日本自動車販売協会連合会では、毎月、小型/普通車の登録台数を集計して発表している。軽自動車については、全国軽自動車協会連合会が、同じように毎月の届け出台数を公表している。
このデータを見ると、1カ月の登録台数がひと桁のクルマもある。生産を終えた車種の在庫車を登録したような場合は、ひと桁になるのも理解できるが、ウェブサイトに新車として掲載されている車種になると不思議だ。
レクサス LCコンバーチブル 6月27日発売! 国産V8オープンが誕生間近に
なぜ売れないのか、またなぜ販売を続けているのか。その理由を探ってみたい。
文:渡辺陽一郎/写真:LEXUS、HONDA、MITSUBISHI、DAIHATSU
【画像ギャラリー】2020年3月の販売が前年比アップしたクルマ~販売台数ベスト50&軽乗用車~
レクサスIS350
2月の登録台数:4台(1月を含めて5台)
ISシリーズは2013年デビューと現在のラインナップでは最も古い。トップグレードのIS350は高額なことが苦戦の要因。FMCはまだだだ先となる
レクサスISの登録台数は、エンジン別に発表される。2020年2月のデータを見ると、V型6気筒3.5Lエンジンを搭載するIS350は4台、2LターボのIS300(旧200t)は23台、2.5LハイブリッドのIS300hは60台だ。
全グレードを合計して87台だから、IS全体の売れ行きが下がっているが、IS350は特に少ない。
ISシリーズで最も売れているのがIS300hだが、レクサスのほかのモデルと比べても販売は低迷している。速ければ2020年、遅くとも2021年にビッグマイチェンを受ける
なぜここまでIS350は低調なのか。レクサスの販売店に尋ねると以下のような返答が得られた。
「ISは2020年から2021年に掛けて、規模の大きなマイナーチェンジを予定している。現行型の発売は2013年だが、フルモデルチェンジは行わず、マイナーチェンジになる。そのために今は売れ行きが下がっている」
「GSは2020年6月に受注を締め切り、8月に生産が終わって廃止される。これらのイベントが予定されるものの、ISの受注は今のところ通常通りに行っている」
「新型コロナウイルスの影響で、納期は3~4カ月と長いが、注文を入れることは可能だ。そしてISでは、ハイブリッドを搭載するIS300hの人気が圧倒的に高い。IS350は価格が高いこともあって販売台数が少ない」
レクサスISの価格は、2LターボのIS300が480万1297円、ハイブリッドのIS300hは525万9630円、3.5LのIS350は573万8334円だ。IS350は唯一V型6気筒エンジンを搭載して、ブレーキサイズの拡大など装備も上級化されるが、それにしてもハイブリッドに比べて47万8704円高い。
ISほどではないにしても販売面で低迷しているGSは2020年8月に生産中止となることが濃厚。現状では次期モデルは存在しない!?
しかも高価格車だから、購入時に納める税金も高額だ。IS350の環境性能割と自動車重量税を合計すると14万3100円になる。その点でIS300hはハイブリッドとあって非課税だから、支払い総額の差は約62万円に拡大する。
これではV型6気筒エンジンが好きなユーザー以外、ハイブリッドを選ぶだろう。
ホンダクラリティPHEV
2月の登録台数:6台(1月を含めて9台)
現在のホンダのフロントマスクの先鞭をつけたクラリティだが、燃料電池車に加えてPHEVを加えたが、極度の販売不振に陥っている
クラリティはもともと燃料電池車として設定されたが、その後にPHEV(プラグインハイブリッド)を加えた。この売れ行きは低調で、2020年2月は6台だった。
売れ行きを低迷させたのは価格の高さだ。本革とプライムスムースを使った上級シート表皮、ホンダインターナビ、8スピーカーのオーディオなどを標準装着するものの、価格は598万9500円に達する。
CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金の22万円を差し引いても576万9500円だ。
同じホンダのアコードは、充電機能を備えないハイブリッドだが、価格は465万円になる。従って単純に比べると、クラリティPHEVは、充電機能による補助金の22万円を差し引いてもアコードに比べて111万9500円高い。
本革をふんだんに使ったインテリアは高級感満点。しかしインテリアにこだわるクルマが多くなった現在では特別感はなく、ユーザーへの訴求力も弱い
クラリティ自体が少量生産車とあって、価格が割高になった。
また燃料電池車のクラリティフューエルセルは、リース車両ではあるが、価格は783万6400円だ。このモデルに交付されるCEV補助金は210万円と高額だから、交付額を差し引くと573万6400円になる。
つまり補助金額を含んだ支払い額は、クラリティPHEVが576万9500円、クラリティフューエルセルは573万6400円になり、プラグインハイブリッドの価格が燃料電池よりも高くなってしまう。
この差額もクラリティPHEVを割高に思わせる理由だ。ホンダの販売店によると、「クラリティPHEVには、環境技術を特徴としている法人のお客様が高い。一般のお客様は少ない」という。
リース販売されている燃料電池車のFCVは補助金の関係でPHEVと価格が逆転する。FCV、PHEVともほとんどが法人需要だ
三菱i-MiEV
2月の登録台数:7台(1月を含めて21台)
i-MiEVは、2009年に軽自動車サイズの電気自動車としてリース販売を開始した。その後に数回の改良を行い、2018年のマイナーチェンジで、軽自動車から小型車に拡大された。
フロントバンパーなどの変更に伴い、全長を3395mmから3480mmに伸ばしたからだ。全幅は1475mmで変更はないが「軽自動車サイズの電気自動車」というi-MiEVの貴重な特徴が失われた。
i-MiEVは2018年に全長を伸ばして小型車扱いとなった。軽自動車のEVという最大のセールスポイントを失ってしまったのが残念
そしてi-MiEVは、機能や価格をリーフと比較されると辛い。
i-MiEVの最高出力は47kW、最大トルクは160Nm、リチウムイオン電池の総電力量は16kWhで、1回の充電で走れる距離はJC08モード走行で164kmとされる。
グレードはXのみで価格は300万3000円だ。CEV補助金の18万4000円を差し引くと281万9000円になる。
いっぽうリーフSは、最高出力が110kW、最大トルクは320Nm、リチウムイオン電池の総電力量は40kWhとなる。1回の充電で走れる距離は、JC08モードで400km(WLTCモードで322km)だ。
つまりリーフのスペックはi-MiEVの約2倍、リチウムイオン電池の総電力量と1回の充電で走れる距離はi-MiEVの2倍以上になる。
加えてリーフSには、i-MiEVに装着されない衝突被害軽減ブレーキなども採用されている。これだけの内容を備えて、リーフSの価格は332万6400円だ。CEV補助金の42万円を差し引くと290万6400円に収まる。
i-MiEVは航続距離を考えてもロングドライブには向かないが、シティコミューターとしての利用価値は高いが、いかんせん古さは隠せない
従ってリーフSを選ぶと、i-MiEVに約9万円を加える程度で、走行性能、1回の充電で走れる距離、安全装備、居住性など、さまざまな機能が大幅に向上する。
こうなると多くのユーザーがリーフを選ぶ。2020年2月のリーフの登録台数は2981台、i-MiEVは7台というのも納得できるところだ。
三菱は電気自動車で実績のあるメーカーだから、軽自動車サイズの電気自動車を新たに開発してほしい。
もともと電気自動車は、市街地など一定地域内の移動手段に適しており、軽自動車のサイズとは親和性が高い。軽自動車サイズの電気自動車は、日本の使用環境に適した優れた移動手段になり得る。
i-MiEVよりも高性能かつ航続距離が長く、しかも室内スペースにも余裕があるリーフがi-MiEVの約9万円高から手に入るとなれば、どっちを買うかは明らか
ダイハツメビウス/アルティス
2月の登録台数:2台/1台(1月を含めて2台/8台)
ダイハツ車として2番目のハイブリッドカーとして2012年からプリウスαをメビウスとして販売。本家プリウスαも苦戦中で、アルティスの低迷は致し方ない面がある
メビウスはトヨタが製造してダイハツに供給するOEM車だ。プリウスαと同じクルマだが、メビウスのグレード構成は3種類に限られる。そのためにプリウスαと違って、3列シート仕様は用意されない。
しかもプリウスαも発売から約9年を経過して、2020年2月の登録台数は740台と少ない。これらの影響によりメビウスの売れ行きは大幅に下がった。
いっぽうアルティスはカムリのダイハツ版だ。トヨタのカムリがミドルクラスセダンとして健闘しているのに対し、アルティスはほとんど売れていない。グレードはGのみで、カムリWSに相当するスポーティな仕様は用意されない。
ダイハツの販売店では、「メビウスやアルティスといったトヨタが造るOEM車は、主にダイハツの軽自動車を使うお客様に売れている。法人のお客様も多い」という。
法人ユーザーの場合、クルマ関連の窓口を一本化したほうが業務の効率化を図りやすい。そこでダイハツ車を多く使う法人では、小型/普通車もトヨタ製OEM車を利用する。またダイハツの関連企業なども、トヨタ製OEM車を使っている。
トヨタカムリのOEMをアルティスとしてダイハツが販売するのは現行モデルが5代目。20年の歴史を持つアルティスはダイハツユーザーのために存在することに意義がある!?
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みんなのコメント
ダイハツの社員用みたいなものだろ。
すぐ法人ガーって結び付けたがるけど、
そうじゃなくて単に役員が使うからでしょ。
まさかトヨタやスバルとかの関連した企業の集まりで
トヨタはクラウン、スバルもレガシィとかで
乗り付けて来て、自分だけミライースやタントで
やって来ましたなんて面子が立たないから
OEMさせてもらってるんでしょw