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なぜいま生産終了のキューブ? 密かに動く日産の「中古車の魅力再生プロジェクト」とは

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なぜいま生産終了のキューブ? 密かに動く日産の「中古車の魅力再生プロジェクト」とは

 東京オートサロンに出展されていた、キューブ リフレッシュド&レトロコンセプトを見て、なぜ生産終了となったキューブをベースにカスタマイズするのか、製作した担当者に聞いてみた!

文/ベストカーweb編集部
写真/ベストカーweb編集部

なぜいま生産終了のキューブ? 密かに動く日産の「中古車の魅力再生プロジェクト」とは

■2020年3月末に販売終了したキューブをベースにカスタマイズ

2008年11月~2020年3月末まで販売されたZ11型キューブの中古車をベースに仕上げた

 東京オートサロンに出展されていた日産車のクルマのなかで、ひと際異色な存在だったのが、「キューブリフレッシュド&レトロコンセプト」だ。

 キューブといえば、3代にわたって販売された日産屈指のデザインで愛されたコンパクトカーだったが、惜しくも2020年3月末をもって販売終了となった。

日産本体が、中古車を買って純正部品を新品交換し、カスタマイズをするとは……

 その販売終了後の絶版車キューブをベースになぜカスタムするのか? と疑問に思って現場にいた20代の製作担当者に聞いてみた。

―新車が販売されていないキューブをベースにした理由はなんですか?

担当者:数年前から中古車の魅力を向上させるプロジェクトを立ち上げていまして、その第一弾として登場させたのがキューブリフレッシュ&レトロコンセプトです。

―そんなプロジェクトがあったんですか? 有志を募って行っている旧車再生プロジェクトのようなものですか?

担当者:いえ、違います。横浜の日産本社に在籍している社員(後で聞きましたが20代、30代、40代の3人がいらっしゃるそうです)でやっているプロジェクトです。

―中古車の魅力を向上させるプロジェクトは具体的に何をするんですか?

担当者:目に触れる内外装のヤレている、目に触れる部分を新品に交換、さらにアディショナルバリューとして、レトロ風のカスタマイズを施しています。

―具体的にはどのようなところをカスタマイズしたのか教えてください。

担当者:ボディカラーはもとあった色に塗り直しています。ビターショコラのボディカラーに、マットのガンメタのフィルムラッピングにアクセントとしてグリーンメタリックのステッカーをボディサイドやサイドウインドウに貼っています。さらにグリルやホイールにもグリーンメタリックカラーにしています。

―凄く渋いボディカラーですね。明治、大正時代の洋風木造建築や煉瓦作りを感じます。

路面電車のパンダグラフと、行先を告げる前面方向幕をイメージしたキューブの文字

担当者:ルーフラックは、路面電車のパンタグラフをイメージし、ルーフラックの前には、行先などを表示する前面方向幕のようにグリーンメタリックの「キューブ」の文字を入れています。

■インテリアは昔の高級車、モケットのようだ

―インテリアもレトロ調ですか?

担当者:インパネにはエクステリア同様にグリーンメタリックのアクセントを入れ、シートカバーはベルベット素材にしています。

―このシート1980年代のセドリックやクラウン、ソアラなど高級車のシートに用いられたモケット素材ですか?

ゆったりとくつろげる喫茶店のシートをイメージしたという、ベルベットのシートカバー

担当者:インテリアに関しては、落ち着く空間をコンセプトにしています。実際、大正時代の喫茶店を見に行き、参考にさせていただきました。

 キューブリフレッシュド&レトロコンセプトのプロモーション動画を見ると、「CUBEと、わたし」編ではレトロな教会や路面電車のある明治村でデート。フィルムカメラのオリンパスペン(?)で趣味の写真を撮る二人の映像が流れている。

 「CUBEと、ふたり」編では彼氏の買い物につきあい、レコード店やレトロな喫茶店(クリームソーダが出てくる)でデート。ポラロイド写真で撮った写真を見ながらキューブのなかで「なんだかカフェにいるみたい」と彼女がつぶやく。

 「CUBEと、あたらしい家族」編では、新しい家族を迎えるために買い物に出かけ、ソファに座り「キミはどんな部屋が好きかな」と語りかける。最後に革のトランクを買ってルーフラックに置き、「3人で旅行に行くのが今から楽しみ」とキューブに乗って帰っていくシーンが映し出されている。

 ここまで力を入れてプロモーション動画を作るとは、日産の本気度がうかがえる。コンプリートカーまたはパーツ販売、カスタマイズを含めた販売を考えているのか、気になるところだが、東京オートサロン会場を含め、反響次第では発売の可能性もあるというから、期待したい。

 現在、フィガロやパオ、BE-1、ラシーンは高騰を続けており、こうした日産車専門店も存在するほどの人気となっているが、日産本体が中古車をベースに、日産純正部品を使ってリフレッシュし、カスタマイズする、というのは実に画期的だ。

 こうした中古車を買い取ってモデファイする例は、1980年代後半にいすゞ中古車販売が、イルムシャーならぬアスカベースのカゲムシャー(影武者)のほか、ピアッツァムシャブルイ(武者震)、ジェミニワカムシャー(若武者)などが存在した。

 最後にキューブ続く候補車があるのか聞いてみたが、まだ決まっていないという。いずれにしても、このプログラムをどんどん広げていってほしい。

■キューブリフレッシュド&レトロコンセプト 
ベース車:中古車、2014年7月登録、走行距離6万8900km
■日産純正補修品(新品)への交換
●外装はランプ類各種、ワイパー、ドアミラー、スチールホイールほか
●内装はインストルメンタルパネル、ステアリングホイール、シフトレバー、スイッチ&トリム類各種
■カスタマイズ内容
●専用ボディフィルムラッピング(車体上部)。ボディカラーはビターショコラ
●フロントグリル、ルーフラック、デカールの専用エクステリアパーツ
●専用ホイールカバー
●日産純正7インチディスプレイオーディオ
●日産純正シャギーカーペット(ブラウン)
●専用インテリアパーツ
・シート全体カバー(フロント、リア)
・ステアリングホイール
・メータークラスター
・エアコンスイッチ
・フロントエアコンダクトベゼル
・インストトレイ
・サイドドアトリム
・ファッションレザーバンド


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みんなのコメント

13件
  • 80年代から 日産中古車センターで商品価値を上げるリフレッシュカーはたくさんあった。
    スカイライン、やセドグロはインパル仕様にしたりフルホワイト仕様だったり
  • 自動車メーカーもサステナブルなビジネスモデルを模索しているのだろうか。カーボンニュートラルとか言いながら、まだ乗れる車をスクラップして新車を作り続けていては本末転倒なので、本記事のようにカスタマイズしながら長く乗り続けるスタイルを自動車メーカーが自らサポートするビジネスモデルも一つの選択肢だと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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