自動車のメンテナンスだけでなく、日常生活においてもよくあるのが、固く締まったネジが外せないというトラブル。ヘタに外そうとするとネジがナメてしまい、余計に泥沼にハマってしまうことも…。そんな問題を一発で解決する便利な裏ワザを紹介しよう。
【画像12枚】→「ス…スゲェ! ガチガチのネジが簡単に緩んだ…」「どういう原理なの?」超便利なツールを紹介。
●写真/文:オートメカニック編集部
固く締まって外せないネジ…。一体どうすれば?
クルマのメンテナンスを自分で行う場合、ドライバーでネジを外すというのは基本中の基本の作業となる。もちろん、車両メンテナンス以外でも、ネジを外すという作業は日常でもよく行うDIYの基本とも言えるだろう。
全てのネジがすんなりと外れてくれればよいのだが、長期間固く締め付けられていたネジや屋外で雨風にさらされていた場合などは、なかなか外せなくなっていることがあり、そういったネジに苦労した経験は誰しも一度や二度はあるはず。
―― 固く締まって外せないネジは厄介だ。無理して回そうとすると、ネジがナメてしまい、状況がさらに悪化する可能性も…。
固く締まったネジを無理に外そうと力を込めて回すと、ネジがナメてしまってさらに外しにくくなるという事態に陥ることもある。そんな場合、一体どうすれば良いのか? 実は、固く締まってなかなか外せないネジを簡単に外せてしまう、便利なドライバーが存在するのである。
知っている人からすれば「何をいまさら…」と感じるかもしれないが、DIYやクルマのメンテナンスなどを行わない人からすると「えっ、そんな方法があったんだ…?」と、なるかもしれない。では、早速、その便利な裏ワザ的な工具を紹介しよう。
「ショックドライバー」を利用して、固く締まったネジを外す
固く締まって、通常のドライバーではなかなか外せないネジを緩めることができるツール、それは「ショックドライバー」と呼ばれる工具だ。DIYやクルマのクルマのメンテナンスに馴染みがない人からすると、初めて聞く工具かもしれない。
―― ショックドライバーのセット。やや年季が入っているが、ネットで最新の物が購入可能だ。
しかし、車両整備の現場などでは日常的に使用される、一般的なツールの1つとも言える。もちろん、一般のユーザーも簡単に入手可能だ。では、このショックドライバーの使い方を詳しく解説していこう。
◆ハンマーで叩き、そのパワーでネジを回転させるツール
グリップ未端をハンマーで叩くことで、ビット先端に急激な回転力を与えられる特殊なドライバーがショックドライバーで、普通のドライバーでは緩まない固く締まったねじを動力を使うことなく容易に緩められる。
ただし、使い方にはコツがある。グリップ未端を叩いた時の下向きの力は、グリップに内蔵されたカム機構で回転方向に変換される。この際、グリップをしっかり保持していないと反動でグリップが「逆回転方向」に回ろうとするのだ。このため、叩く時はグリップを回そうとする方向にガッチリ押さえ込む感じで保持する必要がある。
ショックドライバーの使用手順
まずは、ネジのサイズに応じたドライバービット(先端部分)を選択し、本体に装着する。セットが正常に行われると、カチッという音とともにロックされる。確実に奥まで押し込んでビットをセットしよう。
―― 異なるサイズのネジに対応するため、ドライバービット(先端部分)は着脱式となっている。
ネジとひと口に言っても、そのサイズは様々だ。作業対象となるネジに応じて、適切なサイズのドライバービットを選択することが、作業を確実に行うためのコツとなる。
―― ネジのサイズに合わせて、最適なサイズのビットを選ぶ。
◆回転方向を合わせる
アダプター部を回すことで、ハンマーで力を加えた際の回転方向を変更できる。ちなみに、L側へ回すと「緩め作業用」の左回転設定となり、R側へ回すと「締め込み作業用」の右回転設定となる。ネジを緩めたい場合はもちろん、L側へセットする。
―― ショックドライバーのアダプター部分。ネジを緩めたい場合は、L側へセットする。
◆対象物をしっかりと固定。グリップを緩め方向にひねって保持
対象物が不安定な場合は、万力などに固定することで、作業のミスを減らすことができる。ビット先端をネジ頭の溝の奥まで確実にはめ込み、ネジに対して垂直になるよう保持する。
―― ネジに対して垂直になるようショックドライバーを保持する。
ビット先端をネジ方向押し付けながら、グリップを緩め方向(左回り)に軽くひねった状態でガッチリと押さえ込むようにホールドする。この際、安全のためグローブや軍手などを着用することをオススメする。
―― 緩め方向(左回り)に軽くひねってグリップをホールドする。
◆グリップ末端をハンマーで一撃!すると…
準備が整ったら、グリップの末端部分をハンマーで思い切り叩く。すると、加わった力がショックドライバー内のカムを介して、回転方向へと変換され、ドライバービットが力強く回る。この際の高いトルクで、固く締まったネジを緩めるのである。
―― 準備ができたら、ショックドライバーの末端をハンマーで叩くだけ。
実際に、固く締まったネジに対して、ショックドライバーを使用したところ、見事にネジは緩み、外すことができた。一旦緩んでくれれば、あとは容易に外せてしまう場合が多いだろう。
―― 通常のドライバーでは緩められないネジも、ショックドライバーを使用することで、緩められる可能性が高くなる。
ショックドライバー自体は、プロのツールに思えるかもしれないが、実際には一般のユーザーでも使用できる工具でもある。ハンマーのパワーを回転方向へと変換さえるという「コレを考えた人頭いいわ…」と思わずうなってしまう便利なツールで、価格もリーズナブル。選択肢も多数揃っているので、万が一に備えて、1つ備えておくというのもいいかもしれない。
※インパクトドライバーと呼ばれている製品もあります
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