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29歳、フェラーリを買う──Vol.86 フェラーリの実燃費 Part.2

掲載 更新 10
29歳、フェラーリを買う──Vol.86 フェラーリの実燃費 Part.2

『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、フェラーリの実燃費を再計測したお話。

購入から2カ月間の平均燃費は約4.73km/L

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「フェラーリの燃費ってどうなの?」と、友人から訊かれた。かつて公開した燃費にかんする記事を読み返すと、購入から約2カ月間(2019年3月~4月)の平均燃費は約4.73km/Lらしい。

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ちなみに当時、少し細かく計測した結果は以下の通り。

一般道:3.1km/L(10.6km走行)
高速道路:8.1km/L(51km走行)
朝の渋滞時:4.1km/L(一般道:約10km+高速道路:約21km)

いずれの数値も、決して褒められるものではない。もっとも燃費を気にしてフェラーリに乗る人はほとんどいない。それに、月1000km以上乗るオウナーはほとんどいないから、燃費が悪くても月の燃料代はそれほど掛からない。
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とはいえ、購入から2年目を迎える今、はたしてかつての燃費水準を維持しているのか、それとも下まわっているのかは興味深い。たまにしか乗らないため、燃費を意識していなかったのだ。

一般的には走行距離が増すと、燃費が悪化すると言われる。経年劣化も悪化の要因だ。2年前の計測時から、走行距離は約3500km伸びている。ただし、そのあいだに車検整備(約100万円)と12カ月定期点検を受けているので、エンジン各所の部品を交換した。もしかすると、それによってエンジンの調子が良くなり、燃費が向上している可能性はあるだろう。
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祖父母ゆかりの地である三崎へ

今回は約60kmの道のりを、往路は一般道で、復路は高速道路を使い、計測することにした。約60kmとはいえ、平均燃費4km/L強なら10リッター以上は消費するから、計測するのには十分だ。

目的地は神奈川県・三浦半島の先端にある三崎である。三崎を目的地に設定したのは、今は亡き父方の祖父母の家があるからだ。

祖父は船乗りだった。広島県江田島にあった海軍兵学校に入学したものの、直後、終戦によって廃校。その後、妹たちを養うため、祖父曰く「手っ取り早くお金になる」ということで船乗りを目指し、高等商船学校(現・東京海洋大学)に入り直した。卒業後、かつて東証一部に上場していた宝幸水産(2002年会社更生法申請、現・宝幸)に入社し、マグロ船に乗船するようになった。そのとき、三崎に移り住んだのだ。

祖母は、徳島で生まれたあとすぐに三崎へ転居した。生家は、江戸時代から​遠洋マグロ延縄漁業の会社を営んでいた。祖父母そろって、マグロに縁が深いのだ。

祖父母はすでに他界したけれど、三崎には家が残っている。ただし、誰も住んでいない。そこで様子を見ようと向かうことにした。
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出発地は、横浜市青葉区だ。まずはガソリンを満タンにする。360モデナには平均燃費計がないので、満タン法で計測するしかない。

往路はひたすら一般道で向かう。国道246号線から県道18号線に入る。朝の通勤ラッシュ時ゆえに、スムーズに進んでいるとは言い難い。ゴー&ストップが多いので、搭載するトランスミッション「F1マチック」には負荷がかかる。クラッチを極力摩耗させないよう、無駄な変速を控えつつ走らせた。なぜなら、クラッチ交換には多額の費用を要するからだ。

一般道を走行中、水温計は常に98℃付近だった。この日の外気温は8℃前後。ちなみに、外気温が40℃近くに達する夏場の場合、水温は100℃を超えてしまうときもあるから不安になる。フェラーリ横浜サービス・センターの高橋忠久工場長は「オーバーヒートについては、それほどナーバスにならなくても大丈夫ですよ」と、述べるものの、気が気ではない。

久しぶりに一般道を長く走った。乗り心地は、サスペンションを純正に戻してから快適そのもの。かつては、フツーに走るだけでも、路面状況によっては結構な衝撃が発生し、ドライブレコーダーが“衝撃検知モード”になったほどだ。それが一切なくなった。

ヒーターの効きも十分。風量、風向ともにAUTOに設定しておくだけでよい。

大船を通過し、鎌倉へ向かう。平日だから交通量は少ない。由比ヶ浜に到着し、国道134号線に入る。海辺を走りながら、祖父母との日々を思い出した。

祖父は船乗りを経て、地上勤務になった。途中、左遷されて辛酸をなめたときもあったそうであるが、赤字の乳製品事業を立て直し、最後は取締役になった。が、直後に脳梗塞で倒れたため退任。身体の各所に麻痺が残ったため、自由が効かない部分もあったけれど、幼きボクを色々な場所へ連れて行ってくれた。134号線もまさにそうしたところのひとつで、さまざまな思い出が蘇る。

「まさか孫がフェラーリに乗るなんて思ってもいないだろうなぁ……」と、あれこれ考えながらステアリング・ホイールを握っていたら、いつのまにか「三崎口」駅の前だった。

その後、県道26号に入り、祖父母の家へ。状態は相変わらずだった。
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平均燃費はいかに?

さて、祖父母の家の近くで満タンにしたところ、 14.3リッター入った。ここまでの総走行距離は67.4kmだから、4.7km/Lだった。昨年計測時は一般道で3.1km/Lだったから、1.6km/L向上した。ちなみに、走行時間は3時間だったから、平均車速は22.5km/Lである。

前回計測時と距離や季節、ルート、平均車速が異なるため、「燃費が向上した」と、断言は出来ないかもしれないが、“思っていたよりも悪くはない”というのが印象だ。

復路は再度ガソリンを満タンにし、三浦縦貫道路の高円坊入口から横浜横須賀道路の衣笠インターチェンジを経て、首都高湾岸線経由で高樹町を目指す。渋滞はなく、終始スムーズなドライブになった。心地よいフェラーリ・サウンドに耳を傾けつつ、高速道路を走る。

直線ばかりであるものの、フェラーリらしさを十分堪能出来た。別にサーキットを走らなくても、普段の道を普通に走るだけで、フェラーリの魅力は感じられるのだ。

自動車専用道路の総走行時間は1時間10分で、総走行距離は85.2kmだった。平均速度は73km/hになる。再度、ガソリンを給油すると9.3リッター入ったから平均燃費は9.2km/L。前回は8.1km/L(51km走行)だったから、1.1km/L向上した。

一般道も高速道路も、前回より平均燃費の数値は良い。やはり、各所を整備した結果なのかもしれない。

もちろん、決してほめられるような数値ではない。が、前述の通り、フェラーリに燃費性能を求める人はほとんどいないから、それほど問題にならないはず。

ちなみに最新モデルである「ローマ」の平均燃費はWLTPモードで約8.9km/L! おそらく高速道路では10km/Lを超えるだろう。21年間で進歩したのはパワーや安全技術、快適装備のみならず燃費も含まれるのだ。

とはいえ、燃費の悪さも古いフェラーリならではの“味わい”かもしれない。そう思えば、もっと気にならなくなるのだった。

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文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

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  • 正直に告白すると、この記事シリーズも、イナガキなるオウナー氏も、どちらも何とも胸クソ悪い。
  • 50代のオッサンにはフュラーリテスタオッサンドナイシテマンネンのほうが人気があると思うでござる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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