7月に予定される2020年のスーパーGT開幕戦まで、なかなか待ちきれないGTファンのみなさまに、今まで諸事情で掲載できなかった(正確には掲載できたけど当時はいろいろな関係者に迷惑を掛けてしまう可能性があるので編集部で自主規制していたなどの)写真を、どどーんと公開させて頂きます。
「この部分はライバルに見られたくないんです」「この画期的なアイデア、まだ出せないんですよ」「一生懸命開発して見てもらいたいけど上がダメって言うので……」などなど、当時の開発者、担当者、さまざまな方たちの想いがしのばれます。
開発競争激化の果てに有名無実化したフレーム。03年規則はついに”一線”を超えた【スーパーGT驚愕メカ大全】
初の公開となるものを含め、写真はオートスポーツweb/本誌でもお馴染みのメカもの変態カメラマン、鈴木紳平氏(通称シンペー)の撮影。シンペー氏の極めて私的な当時の思い出と、偏り気味の個人的興味で取材した内容と合わせて、みなさま、寛大なお気持ちでお楽しみください。
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日本のモータースポーツファンのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。
この度、始まりましたJGTC(全日本GT選手権)/スーパーGTメカもの振り返り企画。7月予定の今季開幕戦に向けて、今こそちょっぴり昔を振り返って日本が世界に誇るGTレースのマニアックな知識をつけてみませんか? そうすれば、来たる今季の開幕がより楽しく迎えられはず。
JGTC時代 2003年技術規則(通称:03規定)から2013年頃までのスーパーGT技術規則(通称:09規定)までの、メカニカルなものをみなさまとともに振り返りたいと想います。当時は自主規制でNGとした写真も、もはや時効(!?)バンバン出しちゃいます!
それでは世界に誇る『ニッポンGTマシン進化の旅』、行ってみましょう!
まずは2003年のGT500ニッサン・スカイラインGT-Rからいってみましょう。まずはクルマ全体を見てみましょう。
この年は市販車のGT-R R34の生産終了に合わせGT500でもR34 GT-Rが最後の年。つまりニッサン陣営にとっては必勝の年。キャビン以外のパイプフレーム化によって前年よりボンネット高を極端に下げ、空力性能の大幅な向上を狙ってきました。
残念ながらシリーズ中の勝利はなりませんでしたが、それでも安定して上位フィニッシュを重ねて見事、ドライバー、チームともにタイトルを獲得。有終の美を飾りました。今見ても美しいクルマですね。
エンジンルームを見てみましょう。
エンジンはVQ30DETT 3リッターツインターボ。中央の白いタンクはパワステのリザーブタンク。今見るとステアリングラックも大きく見えます。パワステラックの両脇にスペーサーを入れ、センター出しをしているようです。
この頃だったかは不明ですが、本山哲選手はパワステラックのギア1枚分のズレを感じ取り、ハンドルのセンターがでていない(通称:本山センサー)と言ったことがあるそう。その時にはデータでも認知できなかった些細な変化をドライバーはしっかりと感じていたという、ドライバーの感覚のすごさを知りました。
右フロントのタイヤハウス内部。右下、ケプラー地がフロントアンダーのアップスイーブ。エンジン搭載位置ギリギリまで延ばされていると思われます。ボンネット位置の最適化も含め、この車両はGT500における空力開発の本格的なはじまりだったと言えるかもしれません。
ただ、ホイールハウス内部の細かいところまで空力処理は及んでおらず、まだ手探りの感が読み取れます。市販車ベースのV6ツインターボエンジン搭載でスペースがないという弊害でしょうか、アーム長は短く見えます。
富士の予選ではリヤホイールにホイールカバーが登場。ドライカーボン製ではなく、アルミ製というところに時代を感じます。
当時テストで何種類か試してその中からこの形状を選んだ、という話を聞いたような気がします。ホイールのリム部とカバーの距離感が難しかったと思われます。それにしても給油中のガソリンの漏れ方、気になりますね・・・。
ここからは03規定の目玉、キャビン前後のパイプフレーム化を見ていきましょう。キャビンは残っていますが隔壁を貫通し内部のロールケージとリヤのフレームが一体となっていることが読み取れます。
また、リヤトランク部に設置された、ミッション、デフクーラー冷却のための空気の通り道をリヤディフューザー真上に設置し、車体下部に流れる空気の引き抜き効果(ダウンフォース増)を狙っているようにも見えます。上下アームは流線形、マフラーには耐熱セラミックコーティング処理がされています。
このアングルだとキャビン内部のロールケージとリヤのパイプフレームが一体になっているのがよくわかります。リヤサスペンションユニットは隔壁側に設置のロッカーを介して機能。スタビライザーはサスペンションユニット下方に設置されています。
サードダンパーはまだ存在していない時代でしょうか。サスペンションユニット下の銀色の筒はジャッキアップユニットかもしれません。
だとするとこの当時は前2本、後1本でジャッキアップしていたのかもしれません。なおこの頃にはプロペラシャフトはドライカーボン化されていたと思われます(1本約300万と聞いた気がします)。
車両左側です。キャビン内部、Bピラーに溶接されたロールケージの取り付けポイントが見えます。前後がパイプフレーム化されたとはいえ、まだまだ市販車のキャビンを使用していることが分かります。
真ん中の銀色の物体はエンジンのドライサンプユニットのオイルタンク。ホイールハウス車体側のアームが貫通する場所のシーリングなどにはまだ手が付けられておらず時代を感じさせます。
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みなさま、『秘蔵写真で振り返るGTの進化』、第1回目はいかがでしたでしょうか。
やはり随所に試行錯誤が見て取れる時代。ここからニッポンGTは09規定まで急速に進化し、世界最高峰カテゴリーへと昇華していきます。その先駆けとなったターニングポイントとも言える2003年。第2回はその2003年のJGTCから、GT500トヨタ・スープラ編をお送りしたいと思います。
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みんなのコメント
シーズン勝てなくチャンピオンになったのは、23号車であって、12号車のカルソニックが2勝、22号車のモチュールニスモも富士で勝っています。
マシントラブルを抱えながらもラスト一周で怒涛のオーバーテイクでトップに躍り出て、チェッカーを受けた瞬間にマシンが限界を迎えてリアカウルが吹き飛んだのは、さながら映画のようでした。