアップと圧倒的なパフォーマンスをダイナパックで証明。実際に乗り比べてみても、明らかにトルクフルでレスポンスが良い印象。NAエンジンでこれだけ変わるという結果と費用を考えれば、非常にコストパフォーマンスの高いメニューと言えそうだ。
●問い合わせ:RSパンテーラ 静岡県富士宮市北山5220-2 TEL:0544-58-4837
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エンジンやる人は余程その車を愛している人