現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > SUVブームの中ひっそりと…!!? スズキ SX4クロスが販売終了!! 地味ながら光る魅力と絶版理由

ここから本文です

SUVブームの中ひっそりと…!!? スズキ SX4クロスが販売終了!! 地味ながら光る魅力と絶版理由

掲載 更新 22
SUVブームの中ひっそりと…!!? スズキ SX4クロスが販売終了!! 地味ながら光る魅力と絶版理由

 スズキの小型クロスオーバーSUV「SX4 Sクロス」が、2020年内にひっそりと日本での販売を終了していたことがわかった。

 SX4 Sクロスは公式HPのラインナップから消えており、スズキ広報部に問い合わせたところ「日本向けについては昨年内に販売終了しております」と、すでに一部店舗での在庫限りで、事実上絶版となっていることが判明した。なお海外向けモデルについては、引き続きハンガリーで生産を継続しているという。

新型Zは上杉謙信 Be-1は赤穂浪士!!? 「奇襲」に成功したクルマ・メーカー14選

 SX4 Sクロスの2020年11月の販売台数は15台と低迷しており、販売終了は無理もないのだが、SUVブームのなか、なぜSX4 Sクロスは歴史に終止符をうったのか?

 本稿では初代モデルのSX4とSX4 Sクロスが辿った軌跡や魅力を振り返り、「なぜヒッソリと絶版になってしまったのか」を含めて考察してみたい。

文/永田恵一、写真/編集部、SUZUKI

【画像ギャラリー】本文未掲載写真も! 昨年末にひっそりと販売終了したスズキ SX4 Sクロスを写真で振り返る

■実はフィアットとの姉妹車だった! SX4 Sクロスが歩んだ軌跡

●初代SX4/2006-2014年

2006年に登場したSX4は2代目スイフトをベースにしたコンパクトクロスオーバーだった

 2006年7月に日本で登場したSX4は2代目スイフトをベースにボディサイズを拡大したコンパクトクロスオーバーで、このジャンルの日本車の先駆車だった。

 SX4は、フィアット セディチとの共同開発車で、デザインはあのジョルジェット・ジウジアーロ氏が率いるイタルデザインによるものである。

 SX4のボディタイプは標準の5ドアハッチバックと最低地上高を上げ、ルーフレールや樹脂製のオーバーライダーなどを持つクロスオーバーのX系があった。

 パワートレーンは1.5Lと2LのNAエンジンに4速ATの組み合わせで、それぞれにFFと4WDを設定。登場翌年の2007年には1.5L/FF(前輪駆動車)のみとなる4ドアセダンも追加された。

 SX4は、2004年登場で軽自動車ベースではないコンパクトカーとなった2代目スイフト以来上り調子にあった当時のスズキ車らしく、動力性能こそ目立たないながら操作に対し正確なハンドリングや引き締った乗り心地により、運転すると非常に好印象だった記憶がある。

 また、SX4はJWRCの2代目スイフトとともに、2007年終盤2戦へのテスト参戦を経て、2008年にはトップカテゴリーとなるWRカーでWRCに参戦。2008年シーズン終盤にはラリージャパンとウェールズでの5位入賞など、成績も向上していた。

 しかし、リーマンショックによる景気低迷で、残念ながら2008年でWRC参戦は終了となった。

■SX4 Sクロスは2017年にフロントマスク大刷新などテコ入れ

●SX4 Sクロス/2015-2020年

2012年、パリモーターショーでコンセプトカーとしての出展を経て、日本では2015年に登場したSX4 Sクロス

 SX4の後継車となるSX4 Sクロスは、2012年のパリモーターショーに出展されたコンセプトカーを経て、海外では2013年のジュネーブモーターショーで市販車が登場。

 日本には2015年2月に投入され、ボディサイズは現在のコンセプトクロスオーバーとしては標準的な全長4300mm×全幅1765mm×全高1575mmに拡大された。

 登場時の日本仕様のパワートレーンは、1.6LのガソリンNAエンジン+CVTで、FFに加えオート、旋回性能に優れるスポーツ、安定性重視のスノー、駆動力を高めるロックという4つのモードを持つALL GRIPと呼ばれる4WDを設定。

 機能面ではボディサイズを拡大しながら50kg軽量化され、生産はスイフトより半車格下のコンパクトカーで絶版となったスプラッシュや現在も販売されているコンパクトSUVのエスクードと同様にハンガリーで行われていたため、SX4 Sクロスは輸入車だった。

 登場後の改良としては、2017年6月のマイナーチェンジで、フロントマスクをグリル、ヘッドライト、バンパー、ボンネットの変更により押し出し感のあるものに変更。

 また、タイヤを17インチに大径化し、最低地上高をマイナーチェンジ前より20mm高い185mmに拡大。CVTを6速ATに変更した。

 さらに、2019年10月の一部仕様変更では、ミリ波レーダーを使った自動ブレーキや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールなどから構成されるレーダーブレーキサポートII、フロントサイドとカーテンエアバッグの標準装備化といった安全装備の充実があった。

■なぜ成功できず? SX4 Sクロスの魅力

昨年いっぱいでラインナップから姿を消したSX4 Sクロス。地味ではあるが硬質感のある乗り味の優良車だった

 SX4 SクロスもSX4と同様に動力性能や燃費こそ目立たなかったが、欧州でも販売されるモデルだけに、エンジンの回転フィール、ハンドリングやシートの座り心地を含めた乗り心地など、全体的に硬質な乗り味で、乗るといいクルマだった。

 また、価格も前述の一部仕様変更後のモデルでFF/214万560円、4WD/235万5650円と、車格などを考えればなかなかリーズナブルだった。

ラインナップから消えるとなぜか気になるという素性の良い車だった。「販売終了車あるある」か?

 では、なぜSX4 Sクロスは成功しなかったのか? これはエンジンや自動ブレーキなどの安全装備が現在の水準に届いていなかったこともゼロではないにせよ、それ以上にSX4 Sクロスを取り巻く背景が大きかったように思う。

 SX4 Sクロスは、テレビCMがそれなり流れていたが、それでも自動車メディアのスタッフの大半ですらSX4 Sクロスの存在を忘れているだけに、一般ユーザーの中に「SX4 Sクロスというクルマがある」という認識がある人はほとんどいなかっただろう。

 また、そもそも販売目標台数が少なく、できることも限られていた。

 SX4 Sクロスの年間販売目標台数は2019年の一部仕様変更まで600台、一部仕様変更後1200台と、スポーツカー以上に少なかった。これではエンジンの変更やバリエーションの拡充といった改良が限られるのも当然で、商品力が向上しないのも無理もない。

 むしろこの販売目標からすれば「よく手を加えていた」ともいえ、輸入車とすることで生産関係の投資なしで選択肢を増やしていた点は立派だった。

*   *   *

 SX4 Sクロスはいろいろなことが限られていたなかで頑張っていただけに、不憫なクルマだ。もし次期SX4 Sクロスがあり、日本にも導入されるなら輸入車なのは構わないので、もう少し本腰を入れた体制でやり直させてあげたいところだ。

【画像ギャラリー】本文未掲載写真も! 昨年末にひっそりと販売終了したスズキ SX4 Sクロスを写真で振り返る

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

WEC、ELMSで活躍する木村武史が2024年も盛大にクリスマスパーティを開催
WEC、ELMSで活躍する木村武史が2024年も盛大にクリスマスパーティを開催
AUTOSPORT web
高密度バッテリーで690km? 改良版 BMW iX 試作車へ試乗 マックス・モードも 実力更に上昇
高密度バッテリーで690km? 改良版 BMW iX 試作車へ試乗 マックス・モードも 実力更に上昇
AUTOCAR JAPAN
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 後編
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 後編
AUTOCAR JAPAN
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 前編
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 前編
AUTOCAR JAPAN
20代現役デザイナーが選んだ「アルフェッタGT1.8」は伊藤忠モノ! 4~5年探してやっとの思いで購入したアルファ ロメオとは
20代現役デザイナーが選んだ「アルフェッタGT1.8」は伊藤忠モノ! 4~5年探してやっとの思いで購入したアルファ ロメオとは
Auto Messe Web
基本メンテナンスで100年間! HEツーリッター・スポーツ(2) 1924年を感じさせない製造品質
基本メンテナンスで100年間! HEツーリッター・スポーツ(2) 1924年を感じさせない製造品質
AUTOCAR JAPAN
ブガッティとベントレーの愛のない結婚? HEツーリッター・スポーツ(1) 100年前に5年保証!
ブガッティとベントレーの愛のない結婚? HEツーリッター・スポーツ(1) 100年前に5年保証!
AUTOCAR JAPAN
美と走りの頂点へ! 一部改良で進化したレクサス「LC」がラグジュアリーの新たな幕を開ける
美と走りの頂点へ! 一部改良で進化したレクサス「LC」がラグジュアリーの新たな幕を開ける
VAGUE
ほぼ新車な「“クラシック”ディフェンダー」がスゴイ! V8搭載&超豪華内装化も可能!? TWISTED JAPANの「ハイパフォーマンスモデル」とは
ほぼ新車な「“クラシック”ディフェンダー」がスゴイ! V8搭載&超豪華内装化も可能!? TWISTED JAPANの「ハイパフォーマンスモデル」とは
くるまのニュース
冬のツーリングこそ楽しい! バイク界の“高級サルーン” 快適装備満載の人気「バガー」3選
冬のツーリングこそ楽しい! バイク界の“高級サルーン” 快適装備満載の人気「バガー」3選
VAGUE
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
レスポンス
2024年問題で高速の景色が変わった! トラックドライバーの労働時間を縛る愚策がもたらした結果
2024年問題で高速の景色が変わった! トラックドライバーの労働時間を縛る愚策がもたらした結果
WEB CARTOP
[15秒でニュース]ラムが初のBEVトラックの発売を延期…PHEVを優先展開
[15秒でニュース]ラムが初のBEVトラックの発売を延期…PHEVを優先展開
レスポンス
「ここ有料道路だったの!?」がやけに多い“千葉県”なぜ? 今やフツーに使ってる“実は神ルート”な道たち
「ここ有料道路だったの!?」がやけに多い“千葉県”なぜ? 今やフツーに使ってる“実は神ルート”な道たち
乗りものニュース
スバル「BRZ」の限定車「STIスポーツパープルエディション」実車初公開へ! 東京オートサロン2025では“さらなるサプライズ発表”も!?
スバル「BRZ」の限定車「STIスポーツパープルエディション」実車初公開へ! 東京オートサロン2025では“さらなるサプライズ発表”も!?
VAGUE
約213万円! 旧車デザインの「バモス“カスタム”」実車展示! 角目の“アメ車“顔が超カッコイイ「ホンダ製“軽バン”」登場
約213万円! 旧車デザインの「バモス“カスタム”」実車展示! 角目の“アメ車“顔が超カッコイイ「ホンダ製“軽バン”」登場
くるまのニュース
アプリリアよ、シーズン中の新旧バイク変更はもう勘弁な! フェルナンデス心の叫び
アプリリアよ、シーズン中の新旧バイク変更はもう勘弁な! フェルナンデス心の叫び
motorsport.com 日本版
[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ ハイエース(山野幸夫さん)by アークライド 後編
[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ ハイエース(山野幸夫さん)by アークライド 後編
レスポンス

みんなのコメント

22件
  • SX-4のエクステリアは結構好きだったんだけどなぁ‥
    エスクードもこんな感じにひっそりと日本市場からいなくなる感じなのかな?
  • 欧州仕様(1.4Lターボ)が発表されたときは結構評判が良かったが、国内仕様は1.6LのNAエンジンだったので、買おうとした皆がが敬遠したな。
    なんで、欧州仕様が1.4Lターボで、日本仕様が税制上一番不利な1.6Lにしたのか理解不能だわ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

214.1235.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

69.9223.0万円

中古車を検索
SX4 Sクロスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

214.1235.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

69.9223.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村