プレミアム・ハッチバックを牽引してきたA3
text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ジョン・レノン。パブロ・ピカソ。アイルトン・セナ。名前を聞いただけで、少なくとも人物像はイメージできるはず。
彼らは、その分野における伝説的な存在だ。音楽や絵画、モータースポーツなど分野は違えど、深く名を刻む功績を残している。ある分野で活躍しようとする新人たちは、キャリアを積むほどに、否が応でも過去の伝説的な存在と比較されることになる。
自動車の世界ではどうだろう。少し強引かもしれないが、アウディA3も、その中に加えられるのではないだろうか。間違いなく、プレミアム・ファミリーハッチバックという、新ジャンルを創出したモデルだからだ。
初代から3代に渡って、小さなアウディA3は、インゴルシュタットが生み出すモデルとして確かな功績を残してきた。英国では延べ60万台のA3が、道路を走ってきた。
誕生から24年間、ベンチマークと呼べる水準を構築してきた。新参のライバルは、アウディA3に並ぶ必要があった。
アウディの特長といえる、確かな洗練性と優れた動的性能、安定性。これらの強みは、A3の成功にも間違いなく貢献している。
さらにA3の成功を後押ししたのが、上質な素材や優れたデザインが、小さなハッチバックに与えられていたこと。アウディA3より以前は、サイズの大きいモデルのみが得ていた内容だったといっていい。
Aクラスと1シリーズ、A3の中での1番は
初代の放った大きな影響力は、2020年の今でも残っている。アウディは、3代目までの強みを見事に受け継いだ、最新の4代目をデビューさせた。先代までが築き上げてきた地位を、維持する態勢を整えるために。
4代目のA3は、汎用性に優れた、フォルクスワーゲン製MQBプラットフォームの改良版をベースとする。スタイリングはスポーティさを高めつつ、先代の雰囲気を踏襲。リア・サスペンションはマルチリンク式となり、インテリアは大胆に一新してきた。
マイルドとプラグインのハイブリッドも、追って登場予定。高性能なS3とRS3も控えている。
当面、最新のA3で選べるエンジンは、150psの2.0L 4気筒ディーゼルターボと、同じく150psの1.5L 4気筒ガソリンターボの2種類。今回選んだのは、1.5Lガソリンの方だ。
第一印象としては、先代までの成功を4代目も掴めるように思える。しかし、それほど簡単にはいかないだろう。
メルセデス・ベンツAクラスは、滑らかなスタイリングの4代目へとモデルチェンジ。従来以上に完成度を高めている。
BMWは、FRという構造がはらんでいた課題を、FFという新パッケージに改めることで解決。それでいて、動的性能は充分に評価できる水準を保っている。
今回は、ルセデス・ベンツAクラスからは163psのA200 AMGライン・プレミアム、BMWからは140psの118i Mスポーツを選出。150psのアウディA3 35 TFSI Sラインと、直接比較をしてみたい。
質感が落ちた印象のインテリア
ちなみに試乗車の英国での価格は、A200が3万2905ポンド(460万円)、118iは2万7805ポンド(389万円)。A3 35は、2万8205ポンド(394万円)となっている。
まずは見た目から。最新のアウディA3は、上質なインテリアデザインや優れた組み立て品質で、先代からやや点数を落としている。従来まで、高く評価されていた部分だ。
運転席は間違いなく快適で、シートやステアリングホイールの調整域も大きい。バーチャル・コクピットと呼ばれるモニター式のメーターパネルや、10.0インチのインフォテインメント・システムは、技術的に高い印象をインテリアに与えている。
でも、先代ほど印象深い眺めではない。素材感は、明らかに質が落ちたと感じる部分もなくはない。
A3のダッシュボードは、ミニマリズムでソリッドな雰囲気が魅力だった。しかし4代目では、光沢感のあるプラスティックが大きく広がっている。触れてみると、中が空洞だということが伝わってくる。
傷の付きやすそうなプラスティック製のドアパネルが、全体の雰囲気の足を引っ張っている。売れ行きに影響はないかもしれないが、少々残念な部分ではある。
一方でアウディA3は、3台の中で車内空間が一番広く感じられる。リアシートでは、BMWやメルセデス・ベンツよりゆとりのある足回りや頭上の空間を確保している。
メルセデス・ベンツAクラスとBMW 1シリーズは、インテリアデザインでは真反対のアプローチを取っているのだろう。見た目で最も大きな驚きを与えてくれるのは、Aクラスの方だ。
車内の広さと快適性を高めた1シリーズ
2段に分かれたダッシュボードに、ダービン風のエアベント。使用される素材や2面の大きなモニターも、すべてが車内の知覚品質を高めている。
しかし、実際に触れてみるとその印象も変わる。場所によっては指で押すと変形したり、きしみ音を生じることも。全長は3台で最も長いのにも関わらず、リアシートは一番狭いようだ。
BMW 1シリーズは、肉太なMスポーツ・ステアリングホイールの向こう側に、比較的シンプルな造形のダッシュボードが広がる。手で触ってみてもソリッド感が高く、それでいて見た目も悪くない。アウディやメルセデス・ベンツにはない印象だ。
1シリーズは、BMW製のUKL2アーキテクチャと呼ばれる土台を獲得し、大幅に車内空間を広く取れるようになった。FRだった時代の1シリーズは、間違いなく窮屈に感じられたから、評価する人も多いだろう。
ボディの見た目は、筆者には少々垢抜けないように映る。でも、長時間いても快適な車内になった。
プレミアム・ハッチバックとして、実用的でありながら上質なインテリアは、大切な要素の1つ。この分野では、BMW 1シリーズの得点が高いといえる。
そして、さらに重要なのはオンロードでの走り味や洗練性。3台の違いが、より明確になってくる部分でもある。
この続きは後編でご紹介したい。
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