思い切りのよさがマツダならでは──新型CX-80 XD-HYBRID Exclusive Sports試乗記

マツダの新型「CX-80」に、小川フミオが徳島～神戸間で試乗した。まず往路では、マイルドハイブリッド技術を搭載したディーゼルモデルに乗った！

CX-60との違い

マツダの新型CX-80が2024年10月10日に発売される。従来の「CX-8」より大型化した3列シートのボディに、プラグイン・ハイブリッドと6気筒ディーゼルを設定。操縦性の高さもマツダ開発陣の肝煎りというこのモデルに、10月初旬の発売前に試乗した。はたして意図どおり、運転が楽しめるモデルだった。

CX-80は、エンジン縦置き＋後輪駆動ベースの基本プラットフォームを、22年に発売された「CX-60」とシェアしている。CX-60が2列シートであるのに対して、CX-80は3列シート。6人乗り仕様と7人乗り仕様がえらべる。

内装も仕上げがよくて、使う素材にも凝っている。ダッシュボードは水平基調で、広々感を演出するとともに、ここにさまざまな色や素材を貼り込むことで、CX-80にしかない世界を上手く作り出している。あたらしいSUVの誕生を強く印象づけるデザインだ。

重要なことを先に触れておくと、当初CX-60では「どうかな？」と、思った乗り心地はうんと改善されているし、室内の静粛性も抜群に向上。徳島空港から淡路島を縦断して神戸までの試乗での印象を一言でいうと、価格に見合う出来映えだ。

今回ドライブしたのは、ディーゼルエンジン＋モーターのマイルドハイブリッドCX-80 XD-HYBRIDと、ガソリンエンジン＋モーターのプラグイン・ハイブリッドCX-80PHEV。

徳島から神戸まで上がっていったときは、CX-80 XD-HYBRID Exclusive Sportなるモデルに乗った。3283cc直列6気筒ディーゼルエンジンに、トルク増強用モーターを組み合わせている。

CX-60と基本プラットフォーム共用であるものの、たとえばホイールベースは2870mmに対して、CX-80は3120mmに延長されていて、ボディ全長も250mm長い4990mm。エンジンは、最高出力が187kW（254ps）、最大トルクが550Nmとなる。

違うな、と、思ったのは、先にも触れたとおり、広い意味での快適性だ。乗り心地はフラットで、路面の凹凸などはうまく吸収してくれるし、室内の騒音レベルはかなり低い。

個人的に感心したのはワイパーの作動音がほぼ聞こえなかった点。クルマによってはドラミング現象のように、室内にボンッボンッと音が入ってくることがあるものの、私の乗った、CX-80 XD-HYBRID Exclusive Sportなではほぼ皆無。クオリティの高さが光っていた。

スポーティに走っているときは、ダイレクト感があって、マツダが唱えてきた“人馬一体”の言葉を想起した。全長5mになんなんとするSUVだけれど、走りへのこだわりがマツダならでは。ただし先述のとおり、乗り心地は向上しているので、バランスのよい仕上がりと感じられる。

後輪駆動方式も、SUVとしては大胆だ。改めて後輪駆動方式の是非を確認すると、「走りの気持ちよさは後輪駆動」と、開発を指揮した柴田浩平主査は答えた。

ドライブモードでノーマルを選ぶと、後輪駆動が主体になるようで、スポーツにすると前輪にそなわったモーターが積極的に働くようになる。高速道路ではスポーツがより強く直進安定性をもたらすとか。ドライブ当日は雨に見舞われたが、どのモードでもしっかり安定していた。

8段オートマチック変速機でありながら、一般的なトルクコンバーターでなく、湿式多板クラッチを使って電気的にギヤをつないだり離したりするシステムも、やはり発進時からモタモタ感がなく「MT（マニュアル変速機）のような伝達効率と切れの良いリズミカルな変速を実現」（マツダの広報資料）と、謳う。

今回は高速主体だったので、頻繁なギヤチェンジの場面に多く遭遇しなかった。が、阪神高速の渋滞に巻き込まれたり、神戸の街中を走ったりしたとき、エンジン回転を常にいいところで保ってくれていたし、シフトショックを感じることもなかった。

ちょっと慣れが必要なのは、ハンドルを動かしたときのステアリングフィールだ。操舵感があえて重めに設定されていて、ちょっときつめのカーブを曲がるとき、うっかりすると切り遅れて、車体が外にふくらみがちになるかもしれない。

「CX-80でも人馬一体といえる感覚を作りだしたかったので、サスペンションシステムの設定と、ステアリングと、それに乗り心地のバランスをとっていくことに心を砕きました」

前出の柴田主査は、「マツダ車はスポーティさが基本ですから」と、つけ加えた。CX-60では予想外の重さに驚かされたが、今回は、多少の見直しが入って、操舵感はすこし軽めになっている。

新型CX-80 XD-HYBRID Exclusive Sportの価格は¥5,879,500。サイズ的には全長4860mmで3列シート仕様もあるレクサス「RX」が競合だろう。ただし価格的にはRX（¥6,660,000～）と「NX」（¥4,850,000～）の中間に落ち着いている。

先に書いたとおり、ハンドリングではとくにキャラクターが立っていて、わざわざ選ぶ意味が感じられる。この思い切りのよさがマツダならでは。こうでなくては、クルマはおもしろくならない！ そう感じさせてくれる出来映えだ。

文・小川フミオ　写真・安井宏充（Weekend.）　編集・稲垣邦康（GQ）

Comments

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なんか読むにつけ、CX-60オーナーが不憫だな

[chi********]

思い切りの良さ？
60の問題点を中途半端に改善して、安全装備はほとんど進歩なし。
ほんと、こんな状態で販売するなんて流石。

この試乗は飛行機代とかメーカー持ち？
褒めないと帰してくれないとか無いよね。良い物は良い、悪い物は悪いとキチンと言えますか。
次に呼んでくれないとか無い？