■どんな道でも走り抜くことを優先したランドクルーザー
最近は、ハイブリッド車や電気自動車の普及によって、燃費が良いことはクルマ選びにおける重要な項目となっています。
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そんな低燃費のクルマが売れる時代であっても、燃費に囚われずかつ、人気のクルマが存在しています。今回は、そんな燃費が悪くても人気のモデルを3台紹介します。
●トヨタ「ランドクルーザー(200系)」
クルマの開発における重要な要素のひとつは、そのクルマがどんな人たちにどのような使われ方をするかということです。膨大なモデルをラインアップするトヨタは、それぞれのモデル開発において、世界中のユーザーがそのクルマを使ううえで優先するであろう事柄を常に考えています。
たとえば、「ランドクルーザー」です。地球上の道なき道を含めた荒野とあらゆる人々の生活を想定し、厳しい基準で開発してきた「陸の巡洋艦」は、どんな場所であっても、人や物を運び、帰ってくることが出来るクルマとして、60年以上もの間、変わらず世界で支持され続けているのです。
移動の自由は、人間にとって大きな歓びですが、目的地にたどり着いても、戻ってこられなければ意味がありません。トヨタがランクル開発でこだわってきたのは、どんなところでも性能を発揮できる「悪路走破性」と「信頼性」、そして「耐久性」なのです。
しかし、その一方で燃費性能は決して高くありません。現行ランドクルーザー(200系)は、全長4950mm×全幅1980mm×全高1870mmから1880mmのボディと、2430kgの車重というフルサイズSUVです。
その巨体を、4.6リッターV型8気筒ガソリンエンジンにフルタイム4WDで動かす結果、JC08モード燃費は6.7km/Lとなり燃費性能の悪さを補うべく、燃料タンクは93リッターと超大型となっています。
搭載エンジンは、まずは信頼性を第一に考えています。燃費性能はもちろん大切ですが、信頼性や耐久性が一番。極論すれば、壊れたら帰れないわけで、それが「死」を意味する場合もあります。つまり、ランドクルーザーに乗る人にとって重要なのは、燃費性能よりも信頼性なのです。
アフリカの大地や中東の砂漠を、エアコンをフル稼働で走り回るランドクルーザーにとって、積算100万kmの走行距離は当たり前といえ、ランドクルーザーはこうした使われ方を想定して開発しています。逆に、そこを無視してランドクルーザーは作れないのです。
■速さを求めるには、燃費性能は捨てなきゃならない
●スバル「WRX STI EJ20 Final Edition」
スバルは、「WRX STI EJ20 Final Edition」と名付けられた特別仕様車を東京モーターショー2019で公開しました。1989年から長年にわたって主力エンジンであったEJ20型水平対向4気筒エンジンの生産がまもなく終了し、そのエンジンを搭載した最後のモデルです。
全長4595mm×全幅1795mm×全高1475mm、車重1490kgのボディに、308馬力を発揮するEJ20型エンジンを搭載し、JC08モード燃費は9.4km/Lと、現在一般的な2リッター4気筒のモデルとしては決して良くありません。
しかし、低重心の水平対向エンジンと伝統のシンメトリーなAWDを組み合わせたWRX STIの鋭い回頭性と圧倒的な運動性能が魅力の1台です。
加えて限定車はWRX STI Type Sをベースに、回転系パーツの重量公差・回転バランス公差を低減したバランスドエンジンを採用。EJ20型エンジンの特徴である高回転域まで一気に気持ち良く回るエンジンフィーリングに磨きをかけました。
EJ20型水平対向エンジンは、初代「レガシィ」を皮切りに幅広い車種に採用され、世界ラリー選手権(WRC)やニュルブルクリンク24時間レースをはじめとするモータースポーツでの活躍に大きく貢献してきたパワーユニットです。
いまとなっては型落ちのエンジンでもあるため、近年発達の著しい燃費向上技術についてはひと足遅れてしまっているのはやむをえません。しかし、そのワールドクラスの運動性能は、いまもなお世界中のスバリストを魅了してやみません。
●日産「GT-R」
日産のブランドアンバサダー就任式でプロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手が、「(リーフよりも)GT-Rの方がいいな!」といってニュースになった、日産のプレミアムスポーツである「GT-R」は、燃費という面で見ても、浮世離れしているクルマです。
パワートレインは、3.8リッターV型6気筒ターボのVR38DETT型エンジンで、その出力はベーシックなGT-Rで570馬力となります。
ボディサイズは全長4710mm×全幅1895mm×全高1370mm、ホイールベース2780mm。車両重量は1980kgです。そこから得られた燃費は、WLTCモードで7.8km/Lです。
価格も図抜けていて標準モデルが1082万8400円から、もっとも高価なNISMOバージョンが2420万円と、国産車らしからぬ非常に高価なモデルとなっています。
しかし、その価格に見合った高度なメカニズムを凝縮して投入したスーパースポーツであることに異論はないでしょう。
GT-Rは、2007年の東京モーターショーで量産モデルが公開され、GT-Rを名乗るクルマとして初めてグローバル販売されました。
前述の高い出力のエンジンに加え、2ペダルの6速デュアルクラッチ式ミッションが挙げられます。エンジンを車両前方に搭載し、クラッチとそのトランスミッション・トランスファーを車両後方に配置する独立型トランスアクスルとしたパッケージ。
前ダブルウイッシュボーン式、後マルチリンク式のサスペンションにビルシュタインと共同開発した「Bilstein Damptronic」ダンパー。日産初のGT-R専用ランフラットタイヤはブリヂストン製とダンロップ製で、これ以外の銘柄は車両保証の対象外となっています。
そうしたGT-Rは、国産量販車としては初めて300km/hオーバーの最高速を持つクルマとなりました。当然、その代償として燃費が犠牲になっていることはいうまでもありません。
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